最低映画


最低映画だって好きです

テレビ東京の深夜枠で繰り返し放映される最低監督ラリー・ブキャナンの『2889年』と、ゴミビデオ(500円だがパッケージケースがない)として売られていた最低監督エド・ウッドの最低作品『プラン9・フロム・アウタースペース』を観ました。

どんな映画にだって一つくらい見所があるものですが、それこそ何にもないトホホ映画、最低映画が存在するんですね。ラリー・ブキャナンとエド・ウッドの映画はその代表といえます。監督としての才能は皆無と思われるのに、製作意欲だけは並の監督以上にあるんですよ。エド・ウッドのように、あまりのヒドサにカルトファンができちゃって、逆に有名になった人もいますが……。

エド・ウッドの映画は今回初めて観たんですが、ウ〜ン、おそろしくヘタクソだ。

飛行機の映像の後、カーテンのさがっている手前にパイロットのような服装をした男が二人、こちらをむいて座っている。まさか操縦室のつもりじゃないだろうな。それにしては操縦桿も計器類も何もない。パイロットの一人(テレビ映画「87分署」に出演していたグレゴリー・オルコットじゃありませんか)が顔を横にむけて「あれは何だ?」と叫ぶ。画面に空飛ぶ円盤が映し出される。やっぱり操縦室だったんだ。驚くべき映像感覚です。意味不明のセリフにもマイッタ。だけど、これだけ強烈に印象に残る作品も珍しいです。映画の出来とは別次元の何かが、魅力としてあるんでしょうね。

エド・ウッドと比べると、ラリー・ブキャナンはどこか中途半端ですね。私がブキャナンの名前を覚えたのは、低予算映画のロジャー・コーマンの『金星人地球を征服』をもっとチーピーにリメークした『金星怪人ゾンターの襲撃』を観た時でした。縁日の夜店で売っているようなゴムマスクの怪物が出てきた時にはズッコケましたよ。

『2889年』もコーマンの『原子怪獣と裸女』のリメークです。核戦争により人類が滅亡した後の世界で、わずかに生き残った人々の争い、男女の恋、放射能による突然変異した怪物との戦いが、マヌケなセリフと映像で描かれています。一度観たら脳裏に焼きついて二度と観る気が起こらない映画で〜す。

 

アイアン・ウォリアーズ(1986年/アル・ブラッドリー監督)

マイルズ・オキーフ

 鉄の戦士ハルガー(マイルズ・オキーフ)が、王女を守って、魔女や、幼い頃に魔女にさらわれた双子の弟と、運命的な闘いを繰り広げるヒロイック・ファンタジー。

チャンバラの連続ですが、どれもダラダラしていて一向に緊張感がありません。一昔前のイタリア製史劇を思い出しましたよ。マーク・フォレストたちミスター・ユニバースのね。

マイルズ・オキーフって、確か『類猿人ターザン』(ボー・デレク主演)でデビューしたんじゃなかったかなァ。今の世の中、肉体美だけでは映画になりませんね。

 

ハビタ 新種生命体(1997年/ルネ・ダールダー監督)

環境破壊で荒廃した近未来の地球を舞台に、実験室の事故で新しい生命体(植物人間?)となった生化学者と家族の交流。

羊歯やコケ、キノコなどの菌類が生い茂る家で平気で生活するなんて、あの母と息子はおかしいで〜す。

この映画のテーマは一体何なんだ。家族愛ということになるのかなァ。

 

キングコブラ(1999年/デビッド・ヒレンブランド監督)

遺伝子の操作によって生み出されたコブラとガラガラヘビの長所を持った30メートルを超える巨大猛毒蛇が人間を襲う。

視聴者へ対するオドカシ方は『ジョーズ』以来の常套手段で目新しさはありません。つまり、観ていて先が読めるんですね。

爬虫類専門博士のパット・モリタが出てきた時、最後はそうなるんじゃないかと思ったら、予想通りそうなりました。

 

骸骨の叫び(1956年/アレックス・ニコル監督)

どこかで観た映画だと思ったら、私が子供の頃、“オバケ大会”で観たC級ホラー映画でした。公開当時の題名が『叫ぶ頭蓋骨』だったので、録画した時は気づかなかったんですよ。

先妻が謎の死をとげた古い屋敷(電気がつかず、蝋燭で生活なんて、50年代でも考えられない設定)に迎えられた新妻が、夜ごと奇妙な物音や快現象に脅かされる。新妻というのが資産家となれば、およそ内容の見当がつくでしょう。登場人物は5人。そのうち一人は監督自ら出演。いかにもといった感じの音楽ではじまり、定石通りの展開となります。

今観たら退屈きわまりない作品ですが、小学生だった当時の私には、骸骨がでてくるだけでスリルを感じていたので〜す。

 

沖縄怪談 逆吊り幽霊・支那怪談 死棺破り(1962年大蔵映画/小林悟監督)

沖縄の実業家が、原因不明の病気にかかり、妻(香取環)が運転手と浮気している妄想にかられる。ある日枕元に妻を呼んで、中国に伝わる『死棺破り』(東方影業/邵羅輝監督)という話を語って聞かせる。それは堅い操をたてた貞淑な妻といえども、若い良い男が現われると、彼のために死んだ夫の脳ミソまで取り出そうとする、おぞましい物語だった。それを聞いた妻は、男が自分に言い寄らないように、自らその美しい顔を傷つける。夫の病気は回復したが、妻の顔は傷が化膿し、二目と見られぬものとなる。夫は妻に愛想をつかし、愛人(扇町京子)を作る。夫は養子のため、財産は全て妻名義になっており、財産を奪うために妻を殺害する。殺された妻は怨霊となって……。

左のポスターでもわかるように、全く別の2本の映画であるかのように仕組んでいますね。私も2本立てと思って叔父さんと観に行ったんですから。だけど、このアイデアはユニークで面白いと思いません?

製作者は、日本のロジャー・コーマンを目指した大蔵貢。新東宝の社長さんでしたが、倒産後、大蔵映画を設立し、その後ピンク映画と呼ばれる低予算のアダルト専門映画を量産していきます。この映画に出演している香取環や扇町京子が、初期のピンク女優になっていきます。彼女たちの活躍した頃は、私はまだ18歳になってなかったので、観ていません。私が観はじめたのは、奇才・若松孝ニ監督の全盛時でしたから……

 

ブレア・ウィッチ・プロジェクト(1999年/ダニエル・マイリック&エドアルド・サンチェス監督)

超低予算のホラー映画。製作費をかけなくても、アイデアがよければ観るに耐える作品ができるという見本。だけど、ロードショーで観るような映画ではありませんね。昔なら二番館か三番館のB級映画の3本立てで 観て、「オ!なかなかやるじゃないか」と云うような作品ですよ。

演出テクニックは素人そのものだし、俳優もアマチュア演技のレベル。それが逆に幸いして、独特の雰囲気を持ったホラーになりました。

パート2が製作されるそうですが、この手は二度と使えないので、金もできたことだし、オーソドックスなホラーになりそうですね。そうなると、たいてい最低映画になりま〜す。

 

 

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