SF映画いろいろ


サルート・オブ・ザ・ジャガー(1989年/監督:デビッド・ウェッブ・ピープルズ)

『ブレードランナー』の脚本家ピープルズの監督デビュー作。地下都市の造形は『ブレードランナー』の未来都市を感じさせます。

2200年の荒廃した地球を舞台に、人類を熱狂させている死と隣り合わせのゲーム“ジャガー”の名プレイヤーであり、チームリーダーであるサロウ(ルトガー・ハウアー)が、新米の女闘士・キッダ(ジョアン・チェン)を一人前のプレイヤーとして育て上げ、かつて永久追放された地下都市のメジャーチームに熾烈な戦いを挑んでいく。

自分の力を試したくてメジャーチームへの挑戦を夢見るキッダと、一旦は決別したメジャーチームに挑戦することで人間の尊厳を示そうするサロウ。表面的にはスポ根ドラマですが、サロウに複雑なキャラクター(サロウ以外の登場人物は、『巨人の星』のような単純なキャラクター)を持たせることにより味わい深い作品となっています。

ルトガー・ハウアーの魅力が出ていましたね。この頃のハウアーは輝いていますよ。自分の実力を大観衆に見せつけ、特権階級の住む地下都市におサラバして、原始的な地上世界を旅するサロウに男のロマンを感じました。

暗くジメジメした地下都市を特権階級の世界にしたことは、そこが理想の社会ではないことを暗示していますね。未来はむしろ原始的な地上世界にあることを示唆している感じです。

 

ソラリス(2002年/監督:スティーブン・ソダーバーグ)

心理学者のクリス(ジョージ・クルーニー)に惑星ソラリスを調査する宇宙船にいる友人から助けを求めるメセージが届く。ソラリス・ステーションに着いてみると、友人は自殺していた。地球にいるはずの友人の息子が現れたりして、ステーション内では奇妙な出来事が発生していた。彼は事態の解明に乗り出すが、彼の前に死んだはずの妻が現れ……

大学時代に原作(スタニスワフ・レムの『ソラリスの陽のもとに』)を読んだことがあるのですが、難解すぎてよくわかりませんでした。

映画化されたタルコフスキーの『惑星ソラリス』は、やけに長すぎて途中で寝てしまって、憶えているのは未来の地球の都市が東京ということと、ソラリスの海が神秘的な感じがしたことですかね。

でもって、今回の『ソラリス』ですが、全体が一つの生命体であるソラリスの海が出てこず、神秘的なところが全然ありせん。クリスの思考の反映としての死んだ妻への愛の心理的葛藤が今イチ伝わってこないんですよ。ハリウッド映画の魅力はわかりやすさにあると私は思っているですが、難解ではないものの薄っぺらな印象しか残りませんでした。

 

タイムライン(2003年/監督:リチャード・ドナー)

百年戦争の遺跡発掘場所から、発掘リーダーのジョンストン教授からの助けを求めるメモが見つかる。ジョンストン教授は発掘を後援しているITC社へ行ったまま戻っていなかった。息子のクリス(ポール・ウォーカー)は父の所在を確かめるためにITC社へ行くと、社長から恐るべき事実を知らされる。ITC社が開発した物質転送装置が時空に穴をあけ、14世紀のフランスと繋がっているというのだ。14世紀に行ったまま戻ってこない教授救出のため、遺跡発掘隊のケイト(フランシス・オコーナー)、マレク(ジェラルド・バトラー)たちがクリスと14世紀の百年戦争の真っ只中へタイムスリップする……

原作はマイケル・クライトンのSFアドベンチャー。発掘現場での、愛し合う男女の石の棺の発見などで、誰が死に、誰が現世界に戻り、誰が14世紀に残るか、先の読める展開でSF的驚きはありません。むしろ、クライマックスの城塞攻防戦の迫力ある戦闘シーンが見せ場となっていますね。

