『ミスター・ノーボディ2』(1975年/監督:ダミアーノ・ダミアーニ)
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流れ者のジョー・サンクス(テレンス・ヒル)が、詐欺師のポール(ロバート・シャールボア)とルーシー(ミウミウ)を利用して、インディアン嫌いの騎兵隊少佐(パトリック・マクグーハン)が砦に隠し持っていた30万ドルを騙しとる…… 本場モニュメントバレーでロケした価値があったか、大いに疑問。本場西部劇へのこだわりを持って製作に携わったセルジオ・レオーネの自己満足のような気がしますね。レオーネが撮影したという冒頭のモニュメントバレーのシーンが、全体のストーリーとリンクしていないんですよ。 ダミアーニは、『群盗荒野を裂く』では、私の評価を高めた監督なのですが、コメディは全然ダメですね。よくぞまあ、こんなツマらない作品を作ったものだ。題名においても、監督においても、ダブルでガッカリさせられた作品でした。 未見で期待が大きかった分だけ、失望も大きかったよォ。 |
『ザ・サムライ荒野の珍道中』(1974年/監督:セルジオ・コルブッチ)
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三船・ブロンソン・ドロンが出演した西部劇『レッド・サン』のパロディです。日本人使節団が大統領に献上するポニーをインディアン(白人が変装した偽者)に奪われるんですな。ポニー(シンミと言っているが神馬=シンメのことだと思う)の身代金が要求され、金を運ぶ保安官(イーライ・ウォラック)・馬を取り返そうとするサムライ(トーマス・ミリアン)・金を盗もうとする流れ者(ジュリアーノ・ジェンマ)の三人と、金を奪おうと襲撃してくる悪党一味が目的地を目指してドタバタ道中をします。 とにかく、ミリアンの扮装が酷いのです。白塗りペインティングで吊り上げた目に泥鰌ヒゲと、まさに外人の日本人像ですね。日本語になってない日本語を喋たりと、彼の存在そのものがギャグなんで、目くじらを立てることもないのでしょうが、珍奇すぎて笑えません。コルブッチらしいお笑いアクション演出や、乱闘シーンにおけるジェンマの動き、ウォラックのとぼけた演技など持ち味が出ているところはあるんですけどねェ。 二階堂卓也:著の『イタリア人の拳銃ごっこ』に、「マカロニウエスタンのタイトルを台詞がわりにズラズラ並べて笑わせた」とあったのですが、私の英語力では半分もわかりませんでした。 |
『ザ・ビースト』(1970年/監督:マリオ・コスタ)
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悪党のジョニー(クラウス・キンスキー)と相棒が大金を奪おうと年老いた金持ちを殺しますが、金は銀行に預けられているんですな。それで、遺産を奪おうとリカルド(スティーブン・テッド)とナンシーに話を持ちかけ、計画は成功しますがリカルドとナンシーに金を持ち逃げされます。そのことを知った山賊が金を横取りしようと、三つ巴の争奪戦が展開するんですが、モタモタした演出で全然盛り上がりません。 『ガン・クレイジー』の使いまわしがあるものの、ステルビオ・チプリアーニの音楽だけが並で、カッコよいガンプレイもなければ情感の豊かさもない、役者の魅力も出ていない最低西部劇ね。題名の由来は、女と見ればチョッカイを出す色情狂のキンスキーを指しているのでしょうが、拳銃の名手でもなければ、めっぽう悪知恵が働くわけでもなく、ドジってばかりで悪の魅力に欠けます。役的にはトホホといえるでしょう。キンスキーは『殺しが静にやってくる』のような冷酷残忍さが前面に出てこないとね。キンスキーの 名前だけでビデオ発売された感じの作品で〜す。 |
『ハチェット無頼』(1977年/監督:セルジオ・マルチーノ)
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霧の中を暗い異様な歌声が流れ、逃げるお尋ね者の右腕を、投げたトマホークで切断するショッキングな冒頭シーンだけで、まさにマカロニの強い匂いが漂ってきて嬉しくなります。賞金を受け取るために鉱山町へやってきた主人公(マウリツィオ・メリル)は、町のボス(フィリップ・ルロワ)に腕前を見込まれて、誘拐されたボスの娘の救出を頼まれます。ところが、その誘拐はボスの後釜を狙う腹心と娘の狂言で、事実を知ったボスは腹心に殺され、主人公は土中に埋められ、太陽で目を焼かれますが…… 主演はどことなくフランコ・ネロに風貌が似ていたマウリツィオ・メリル。グルーミーな感じは、この映画にマッチしていましたね。フラッシュバック演出で主人公の過去が徐々に明らかになってくるところや、太陽で目をつぶすリンチシーンはマカロニではお馴染みですが、全体的にはオーソドックスな作り方で私は気に入りましたよ。 |
『続・復讐のガンマン』(1967年/監督:セルジオ・ソリーマ)
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日本未公開のマカロニウエスタンです。山賊に射たれた革命指導者の遺言で、革命資金(金塊)を探すはめになった小悪党(トーマス・ミリアン)の物語ね。金塊を我が物にせんとするメキシコ山賊やフランスの軍事顧問、金塊を革命に役立てようとする元保安官、小悪党に惚れていて自分の許へ連れ戻そうとするメキシコ女、旅先で小悪党に救われた救世軍の女、そういった多彩な人物が絡み合って物語が展開していきます。 主人公の小悪党・クチーヨは、前作『復讐のガンマン』でユニークなキャラクターとして確立しており、本作はその発展形ですね。トーマス・ミリアンが、水を得た魚のように生き生きと演じています。作品としての出来は前作の方がいいのですが、ナイフが主力武器になるのは本場西部劇にも、これまでのマカロニにもないもので、目新しさがありますよ。ソリーマ監督は柔道を習っていて、日本通とのことなので、日本の忍者映画の影響を受けているのかもね。同じセルジオでも、レオーネやコルブッチと比較すると、ソリーマは全体的にしつこさがなく、その分、物足りませ〜ん。 |