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『ポカホンタス』(竹書房文庫) スーザン・ドネル:著(池田真紀子:訳) 1995年7月29日初版発行 アメリカでは小学生の教科書に掲載されていて、誰もが名前を知っているポカホンタスですが、日本ではあまり知られていませんね。 私がポカホンタスの名前を知ったのは、ディズニー・アニメでその名が出てきてからです。日本の雑誌等で、それ以前に彼女の史実が掲載されたものを、私は寡聞にして見たことがありません。 それでアウトラインを知るために読んだのですが、文庫本で581頁のボリュームは読みでがありましたよ。 |
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『白き鷹の荒野(上下巻)』(角川文庫) ロバート・ラドラム:著(篠原慎:訳) 1992年12月25日 初版発行 百年前、詐欺まがいの条約で、インディアンのウォポタミ族から土地を奪った合衆国政府を相手に訴訟を起こした男がいた。ウォポタミ族の酋長になりすまし、今は空軍基地となっているネブラスカ州オマハの土地を取り戻そうというのだ。 こいつは面白そうだと読みはじめたのですが、途中で飽きてしまいました。なにしろ、上下巻あわせて1100ページにもおよぶ長編ですからね。内容的には半分のボリュームでいいんじゃないかなァ。 アメリカのベスト・セラー小説は本の厚さにも関係するそうだから、必然的に分量が多くなるみたいですね。 |
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『ガンマンの伝説』(早川書房) ロバート・B・パーカー:著(菊地光:訳) 2001年12月15日 初版発行 西部小説なので古本市場に出まわるのが待てず即ゲット。 読み終えて、「相変わらずワイアット・アープか」というのが正直な感想です。解釈の仕方が違っているので、それなりに楽しめましたけどね。 パーカーの小説を私は初めて読んだのですが、会話部分が何故か不自然な感じがしました。訳者の文体によるものらしいですが、馴染めそうにありません。 この訳者は、西部劇の銃については詳しくないようで、読んでいて意味不明なところが出てきます。ストーリーの展開には関係ないものの、西部劇ファンにとっては、些細なことでも気になるものです。 |
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『天国(ヴァルハラ)への疾走』(文春文庫) マイケル・ブレイク:著(土屋晃:訳) 2002年5月10日 初版発行 副題に“カスター将軍最後の日々”とあるように、リトル・ビッグホーンで全滅した第七騎兵隊のカスター将軍の物語です。 カスターの手記という形態で書かれた小説で、表面的には作者は軍人として好意的にみています。しかし、この手記が誰かに読まれることをカスターが想定して、作者がカスターの気持ちで書いたとしたら、かなり複雑な内容を持った小説といえます。自分に都合の悪いことや、粉飾部分を読者自身が読み取り、カスターの真の姿を、読者が判断することになるわけですからね。反カスター的立場だったリーノ少佐とベンティーン大尉について殆ど触れられていないのは何故か? いろいろ深読みのできる小説でした。 |
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『最も危険な場所(上・下巻)』(扶桑社ミステリー) スティーヴン・ハンター:著(公手成幸:訳) 2002年5月30日 初版発行 全体に長すぎます。一巻に収まる内容なのに、ストーリーを余分に作っているため、冗漫な感じを受けます。アメリカでは長くないとエンタテイメント小説は売れないそうだから、著者もわかって話を伸ばしているのかもしれませんが。 しかし、小説の出来ばえはともかくとして、西部劇ファンには嬉しくなる内容です。主人公が集めた6人のガンマンのうち、オーディ・ライアンは明らかに西部劇ファンなら誰でも知っているオーディ・マーフィです。それと孫をつれた老ガンマンのエド・マグリフィンは、実弾記録として1922年に、わずか1秒1/5の間に25ヤード(約23m)の距離から、名刺大の的に、ファニングで5発(全弾)命中させたという記録を残している全米早射ちチャンピオンのエド・マッギヴァンですね。 映画評論家だった著者の作品らしく、映画ファン(それも西部劇ファン)がニンマリする会話もあって、大いに楽しめましたよ。 |
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『ワイオミングの惨劇』(新潮文庫) トレヴェニアン:著(雨沢泰:訳) 2004年6月1日 初版発行 西部小説ということで期待したのですが今イチ。 トレヴェニアンの文章(登場人物の性格描写がくど過ぎる感じ)についていけないこともあるのでしょうが、3人の凶悪犯が“二十マイル”の町にやってくるまでが退屈で、何度も本を投げ出したくなりました。ダイムノベルの主人公(リンゴ・キッド)に憧れる若者と、凶悪犯が対決するあたりからは俄然面白くなりますけどね。 好みの別れる小説で〜す。 |
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『5枚のカード』(ハヤカワ・ミステリ) レイ・ゴールデン:著(横山啓明:訳) 2005年10月31日 初版発行 ミステリータッチの西部小説で、168ページほどの本なので、サントラLPやCDを聴きながら一気に読んでしまいました。 内容については映画を観て知っていたので、映画との比較が楽しかったですね。小説の方は犯人の登場場面が少なく、ミステリー性を強めています。ただ、せっかくミステリーの面白さを出しているのに、5章(全19章)で犯人の正体を明らかにしたのはマイナスですね。最後まで犯人がわからないようにした方がよかったんじゃないかなァ。 ちなみに小説の原題が『Glory Gulch』なのは、映画と違ってポーカーゲームと関係ない内容だからです。 |