金を湯水のように使って製作する大監督の作品は、どんな作品でも映画として平均以上の出来映えになっていますね。好き嫌いは別にして、観ることが耐えられないような作品はまずありません。 ところが低予算のB級映画になると、どこかひとつでも魅力がないと、単に時間の浪費だけになってしまいます。大半のB級映画は時間の浪費なんですけど…… それでもB級映画を観るのは、私が物好きだからです。これは私の持論なんですけど、B級映画の魅力は個々の作品で捉えるのでなく、ジャンル(例えば、西部劇とかSFといった)の中でどれだけ存在感があるか、だと思うんです。どうしようもないトホホ映画でも、トホホすぎて逆に存在感(たいていはカラカイの対象)を持つと、これがかえって魅力になるんですね。 |
バトル・マスター USAサムライ伝(1992年/サム・ステンバーグ監督)
事故で両親を失った白人が、日本でサムライに育てられる。剣の奥義を受けた主人公に、サムライの息子が嫉妬し、息子はヤクザになる。ラストは武術大会での主人公と息子の対決。 C級俳優による、低予算の典型的なC級映画です。この監督は“アメリカン・ニンジャ”シリーズを監督していますが、忍者の研究(?)だけでなく、侍やヤクザも研究したんでしょうね。サムライの心得を得々として説明してくれますからね。責任を取るときは指を詰めるというような、ヤクザの心得も所々混じっていましたが…… 異国趣味だけの平凡な演出だけど、バカを承知でみたら結構楽しめま〜す。 |
ビキニの悲鳴(1965年/ジョン・ホール監督・主演)
トロいサーフィンの音楽(担当しているのが、フランク・シナトラ・ジュニア)がタイトルに流れ、不吉な予感通り、B級どころかラリー・ブキャナン並のD級映画。 海から現れた怪人(これがトホホを通り越してトホホのホ)が、浜辺に遊びにきた若者たちを次々と襲うホラー(ホラーになっていなかったけどね) 意味のないサーフィン映像と音楽が延々と続くのは、音楽を担当したシナトラ・ジュニアが資金を出していたんじゃないかなァ。素人でも、もっとマシな映画を作りますよ。 |
モータルコンバット2 魔界来襲(1997年/ジョン・R・レオネッティ監督)
ストーリーなんて殆どなく、格闘アクションだけの映画。 もともとがゲームソフトだから、物語性は期待していませんでしたが、格闘パターンが同じなので飽きてきます。 アーノルド・シュワルツェネッガーの人相をもっと悪くしたようなブライアン・トンプソンが敵のボス役というだけで、この映画のC級性がわかるでしょう。 |
メカドッグ・ラスカル(1979年/ドン・チャフィ監督)
アニメで有名なハンナ・バーベラ・プロの実写SFコメディ。ライバル会社にツブされそうな警備会社の技術者が、ロボット犬を発明して会社を建直す物語で〜す。 この手の暴力もセックスも下ネタもない家族向け健全娯楽映画は、ディズニーが得意とする分野(例えば、『フラバー』『テニス靴をはいたコンピューター』等)なんですが、ハンナ・バーベラもディズニーと同じ路線を考えていたみたいですね。だけど、内容はウ〜ン。 主人公を危難にさらす悪党のキャラクターやギャグに、ディズニー映画のテリー・トーマスほどの魅力がないのが致命的。レッド・バトンズのマヌケギャグだけでは面白くなりません。ワンちゃんの演技だけが楽しめましたけどね。 |
太陽の七人(1986年/アラン・ジョンソン監督)
強烈な太陽に照らされ、荒野と化した未来の地球を舞台に、地球に水と自由をもたらすという伝説の球体“ボダイ”を守って、七人の孤児が国家警察と戦う物語。 メル・ブルックス製作ですが、パロディなしの真面目な(?)お子さま向き映画です。とにかくアレコレ詰めこんではいますが、手抜きが多くて、観ていて消化不良をおこしてしまいました。 この作品の価値は、ジェイソン・パトリックの映画デビュー作ということかな。 |
スターフライト・ワン(1983年/ジェリー・ジェームソン監督)
1970年代にヒットした“エアポート・シリーズ”の流れをくむTVムーヴィ。 米国〜オーストラリアを2時間で結ぶ新開発の超音速旅客機が大気圏に飛び出し、どうやって地上に帰還するかを描いた航空パニックです。 TVムーヴィ常連のリー・メジャースが主演で、レイ・ミランドがゲスト出演しています。製作年度を考えれば、満足のいく作品でしたね。 |
シャークアタック(1999年/ボブ・ミシオロウスキー監督)
何者かに操られ、殺人マシンと化した人食いザメを調査していた親友を殺された若き海洋学者が、親友の妹と共に事件の秘密を暴く海洋パニック・サスペンス。 主人公を襲うサメのSFXがどうにか見られる程度で、俳優はヘタクソだし、アクションも平凡。ほろ酔い機嫌だったので、途中で寝ていましたよ。最初と最後を見れば内容がわかるC級映画でしたね。 |
スパイダーズ 宇宙から来た巨大毒グモ(2000年/ゲーリー・ジョーンズ監督)
