ジェームズ・スチュアートの西部劇


『遠い国』(1954年/監督:アンソニー・マン)

ジェフ(ジェームズ・スチュアート)とベン(ウォルター・ブレナン)は牛をアラスカのスキャグウェイに運ぶ途中、シアトル港でジェフが悪党を射殺したことから殺人の嫌疑を受けて追われるが、船の中で彼を助けたのはスキャグウェイで酒場を営んでいるロンダ(ルース・ローマン)だった。スキャグウェイの町はギャノン(ジョン・マッキンタイア)が牛耳っており、ジェフはギャノンに牛を取り上げられる。しかし、新しい酒場を開くロンダと一緒にジェフはギャノンから牛を取り返し、ギャノンの力が及ばないカナダのドーソンの町に出発する。ドーソンには金の採掘者が集まっており、ジェフとベンは牛を売った金で砂金採掘権を買う。一方、ギャノンはドーソンの町にまで手をのばしはじめ……

アラスカでなくカナダのジャスパー国立公園でロケされたそうですが、アラスカの美しい自然を感じさせ違和感はありません。

ジミー・スチュアートは酒場マダムのルース・ローマンと清純娘のコリンヌ・カルヴェに惚れられますが、どちらと結ばれるかは西部劇の定石通りでした。

ノッポでボサッとしていて何を考えているかわからないようなスチュアートのキャラクターは活かされていますが、友人が殺され、町民のために悪と対決する展開は型通りですね。

ジョン・マッキンタイアとの床下での射ち合いが面白い趣向です。

 

『怒りの河』(1951年/監督:アンソニー・マン)

オレゴン州への移住開拓民と旅をするグリン(ジェームズ・スチュアート)はリンチされそうになっているコール(アーサー・ケネディ)を助ける。コールも開拓民の幌馬車隊に加わり、インディアンの襲撃をグリンと防いだりしたが、食料調達の為に立寄ったポートランドで別れる。インディアンの襲撃で傷ついた幌馬車隊長バイル(ジェイ・C・フリッペン)の娘ローラ(ジュリー・アダムス)が養生のためポートランドに残ることになったからだ。開拓地に着いた幌馬車隊は、約束の日から1ヶ月以上たっても商人のヘンドリックスから食料が届かないため、ポートランドにバイルとグリンが様子を見に行く。ゴールドラッシュで物価が上がったので、町の顔役となったヘンドリックスが食料を渡そうとしないのだ。グリンはコールの協力のもとに食料を奪取するが……

友情から対決という西部劇ではお馴染みのパターンが季節感あふれる美しい自然の中で展開していきます。

ライフルだとサマになっているスチュアートなのですが、拳銃はモタモタしていますね。丸腰のスチュアートがアーサー・ケネディから拳銃を投げてもらい、ファニングで窮地を脱するのですが素早さがないんですよ。だけど、インディアンの撃退シーンなど、アクションには工夫が凝らしてあり、上出来の西部劇といえます。

売出し前のロック・ハドソンが人の好さそうな賭博師を演じているのと、魅力的なジュリー・アダムスは見逃せませんよ。

左:ジュリー・アダムス

中:アーサー・ケネディ

右:ジェームズ・スチュアート

 

 

トップへ    シネマ館へ    目次へ