『GOD’S GUN』(1976年/監督:フランク・クレイマー)
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日本未公開のマカロニ・ウエスタン。テレビでも放映されていないようです。IMDbで確認すると『Diamante Lobo』(監督も本名のジャンフランコ・パロリーニ)となっていました。 サム・クレイトン(ジャック・パランス)が率いる無法者集団がジュノの町にやってくる。酒場でのカードのトラブルから、一味のひとりが賭博師をナイフで背中から刺し殺す。酒場の経営者ジェニー(シビル・ダーニング)は、殺人罪で捕まえるように保安官(リチャード・ブーン)へ強硬に訴えるが、保安官はとりあわない。正義感の強いジョン神父(リー・バン・クリーフ)が、クレイトン一味を追いかけ、敵の油断をついて素手で殺人犯を捕まえる。しかし、黙ってひきさがるようなクレイトンでなく、密かに町へ戻ると、判事を脅して捕まった部下を助け出し、コケにされたジョン神父を暗殺する。神父を父のように慕っていたジェニーの息子ジョニーはショックで声が出なくなるが、生前、神父が語っていた弟のルイス(クリーフの二役)へ神父の死を知らせに行く。ルイスは名うてのガンマンだったが、兄に諭されてガンマン稼業から足を洗い、今は静かに暮していた。足を洗う時に兄に預けた拳銃をジョニーが持ってきたことから、事情を察知したルイスは、兄に代わってクレイトンと戦うことを決意する。兄の僧服を着て、ルイスは一人づつクレイトン一味に復讐していく。正体不明の復讐者に怯えたクレイトンは、ルイスの正体を知るジョニーを捕まえるように部下へ命じる。ジョニーに危害がおよぶのを恐れたジェニーは、クレイトンにジョニーがクレイトンの子どもであることを告げる。南北戦争時、行軍の途中で犯した女がいたことを思い出したクレイトンは…… これまでカツラをつけたリー・バン・クリーフは何度か見たが、今回は違和感をもちませんでした。黒のロングヘアーはクリーフの顔にマッチしていたからですね。主人公のキャラクターもクリーフらしさが出ています。コメディー・タッチのマヌケな作品より、オーソドックスな作品の方がクリーフには似合っています。 銀行強盗で稼いだ金の隠し場所を、自分だけのものにするため、平気で仲間を射ち殺すジャック・パランスの悪党ぶりもいいねェ。リチャード・ブーンは、特別出演といった感じで、どうってことはなし。 フランク・クレイマーの演出は少しカッタルイところがあるけど、マカロニとしては水準作品といえま〜す。 |
『FIND A PLACE TO DIE』(1968年/監督:アンソニー・アスコット)
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金鉱を奪いに来たならず者の襲撃を防ぐために使ったダイナマイトで岩山が崩れ、土砂に埋まって身動きのとれなくなった夫を救うため、リサ(パスカル・プティ)が酒で身を持ちくずしているジョー(ジェフリー・ハンター)を雇う。ジョーは4人の仲間を集め、救出にむかうが…… これって本場西部劇『悪の花園』の焼き直しですよ。だけど、ゲーリー・クーパーがジェフリー・ハンターで、スーザン・ヘイワードがパスカル・プティなので、かなり見劣りがします。おまけに、ハンターにしてもプティにしても、往年の輝きを失っており、“昔の名前で出ています”といった感じですからね。 チーピーな初期のマカロニ作品で、セットも組まずにメキシコの村に似たような所を選んでロケしていますが、もろスペインの風景。音楽もひきつけるものがないし…… これでは、魅力的な作品になるわけありませんよォ。 |
『Fistful of Lead』(1970年/監督:アンソニー・アスコット)
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伊語題名『C’e Sartana,Vendi la Pistole e Comprati la Bara(俺はサルタナ、棺と銃の交換だ)』というマカロニ・ウエスタン。 ジャンニ・ガルコが、他の映画出演のために、この作品のオファーを断り、代わりにジョージ・ヒルトンがサルタナを演じたシリーズ5作目です。 銀行家が横領した金をめぐって、サルタナが、銀行家と彼が雇った無法者一味、それに謎のガンマン・サバタと対決する物語。 放り投げた水筒をライフルで射ち抜き、水筒の水で導火線を消したり、パンに挟んだ拳銃で敵を倒したりとか、最初から最後まで趣向を凝らしたガンプレイの連続で退屈しません。冒頭で、無法者一味が土の中から現れて幌馬車を襲撃するシーンがありましたが、子連れ狼にも似たようなシーンがありましたね。時期的に、どちらが先だろう? チャールズ・サウスウッドのサバタが日傘をさして現れますが、マカロニDVDボックス“殺戮編”の特典DVDでアスコット監督が言っていたのが、この作品なんですね。サウスウッドのサバタは白づくめでイメージは全然違いますが、愛用の銃は、『西部無頼列伝』でユル・ブリンナーが使っていたハーモニカ銃。ただし、カセットは装着していませんでしたけどね。 サルタナものには、ジャンゴが登場する作品もあるそうですが、一体どんなジャンゴが登場することやら…… |
『BOOT HILL』(1969年/監督:ジュゼッペ・コリッツィ)
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町の権力者ビクター・ヴオノに命を狙われ、傷を負ったテレンス・ヒルは、サーカス団に助けられる。ヒルを助けた空中ブランコ乗りの若者がヴオノの手下に殺され、サーカス団で暮らしている元ガンマンのウッディ・ストロードと協力して、ヒルはヴオノを倒す決意をする。そして、昔の仲間のバッド・スペンサーとジョージ・イーストマンが加わり…… キャット・スティーブンス(テレンス・ヒル)を主人公とするシリーズ3作目。第2作目は、私は未見ですが『荒野の三悪人』の邦題で公開されています。 このキャット・スティーブンスというキャラクターは、マカロニのヒーローにしては頼りないんですよ。冒頭でヴオノの手下に襲われるんですが、あの程度の人数で逃げ惑うようじゃね。ジャンゴなら全員殺していますよ。 権力者に対して、正義に目覚めた町の住民が起ちあがるなんて、アメリカ西部劇の世界じゃないですか。マカロニとしての商品価値は低いよなァ。 それでも、ウッディ・ストロードが主人公と見まがうくらいカッコいいので是としましょう。 |