NASAの極秘実験で生まれた巨大毒グモと、人類の戦いを描いたSFモンスター・パニック映画。 スペースシャトルに搭載されていた実験用の蜘蛛がエイリアンのDNAの影響を受けて乗員を襲う。エリア21に不時着したスペースシャトルの中から、生き残った宇宙飛行士が秘密の地下施設に収容されるのを、こっそり取材にきていた女性記者が目撃する。そして彼女が地下施設で見たのは、宇宙飛行士の体内から現われた蜘蛛が次々に人間を襲い巨大化していく姿だった。 近眼の女性記者が巨大毒グモと対決するスーパーヒロインーになったりして、ストーリー展開はムチャクチャ。巨大毒グモの造形だけは、最近のCGを駆使しているので、見るに耐えますけど。 |
キラー・クロコダイル 怒りの逆襲(1990年伊/ジアネット・デロッシ監督)
放射性廃棄物によって巨大化したワニが人間を襲う『キラー・クロコダイル』の続編。 前作だってたいした作品じゃなかったのに、せっかく金をかけて造った巨大ワニを1作だけで処分するのが勿体ないので、続編を作った感じのイタリア商法ミエミエの作品。 10年前の作品といっても、いかにも造り物といったワニにはシラケます。それとラストのSFXのチャチいこと。 リズ・オルトラーニの音楽もパンチ力なし。時間の浪費だったなあ。 |
スーパーヒーロー メテオマン(1993年/ロバート・タウンゼント監督・主演)
出演者の殆どが黒人というブラック・プロイテ−ション映画。つまり、黒人の黒人による黒人のためのアクション・コメディでした。地球に飛来した隕石に当ったため超人となった主人公が、ハーレムに巣くう悪の組織と戦う物語。 わかりやすいギャグとパロディで毒にも薬にもならない作品。スナック菓子のようなものですね。 |
バトルシップ(1997年/マイケル・バファロ監督)
ハイジャックされた囚人輸送宇宙船を舞台に、宇宙船を乗っ取った凶悪犯と、思わぬからその宇宙船に乗ってしまった泥棒が、事態収拾のために戦いを開始する。 『コン・エアー』のSF版みたいな作品ですが、未来世界の感じが全くしないんですよ。凶悪犯のキャラクターも魅力ないし、安手のガン・アクション映画でした。 |
メタモルフォーゼ/宇宙感染(2003年/監督:チャック・ボウマン)
スペースシャトルで船外活動をしていた宇宙飛行士が、隕石のような物体にぶつかり腕にケガをする。宇宙局の病院で、飛行士の腕から取り出した隕石のカケラから蛾に似たDNAが発見される。しかし、その時すでに宇宙蛾は飛行士の腕を食い破って、飛び去っていた。宇宙蛾は人体に取り付いて増殖はじめ…… ニコラス・リーとかジェイミー・ルナーとか知らない役者ばかりのTVムーヴィ。内容もよくあるパターンで、目新しさはありません。RHマイナスの血液型は知っていたけど、Bマイナスの血液型があるのを初めて知りました。全体に占める割合が8%とは、意外と多いんだ。 |
バグズ・パニック(2003年/監督:ジョセフ・コンティ)
地下鉄の工事現場に犯人を追っていった警官が何者かに殺される。現場に残された痕跡から、警官が巨大昆虫に襲われたことがわかる。特殊部隊が編成され、地下トンネルの捜索を開始するが…… 工事により古代トンボが蘇るんですな。最初に出てくるのが幼虫。女王がトンボでした。東宝怪獣のメガヌロンの仲間かな。主役はアントニオ・サバトJRで、相手役がアンジー・エヴァハート。『メタモルフォーゼ/宇宙感染』でもそうでしたが、この作品でも昆虫学者は女性です。完全にパターン化していますね。 |
宇宙からの生命体/ブラッド・ラスト(1958年/監督:エドワード・バーンズ)
宇宙調査の人工衛星が回収され、未知の物体が人工衛星に付着していた。科学者が調べたところ、それはカビのような宇宙生物“ブラッド・ラスト”だった。おそるべきスピードでブラッド・ラストは増殖し、科学者を飲み込んでしまう。科学者からの連絡でかけつけた国家安全局員は、家ごとブラッド・ラストを焼き滅ぼすが、既に科学者の元妻のカバンに付着していた…… 劇場未公開のSFホラー。1950年代のC級SFによく見られた特撮が殆どないチーピーな作品です。ドラマ部分でサスペンスを盛り上げようとしているのですが、内容が陳腐なので退屈、退屈。 |
イット・ケイム・フロム・アウター・スペース(1953年/監督:ジャック・アーノルド)
砂漠で暮らしている天文学者(リチャード・カールソン)と、彼の恋人(バーバラ・ラッシュ)が隕石の落下を目撃する。二人は現場に行き、宇宙船を発見するが土砂崩れで、それは埋もれてしまう。最初は保安官に話しても信用してもらえなかったが、行方不明者が出るにおよんで…… 主演がリチャード・カールソンにバーバラ・ラッシュというB級キャストによるB級SF映画。宇宙人登場シーンは宇宙人の目を通して描く(画面は宇宙人を見て怯える人の顔)ことにより、観客に想像させる工夫をしています。宇宙人は変身能力があり、捕まえた人間に変身して現れるので中々正体を見ることができません。正体を見たら、チーピーな造形で笑ってしまいましたけどね。そこがB級SF映画の楽しみでもあるのですが。結局この宇宙人は悪者でなく、故障した宇宙船の修理のために人間を捕まえただけなので〜す。 |