SF映画いろいろ


『ノウイング』(2009年/監督:アレックス・プロヤス)

宇宙物理学者ケストラー(ニコラス・ケイジ)の息子ケイレブ(チャンドラー・カンタベリー)が通う小学校の記念式典で50年前に埋められたタイムカプセルが掘り出される。ケイレブが持ち帰った数字だけが羅列している一枚の紙に興味を持ったケストラーは、それが過去に発生した大惨事と一致していることに気づく。それには、未来の大惨事も予言しており、ケストラーはその数字を書き残した50年前の少女を捜すが……

人類滅亡テーマのSF映画で、何が言いたいのかよくわかりません。“人生は偶然なのか、必然なのか”という問いかけが最初になされ、偶然であれば努力によって運命を変えることができるが、必然であればどんなに努力しても運命は変えられないんですね。主人公は予測される大惨事を防ごうと努力しますが、結局……です。飛行機事故や地下鉄事故など、大画面の大音響で観ると迫力ありましたよ。だけど、それだけの映画ね。ストーリーそのものには、驚きはありません。

それと、“神=宇宙人”というのも、SF界では珍しくもない説でして、日本の天孫降臨神話も宇宙人説があります。奇妙な姿の遮光器土偶は宇宙服を着た宇宙人なんだよォ。

 

『2012』(2009年/監督:ローランド・エメリッヒ)

マヤ文明の暦によると、2012年12月21日に地球は滅亡するらしい。太陽活動の異状から、地球のマグマが爆発をはじめ、大地震・地割れ・大津波が世界各地を襲うんですな。

アメリカ大統領(ダニー・グローバー)は事前に地球物理学者からそのことを知らされ、主要国政府と極秘裏に箱舟を建造しています。その場所がヒマラヤの奥地ね。ジョン・キューザックの一家が、あらゆる困難を乗り越えて、箱舟に乗りこむのがメイン・ストーリーです。

極めてご都合主義的な展開なのですが、最新SFXによって素晴らしい見世物映画に仕上がっていま〜す。

もし日本政府がアメリカ大統領からこんなことを知らされたら、極秘に箱舟建造なんてできないでしょうね。管さんは決断力がないし、閣僚は口が軽いし、小田原評定しているうちに日本国民は全滅だァ。

画像は、ジョン・キューザックとウディ・ハレルソン。ハレルソンは、政府の箱舟計画を嗅ぎつけたディスク・ジョッキーで、キューザックにそのことを教えるのね。

 

『ストーム・ゴッド』(2008年/監督:ポール・ジラー)

考古学博物館から死海文書が盗まれ、3ヶ月後に北極圏からバアル神のメダルが発掘されます。メダルは4つあって、それが全部揃うと、気候を自由に操って地球を破壊するバアル神が復活するんですな。そのことを知った考古学者(ジェレミー・ロンドン)がシュメールの碑文を解読した女性言語学者と、メダルを揃えてバアル神を復活させようとするキチガイ博士(スコット・ハイランズ)を追います。

メダルが発見される度に強大な嵐が発生し、その嵐の異常性に気づいた女性気象学者は、それがアレン帯と結合して超電磁波を発生させていることを発見します。オカルトとサイエンスの連動がこの作品の特長ですね。

B級監督とB級スターによる低予算映画(テレビムーヴィ)で、内容も予想通りチープな作品です。だけど、暗号解読や科学分析など楽しめる要素もあり、TVMとしては合格といえます。昔は、この手の映画は2番館の2本立て(ロードショー興行はなかった)で観たもので〜す。

 

『ザ・ウォーカー』(2010年/監督:アレン&アルバート・ヒューズ)

核戦争で電離層が破壊され、紫外線が降りそそぐ近未来、文明は破壊され世界は暴力に支配されていた。そんな中を、ひとりの男(デンゼル・ワシントン)が世界に1冊しかない本を持って西に旅していた。旅に必要な物資を補給するために立寄った町で、ソラーラ(ミラ・クニス)という娘に本を持っていることを知られ、町の支配者(ゲイリー・オールドマン)が本を奪おうとするが……

神の存在が否定され、世界中の聖書が焼き払われた世界で、人類を導き、文明を築くには神の教えが必要というキリスト教映画です。無宗教の日本人にとって、聖書の価値なんてわかりません。わからないメッセージ性を無視して、映像演出やアクション演出の観点から見ても驚きのない平凡な作品です。

ところで、主人公は最初から盲目だったんですね。臭いで敵の位置を判断してやっつける。水が貴重な世界なので、誰も風呂に入っておらず離れていても判るんですよ。人肉を食べると手が震えるなんて知らなんだ。だけど、老夫婦の手の震えをどうして知ったんだろう。矛盾するところは多々ありますが、突っ込んでいてはキリがな〜い。

 

『サロゲート』(2009年/監督:ジョナサン・モストウ)

人類がサロゲートと呼ばれる身代わりロボットによって実生活を送るようになった未来社会を舞台にしたSFサスペンスアクションです。人間は座ったままでサロゲートを遠隔操作(頭で考えるだけでサロゲートは行動してくれる)し、日常の業務をこなしているんですな。

サロゲートが破壊されても人間に危害が及ばないシステムになっているのですが、サロゲート破壊と同時に持ち主も死亡する事件が発生します。FBI捜査官のトム(ブルース・ウィリス)とピータース(ラダ・ミッチェル)が自分たちのサロゲートを使って捜査を開始します。犯人が持っていた武器に秘密があることがわかりますが、その武器が何者かにわたり……

髪の毛フサフサのブルース・ウィリスが出てきた時には笑いましたね。『こちらブルームーン探偵社』の時よりも毛が豊富なんですからね。

理想の容姿で齢も取らず、日常生活(擬似体験ですが)できるなんてユートピアです。現在でも携帯中毒やゲーム中毒になっている人が多いのですから、サロゲート中毒になる人は多いと思いますよ。

あれだけ精巧なロボットができている社会にしては、車や建物が貧相などの突っ込みどころは多いですが、深く考えずに気楽に楽しみましょう。

 

 

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