吸血鬼映画


『ドラキュラ伯爵』(1970年/監督:ジェス・フランコ)

以前テレビで放映された時の題名は『吸血のデアボリカ』です。

この作品は、クリストファー・リーが初めてハマー・フィルム以外で撮ったドラキュラ映画。スペイン、イタリア、西ドイツ、イギリス合作(イタリアとドイツの資金で、イギリスの俳優を使ってスペインで製作)というヨーロッパ映画の総力をあげた?ブラム・ストーカーの古典の最も忠実な映画化でした。

髭に白髪のドラキュラが物語の進行につれて若返っていくのは小説と同じですが、ハマー・ドラキュラほど恐くないんだなァ。

内容も原作のダイジェスト版といった感じの平板な演出で、見るべきところはありません。ドラキュラがあっけなく退治されてしまうラストは拍子抜けでしたよ。流血を見せず雰囲気だけで恐怖を盛り上げようとしたのでしょうが、いくらリーの強烈なキャラクターを持ってしてもね。

ただ、精神病院に閉じ込められている気の狂った男を演じたクラウス・キンスキーは完璧でしたよ。演技か地か、キンスキーらしい怪演でした。

 

『吸血鬼の接吻』(1964年/監督:ドン・シャープ)

 

新婚旅行で道に迷ったハーコート(エドワード・デ・スーザ)と妻のマリアン(ジェニファー・ダニエル)は、安ホテルに泊まることになる。そこへ、古城に住むラブナ博士(ノエル・ウィルマン)から招待状が届き……

脚本のジョン・エルダーは、製作者のアンソニー・ハインズの変名。

吸血鬼ハンターのジンマー教授(クリフォード・エヴァンス)が、“毒には毒をもって征す”とばかりに、悪魔の呪文で吸血コウモリの大群を呼び寄せ、ヴァンパイアを倒すのが新趣向で〜す。

ヴァンパイアの集団が盛大な仮面舞踏会を催すシーンはポランスキーの『吸血鬼』に影響を与えているんじゃないでしょうか。全体としてはノンビリした展開で盛り上がりに欠けるのですが、田舎道をゆっくり走る耕運機に乗っている感じで、ノスタルジックな気分に浸ることができました。

 

『フロム・ダスク・ティル・ドーン』(1996年/監督:ロバート・ロドリゲス)

銀行強盗の兄弟(ジョージ・クルーニーとクェンティン・タランティーノ)が、牧師一家を人質にして、仲間と待ち合わせるために酒場にやってくるが、そこは吸血鬼の住処だった……

新感覚?の吸血鬼映画。

前半の強盗兄弟の逃避行から、突然、後半はホラーとなります。何故、その酒場が吸血鬼の住居なのか説明はなく、吸血鬼たちとの戦いに終始。

アクションにつぐアクションで、ハチャメチャな面白さはあるのですが、オチがありません。同じパターンを続けて観ると、ウンザリきますね。齢をとると、こういう若いカルト向け映画が良いと思えなくなるんだよなァ。

オーソドックスなゴチック・ホラーの方が私は好きで〜す。

 

『クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア』(2002年/監督:マイケル・ライマー)

ロック音楽によって甦ったヴァンパイアのレスタト(スチュアート・タウンゼント)は、ロック・ミュージシャンとなってヴァンパイアの存在をアピールする。レスタトに興味を持った女性記者(マーガリート・モロー)が取材しようと……

『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』の続編ですが、トム・クルーズからスチュアート・タウンゼントなんて、マイナーチェンジですね。タイトルは目をひきましたが、あとはウ〜ン。

アーリヤはヴァンパイアの女王としては迫力不足。マーガリート・モローも血を吸いたくなるような魅力はないし、レナ・オリンは善い人だったしで、キャスティングに問題あります。

結局、何が何やら解らないままに終わったという感じで〜す。

怒りの大放屁、チャブ台返し!

 

『ヴァンパイア/黒の十字架』(2002年/監督:トミー・リー・ウォーレス)

ヴンパイアー・ハンター(ジョン・ボン・ジョヴィ)が、昼間でも行動ができる力を得ようとしているヴァンパイアのクイーン(アーリー・ジョーヴァ)と戦う物語。

転び神父(ヴァンパイアの味方になった神父)の立会いで、黒い十字架の前でヴンパイアー・ハンターの血を飲んだら太陽も平気になるらしいのですが、ヴァンパイア・クイーンの目的がはっきりしないんですよ。ハンターの仲間の女の子がヴァンパイアに血を吸われたらしいのですが、特殊な薬を飲んでいて、ヴァンパイアへの進行がとまっています。その薬を奪ってクイーンが飲んだら、太陽の中でも歩くことができたのですが、持続効果が短く、結局ハンターを狙うんですな。

物語の展開はダラダラしているし、ヴァンパイア退治の方法もこれまでの映画で使い古されたものばかりで、驚きが全然ありません。時間のムダでしたね。

怒りの大放屁、チャブ台返し!

 

『ブラッドレイン』(2005年/監督:ウーベ・ボル)

18世紀のルーマニア、“業火の会”のウラジミール(マイケル・マドセン)は吸血鬼と戦っていた。吸血鬼と人間の混血娘レイン(クリスタナ・ローケン)は見世物小屋を脱走し、母を殺した吸血鬼のケイガン(ベン・キングズレー)に復讐しようとしていた。ケイガンは“業火の会”が守っているバラバラにされた最強吸血鬼の目・あばら・心臓を奪って最強になろうとしていた。ウラジミールはレインを仲間に加えるが……

ゲームを映画化したB級ホラーアクションです。ベン・キングズレーを除いて、主要キャストはB級スターばかりですね。ベン・キングズレーも最近は、しょうもない映画に出ていますが、ジェラルディン・チャップリンが出演していたのにはビックリ。老醜ぶりを見て、ガッカリしました。

退屈はしないけど、特筆すべきところもない映画です。ところで、吸血鬼と人間の混血をダムフィアというのを初めて知りましたよ。

 

 

 

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