『鞍馬天狗・龍驤虎摶の巻』(1938年・日活/監督:松田定次)
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エエジャナイカの踊りの群衆が通り過ぎた後、殺された勤皇の志士の死体。そばには山嶽党の紙が…… 出だしの面白さに比べ、本編に入ると、どんどんつまらなくなります。山嶽党の背後で糸を引いているのが所司代と考え、鞍馬天狗(嵐寛寿郎)が乗り込んで手文庫から奪った記録がなんだったのかサッパリわからない。所司代の登場シーンはこれだけだし、桂小五郎(沢村国太郎)や近藤勇も登場しますが、いてもいなくてもいい存在です。 山嶽党の首領(月形龍之介)の子どもが杉作の弟分の新吉で、その新吉を訪ねて母親(香住佐代子)が現れたりと、無理してお涙頂戴シーンを作ったようなところもあるし、因縁話が物語展開をダラケさせていますね。アラカンは拳銃ばかり使って、チャンバラはあまり見せてくれず、不満の多い作品で〜す。 画像はアラカンと香住佐代子。 |
『鞍馬天狗・江戸日記』(1939年・日活/監督:松田定次)
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怪しい黒覆面の集団に連れていかれる侍を目撃した天狗が、その侍が殺されたことを知り、その侍の息子である勤皇の志士と、事件の背後にいる黒幕を探るが…… ラストがチョン切れている。なんだコレは! 翌月に封切られた『鞍馬天狗・復讐篇』が続編にあたるようですが、フィルムが現存しているのかなァ? |
『鞍馬天狗・薩摩の密使』(1941年・日活/監督:菅沼完二)
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幕府のフランスからの武器輸入を阻止するために、天狗が横浜で大活躍。 製作当時の時代を反映して、愛国精神をセリフで長々と語ってくれます。日本に内乱を起こそうとしている英・仏は、権謀術数にたけた腹黒い国なんで〜す。 ところで、天狗が鏡に映った敵の姿を見て、振りむきざまに拳銃で倒すのは、名作西部劇『大平原』(1939年)のパクリですね。使った拳銃はナンブ26年式。明治26年にできた拳銃が維新時に使用されるのは考証的におかしいのですが、モデルガンでなく実銃をブッ放しているので結構サマになっていましたよ。 |
『鞍馬天狗・黄金地獄』(1942年・大映/監督:伊藤大輔)
お力(琴糸路)・杉作・チャコの三人は、眼の悪いお力を名医ヘボンに診てもらうために横浜にきたのだが、稼ぎもなく途方にくれていた。贋金探索のためにダフネ曲馬団の用心棒になっていた鞍馬天狗=倉田典膳(嵐寛寿郎)は三人と知り合い、ヘボンの診療を受けさせる。典膳は興行の主催者であるヤコブ商会が贋金作りの黒幕と考え、ヤコブ(上村草人)の造船所に忍び込み、地下の贋金工場を発見する。造船技師の兄を訪ねてきた三浦勝比古(原健作)は、 ヤコブから兄は鞍馬天狗に殺されたと聞かされ、天狗を仇と狙うが…… 維新後の横浜を舞台とした異色作です。贋金で日本の経済を混乱させとうとする外国人を鞍馬天狗がやっつけるというのは、『薩摩の密使』でもそうでしたが時代を反映したものですね。 趣向を凝らしたスピード感あるアラカンの立回りは見事です。数あるアラカン天狗の中でも上出来の作品で〜す。 |
上村草人とアラカン |