吸血鬼映画


ヴァンパイア・最後の聖戦(1998年/監督:ジョン・カーペンター)

世界各地に生き残っているヴァンパイアを退治する吸血鬼ハンターのジャック(ジェームズ・ウッズ)は、この世の最初のヴァンパイアである魔鬼のヴァレッタにハンター仲間の殆どを殺され、復讐を誓う。ヴァレッタが太陽の下でも出歩ける力を与えてくれる十字架を探していることを枢機卿(マクシミリアン・シェル)から知らされたジャックは、ヴァレッタの居所を探し出し、最後の戦いを挑む……

ジョン・カーペンターは、カビが生えたような題材をアクションたっぷりに描いていますが、はっきりいって凡作。詩情豊かな怪奇趣味に彩られたカーペンター作品を期待したんですけどねェ。

懐かしき顔でマクシミリアン・シェルが出演していましたが、目立たちませんでした。存在感があったのは、『ブラック・ホール』(1979年)あたりまでかなァ。

 

吸血鬼(1932年/監督:カール・ドレイエル)

さびれた村の宿に泊まっていた男のところへ不思議な老人がやってきて、包みを置いて立ち去る。包みには、「死んだらあけてくれ」と書いてあった。翌日、老人が死に、包みをあけると吸血鬼に関する本が入っていた。老人には、ジゼールとレオーヌという娘があった。レオーヌは病弱で、男は医者の頼みで、貧血で倒れたレオーヌに輸血する。その晩、男は棺の中に入れられる幻想を見る。男は本に書かれていた吸血鬼の墓を見つけ、その身体に鉄の楔を打ち込む。レオーヌは安らかに息をひきとり、男はジゼールと村を去る。

ドイツ表現主義的な映像で、幻想なのか現実なのかよくわからず、見ていてつらかったです。死神を思わせる大鎌を持った人間の影など、観客の想像にゆだねるシーンが多く、私のような単純な人間には嬉しくないホラーでした。

男が棺の中に入っているシーンは、黒澤明の『酔いどれ天使』とイングマル・ベイルマンの『野いちご』に影響を与えているとドナルド・リチーが言っているけど、本当かなァ。

 

ドラキュラの呪い(1958年/監督:ポール・ランドレス)

ヴァンパイア・ハンターから逃れ、殺した男になりすまして、ドラキュラがアメリカの小さな町へやって来る。そして、夜な夜な血を求めて……

鏡に姿が写らなかったり、狼に変身したり、十字架を苦手としたりと、型通りのドラキュラ像ですが、肝心のドラキュラが魅力ないのでどうしようもありません。

気品もセクシーさもない、人相の悪い中年男なんだものなァ。おまけに、アッケない最後でアレレ。最低のドラキュラ映画でした。

唯一のショック演出は、血を吸われてヴァンパイアとなった女性の胸に杭を打ち込んだ瞬間、モノクロ映像からカラーとなり、胸の血が色鮮やかだったこと。だけど、これだけじゃねェ……

 

ドラキュリア(2000年/監督:パトリック・シェール)

ドラキュラ(ジェラード・バトラー)の復活を防ぎ、完全なる抹殺を研究していたヘルシング(クリストファ・プラマー)の屋敷からドラキュラの棺が盗まれる。金庫破りの血を吸って復活したドラキュラは、ヘルシングの娘・マリアを求めて……

ヘルシング教授が百年以上も生き長らえていたとはね。長生きの秘密は……教えないよ。だけど、この設定にはムリがあるなァ。

ジェラード・バトラーは貴族の気品はないけど、セクシーなところがあって悪くありません。気になって出演作を調べたら、『騎馬大王アッティラ/平原の支配者』がありました。この作品、録画していた筈なので、観てみよう。

それにしてもクリストファ・プラマーは息の長い役者だなァ。

 

ドラキュリアU・鮮血の狩人(2002年/監督:パトリック・ルシエ)

前作で十字架に吊るされ焼き殺されたドラキュリアの死体が検死室に運ばれてくる。医学生のエリザベス(ダイアン・ニール)は解剖中にドラキュリアの牙で指を傷つける。彼女の恋人ロウル教授は不死の研究をしており、医学生たちを使ってドラキュリアを蘇生させる。

それを知ったユフィジ神父(ジェーソン・スコット・リー)は復活したドラキュリアを殺すために……

吸血鬼に傷つけられても、早期であれば太陽の光を浴びると治ることを初めて知りました。

ドラキュリアは蘇生途中のままの状態なので、腐れかけの汚いまま。吸血鬼は美形でないと魅力がありませ〜ん。消化不良のラストは続編を予定しているからですかね。

 

クロコダイルの涙(1998年/監督:レオン・ポーチ)

自分を愛してくれる女性の血を吸わないと死んでしまうという軟弱な吸血鬼の物語。

本気で愛した女性の血を吸うことをためらっているうちに体力が衰え、愛している女性に刺されて死んでしまうという情けなさ。

ジュード・ロウの妖しき美しさは吸血鬼の雰囲気を持っていて魅力的なのですが、相手役のエリナ・レーヴェンソンがイモ姐ちゃんで、吸血鬼が命を賭けるだけの魅力がないのが難点ですね。“ジュード・ロウさま命”と思っている女性ファン向けの映画だから、相手女優なんて、どうでもいいのでしょうが……

 

 

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