西部劇マンガ


ハイティーン別冊・西部の若者達』(曙出版)

“ハイティーン諸君よ、今日は大いなる西部へ行ってみよう。馬に乗って、赤い河を渡るとOK牧場だ。黄色いリボンをつけた少女がきっと君をむかえてくれる。彼女はウィンチェスターという73になる爺さんの孫だ。そこでは素晴しい荒野の決闘が見られるかもしれない。ブラボー、ブラボー、素晴しき西部、リオ・ブラボー!”

西部劇ブームの頃の貸本マンガですね。「真昼の決闘」(川田漫一)、「男が町に来たとき」(山本勝利)、「ガン・ファイト」(長谷邦夫)の3作品が掲載されています。

画は稚拙ですが、上記の前書きのように、無邪気に楽しめました。

 

『荒野の少年イサム(全12巻)』(ジャンプ・コミックス)

川崎のぼる:著(原作:山川惣治)

テレビアニメ化もされた西部劇マンガの金字塔というべき作品です。

1872年(明治5年)に会津武士だった渡勝之進は勉学のためにアメリカにやってくるが、金がなくなり、シェラネバダの山中で砂金採りをしている時にインディアンの娘と知り合い結婚する。そして生まれたのが主人公のイサムなんですね。母親は病気で死に、父親ともはぐれますが、金鉱掘りが集まるロッテン・キャンプの人々に育てられます。しかし、嵐でキャンプは全滅し、川に流されたイサムを助けたのは、お尋ね者のウィンゲート一家でした。悪のかぎりをつくすウィンゲートによって、イサムはアウトローとして厳しく鍛えられますが、持って生まれた正義を愛する心だけは失わず、天才的なガンマンとして成長していきます。

私は原作も読んでいますが、川崎のぼるは、ビッグ・ストーンやジョーカー・ジュニアといった原作にないキャラを作り出し、物語に厚みを加えました。西部劇が衰退した現在、この作品を越える西部劇マンガは出てこないでしょうね。

単行本化に当り、各巻末に著名人が賛辞を寄せています。

第1巻“正義の情熱に燃えるイサム”(山川惣治)、第2巻“魅力あふれるエキサイト・ウエスタン”(増田貴光)、第3巻“イサムはキミだ!”(丹波哲郎)、第4巻“人間味あふれた西部劇”(渡哲也)、第5巻“責任感の強い少年になれ”(杉良太郎)、第6巻“イサムの心にウエスタンの調べを”(小林旭)、第7巻“悪をにくんで人をにくまず”(西条秀樹)、第8巻“友情で結ばれるイサムと愛馬サンダー”(あおい輝彦)、第9巻“読者の心をゆさぶる川崎ウエスタン”(五木ひろし)、第10巻“『荒野の少年イサム』は一服の清涼剤”(鶴田浩二)、第11巻“若者に勇気と自信を起こさせる漫画”(北島三郎)

 

『死の砦』(1967年/SUN COMIICS

川崎のぼるの短編西部劇「保安官志願」、「黒い荒野」、「西部の挑戦者」、「最後の決闘」、「荒野の群盗」、「なき館」、「死の砦」を収録した単行本です。

川崎のぼるには、山川惣治原作の『荒野の少年イサム』という西部劇マンガの代表作がありますが、これはその原点といえますね。

 

『大平原児』(桃源社:1975年3月10日 初版発行)
 小松崎茂:著
 資料的価値(1950年代に人気を博した絵物語)だけで、内容的には少年ものということで、あまり期待していなかったのですが、これが面白いんですねェ。復刻された縮小版で文字が小さく読みづらかった(齢をとると小さな文字が苦手になります)のですが、一気に読んでしまいましたよ。

無法者に両親を殺されたジム少年が、父親ゆずりの拳銃の腕前で西部の荒野に活躍する物語。ジムの両親を殺した凶悪な無法者集団キング・ヘル一味。投げ縄名人で、幌馬車隊と一緒に旅をしている孤児の少女ジェーン。敵か味方か、謎のガンマン・トマホークのモーガン。白人とみれば容赦なく襲ってくるアパッチ・インディアン。西部劇のエッセンスがテンコ盛りでした。

だけどこの物語、途中で連載が打ちきられて、未完のままになっているんですよ。

 

 

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