過去で使える現代の技術が、ギリシャ火薬の製造だけというのは寂しかったで〜す。

 

リーグ・オブ・レジェンド(2003年/監督:スティーブン・ノリントン)

19世紀末のヨーロッパ。科学者を誘拐し、超近代兵器で武装した集団が各国を襲う。世界戦争の危機を回避するためにイギリス情報部は、アラン・クォーターメイン(ショーン・コネリー)をリーダーに、ネモ船長、ミナ・ハーカー、透明人間、ジキル&ハイド、ドリアン・グレイ、トム・ソーヤが集結し、超人組織“リーグ”を結成する。武装集団を率いるファントムの野望を阻止するために、彼らはファントムが破壊しようとしているベニスに向かうが……

作品そのものは、SFXを使った如何てことのないSF冒険アクション映画なんですが、古典小説のヒーローが一同に会し、世界征服を企てる悪と戦うなんて愉しいじゃありませんか。でもってファントムの正体がモリアーティというのも嬉しくなります。

だけど、上記7人を知らない人たちにとって、この作品は半分も楽しめないんじゃないかなァ。会話の中はパロディ満載なんですから。ショーン・コネリーは楽しんで演技していますね。ミナ役のペータ・ウィルソンは、CATVで何回か見たテレビ版『ニキータ』の方が魅力的だったなァ。

 

スカイキャプテン(2004年/監督:ケリー・コンラン)

1939年のニューヨーク、科学者失踪事件を追っていた女性記者のポリー(グウィネス・パトルロー)は、映画館で科学者から二つのガラス瓶を預かる。科学者からトーテンコフのメッセージを受けた時、巨大ロボットが襲ってくる。ポリーは、危ういところをスカイキャプテン(ジュード・ロウ)に救出される。トーテンコフは行方不明中の天才科学者で、事件の背後にトーテンコフがいることがわかる。ロボットを操る電波の所在を知ったスカイキャプテンとポリーはネパールへ。さらにトーテンコフを追って謎の島へ……

内容からみて、1930年代のアメコミが原作かと思いましたが、オリジナルだったんですね。だけど、無茶苦茶なストーリー展開はアメコミそのものです。

CGによるSFXは、合成画像が見え見えで、全然迫力ありません。ゲスト出演的な感じのアンジョリーナ・ジョリーがカッコいいのが救いでした。

金まで出して観る映画じゃないなァ。

 

アイ,ロボット(2004年/監督:アレックス・プロヤス)

2035年、ロボットが一般家庭にまで普及した時代。スプーナー刑事(ウィル・スミス)は、USR社で発生したラニング博士(ジェームズ・クロムウェル)転落死事件に駆けつける。現場の状況から殺人事件と判断したスプーナーは、博士の部屋から逃げ出した新型ロボットのサニーを捕まえる。スプーナーは、これが単なるロボットの故障とは考えられず、博士と一緒に働いていたカルヴィン博士(ブリジット・モイナハン)に協力を要請するが……

アイザック・アシモフが『わたしはロボット』の中で示した“ロボット工学の三原則”をモチーフにしたオリジナル作品です。

ロボットやコンピューターが意思を持ち始め、人間に反乱するというテーマはこれまでにも色々あって、特に目新しいところはありませんが、CGの出来がよくて満足できるSF娯楽作品になっていました。

主人公のロボット嫌いの理由付けもできており、サニーとの以心伝心も、ちゃんと伏線をはっているので、この手の映画にある杜撰さがなくて良かったで〜す。

ちなみに、ロボット工学の三原則とは、

(1)ロボットは人間に危害を加えてはならない。また何も手を下さずに人間が危害を受けるのを黙視していてはならない。

(2)ロボットは人間の命令に従わなくてはならない。ただし第1原則に反する命令はこの限りではない。

(3)ロボットは自らの存在を護らなくてはならない。ただしそれは第1、第2原則に違反しない場合に限る。

なのだ。

 

 

 

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