DVDで観たテレビ西部劇


『カウボーイGメン』

政府の密偵パット・ギャラガー(ラッセル・ヘイドン)が相棒のストーニー・クロケット(ジャッキー・クーガン)と法の正義を守るために悪漢たちと戦う物語です。日本では1956年にKRT(現:TBS)系列で放送されました。これは日本最初の海外ドラマであるとともに、最初の日本語吹替えドラマでもありました。当時の関係者の話によると、原音を消さないで滝口順平さんが一人でやっていたとのこと。二重音声になっているわけです。主人公(ラッセル・ヘイドン)の説明的会話が多いといっても、他の役者のセリフはどうやったんでしょうかね。

ところで、このDVDには「女性町長」、「絞首刑裁判」、「黄金のオオカミ」の3本が収録されており、「女性町長」は政府の公道で通行料を取っている町の調査、「絞首刑裁判」は不審な判決をくだす判事の調査、「黄金のオオカミ」は政府がかけた賞金を騙し取ろうとする猟師の不正を暴く物語で、政府に対して敵対行為をする相手と戦うわけです。彼らの身分は政府のエージェントなんですが、西部開拓時代に情報部員なんていたんですかね。『ワイルド・ウエスト』の主人公も政府の情報部員でしたが、ちょうどスパイブームの時に放送されたので、ドラマ用に創作された身分だと思っていたんだけど……?

 

『バット・マスターソン』

西部の保安官として有名なバット・マスターソン(ジーン・バリー)の物語といっても、保安官を辞めた後の物語です。

このDVDには「ヤング・ファイター」と「野生馬の暴走」の2本が収録されており、最初に場所と年月日がナレーションで入ります。「ヤング・ファイター」はコロラド州シルバートン・1886年5月20日、「野生馬の暴走」はネバダ州・1886年9月5日という具合にね。リアルタイムで観ていたのですが、日本語吹替えでナレーションがあったか記憶にないんですよ。ちなみに、ジーン・バリーの声は高島陽が吹替えていましたが、途中で臼井正明に代わりましたね。

1959年にNET(現:テレビ朝日)系列で毎週土曜日21:15〜21:45に放送されていましたが、裏番組に『日真名氏飛び出す』がありました。『日真名氏飛び出す』は前編・後編と2週に分けて放送していたので、親父が「推理物は後編だけ見ればわかる」と言って、『日真名氏飛び出す』が前編の時に『バット・マスターソン』を観ていましたよ。

主演のジーン・バリーは山高帽にステッキという伊達男スタイルが実に似合っており、後年、映画やテレビで見たバット・マスターソンは、どれも違和感を持ちましたね。ジーン・バリーも“伊達男”演技がキャラクターとなり、『バークにまかせろ』は完全にバット・マスターソンの延長で〜す。

 

『西部の勇者キット・カースン』

テレビ創生期の1957年にNTV系列で放送されていましたが、私が観たのはずっと後なので再放送されたものでしょう。

主人公はカリフォルニア探検で西部開拓史上名高いキット・カースン(ビル・ウィリアムズ)ですが、二挺拳銃を腰にメキシコ人の相棒エル・トロ(ドン・ダイアモンド)と西部を渡り歩いて悪人退治を行なうものです。テレビ西部劇『アニーよ銃をとれ』と同じで、名前だけを借りたフィクションです。

アニーといえば、このDVDには「ゴールドラッシュ」、「自警団」、「危険な任務」の3本が収録されていましたが、「ゴールドラッシュ」にゲイル・デービスがゲスト出演していました。悪党がショットガンに弾丸の代わりに金粒を詰めて岩山に射ち込み金山に見せかけるのは、『アニーよ銃をとれ』にも同じようなエピソードがありましたよ。

 

『平原児シスコ・キッド』

これもテレビ創生期の1956年にKRT(現:TBS)系列で放送されていましたが、私が観たのはずっと後なので再放送されたものでしょう。

西部を旅するシスコ・キッド(ダンカン・レナルド)と相棒のパンチョ(レオ・キャリロ)が、困っている人を助けて悪を挫く、お子様西部劇です。レオ・キャリロのコメディ演技で笑うのは、子供だけでしょうね。

シスコ・キッドは映画ではお馴染みのヒーロー(最初のトーキー西部劇『懐かしのアリゾナ』の主人公)で、B級西部劇のヒーローとしてシリーズ化されます。シスコ・キッドは全部で23本映画化されており、そのうち14本がダンカン・レナルド主演です。1940年代末にレオ・キャリロと組んで4本のシスコ・キッドに出演した後、テレビシリーズで再登場したわけですね。

このDVDには「クォーターホース」、「宝石泥棒」、「履行保証金」の3本が収録されていますが、どれもカラーでした。オリジナルはモノクロのはずですから、後から着色したのでしょう。

 

『テキサス平原児』

正義の味方レンジ・ライダー(ジャック・マホニー)と相棒のデイック・ウエスト(ディック・ジョーンズ)が、西部の暮らしと秩序を守るために悪党たちと戦う物語で、このDVDには「見えない痕跡」、「ボーダー市のスキャンダル」、「無法者のピストル」の3本が収録されています。

テレビが普及する前に、B級西部劇で子供たちに人気のあったシスコ・キッドやホパロング・キャシディ、レッド・ライダーやデュランゴ・キッドといったウエスタン・ヒーローと同じような設定ですね。日本人にはB級西部劇は馴染みがないので、原題の『レンジ・ライダー』でなく、イメージだけで『テキサス平原児』にしたのでしょう。テキサスとは関係なくても、西部といえばテキサスですからね。

主演のジャック・マホニーは、この作品で主役につくまではグレゴリー・ペック、エロール・フリン、ジョン・ウェインといった、そうそうたるスターのスタントをしていました。大柄な割に動きが素早く、アクションシーンだけは一流です。

ところで、この作品は1960年にNET(現:テレビ朝日)系列で毎週金曜日19:00〜19:30に放送されていましたが、広島ではNET系列を放送するテレビ局が、何故か金曜日はフジテレビ系列の番組を放送していました。それで『テキサス平原児』を観ていないんですよ。その時間に観ていたのは、『アニーよ銃をとれ』で〜す。

 

 

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