『VENGEANCE』(1968年/監督:アンソニー・ドーソン)
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日本未公開のマカロニ・ウエスタンです。 弟をバラバラにされて殺されたガンマン(リチャード・ハリスン)が、弟を殺した相手に復讐していく物語。殺した相手に、弟殺害に使用されたロープの切れ端を残していくのがミソですね。 リチャード・ハリスンは、結構マカロニに出演していて、昔テレビで何本か観ましたが、全然印象に残っていないんですよ。この作品でもハリスンの印象は? 白塗りメーキャップ(白塗りの意味は不明だけど)のクラウディオ・カマソの方が記憶に残るしょうね。 映画の方は、射合いシーンが頻繁にあって退屈しませんけど、それだけです。 |
『Belle Starr Story』(1968年/監督:ネイサン・ウィッチ)
エルザ・マルティネリ |
流れ者のラリー・ブラッキー(ジョージ・イーストマン)にポーカーで負けたベル・スター(エルザ・マルティネリ)はラリーとベッドをともにし、自分が無法者になった経緯を語りはじめる。ベルは富豪の令嬢だったが、後見人だった叔父が親を殺した犯人と知り、復讐のために家を出る。無法者のコール・ハーベイ(ロバート・ウッズ)と知りあい、彼の助けで叔父を殺すが、欲望を抑えられ なくなったコールに乱暴されそうになり…… ベル・スターの名前を借りただけの全くのフィクションで、史実とは関係ない“ベル・スター物語”になっています。ただ、ベルに惚れる無法者の名がコール・ハーベイというのは、コール・ヤンガーを意識したのかもしれませんけどね。 イタリア原題の『ポーカーの代償は私』がピッタリくる内容で、ハリウッド西部劇と違い、エロと残酷で見せるマカロニらしいベル・スターになっていました。 |
『LE PISTOLE NON DISCUTONO』(1964年/監督:マイク・パーキンス)
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無法者の兄弟が銀行を襲撃しメキシコへ逃げ込む。保安官(ロッド・キャメロン)はメキシコまで二人を追って捕まえるが、金を横取りしようと山賊が襲撃してくる。無法者の兄は死に、保安官は弟と、追跡の途中で知り合った姉弟の牧場へ逃げ込むが…… 『荒野の用心棒』で世界的にブームとなる以前のマカロニで、1950年代の米B級西部劇に近い作り方(かなり大雑把ですけどね)をしています。気の弱い弟が牧場の娘に恋をして改心し、山賊に囲まれた牧場を脱出して、騎兵隊を呼びに行くんですな。突撃ラッパとともに騎兵隊が救出にやってくるところは、相手がインディアンでなく山賊という違いはあっても、米西部劇の世界です。 画像は、主演のロッド・キャメロン。50年代のB級西部劇で活躍した米俳優で、クリント・イーストウッドより早くヨーロッパに行ってマカロニだけでなく、ドイツ西部劇にも出演しています。年齢的に動きは少し重いですが、鉱山のトロッコに飛び乗って敵陣を突破するガンバリを見せていますよ。音楽はエンニオ・モリコーネで、初めて作ったマカロニ・テーマね。西部劇風曲調の中に、モリコーネ節がところどころ出てきま〜す。 |
『A Bullet For Sandoval』(1969年/監督:フリオ・ブックス)
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ジョージ・ヒルトンとアーネスト・ボーグナインの対決を描いた作品ですが、爽快感のないドロドロした情感は本場西部劇にはないマカロニ特有のものですね。好みがわかれる作品です。 南北戦争に出征していたヒルトンが恋人の危篤を知らされ、軍隊(南軍)を脱走して恋人のもとに駆けつけると、恋人は出産がもとで死んでいるんですな。恋人の父親アーネスト・ボーグナインは自分の娘に手をつけたヒルトンを憎んでおり、娘が産んだ赤ん坊をヒルトンに渡して追い出します。いくら親不孝の娘が憎い男の子を産んだからといって、孫を男に渡す心境がわかりませんね。孫は可愛いものですよ。 赤ん坊は苛酷な環境下で死に、ヒルトンは世の中を恨んで、一緒に脱走した軍隊仲間と無法者集団を結成、復讐鬼となります。殺人犯として官憲に追われたヒルトンはメキシコに逃れ、祭り見物にやってきたボーグナインと闘牛場で対決ね。拳銃による単純な決闘でなく、ナイフと格闘による肉弾戦は、互いの憎しみがこもるギトギトしたものになっています。猛牛を使ってヒルトンを殺そうとしたボーグナインは逆に猛牛の角に刺されてあの世行き、ヒルトンもメキシコ官憲の一斉射撃であの世行きとなりま〜す。 |
『The Silent Stranger』(1969年/監督:バンス・ルイス)
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日本でロケしたマカロニウエスタンです。1884年、雪のクロンダイクで無法者に襲われたインディアン(日本人?)から託された巻物を持って流れ者(トニー・アンソニー)が日本(大阪?)にやって来るんですな。迎えにきた侍(浜田晃)とは言葉が通じず、誤解から争いになります。浜田晃とトニー・アンソニーのチャンバラは、『レッド・サン』(1971年/監督:テレンス・ヤング)の三船とブロンソンね。アイデアは『レッド・サン』より、この作品の方が早いのだよ。 大阪では、北村英三を首領とする侍集団と大前均を首領とする野盗集団が対立しており、村人から金を巻き上げる野盗の子分を殺したことから流れ者は争いに巻き込まれます。野盗集団にはガトリング銃をブッ放す外人(ロイド・バチスタ)が用心棒をしており、ハチャメチャな設定です。流れ者は金儲けのために巻物を利用して、アッチについたりコッチについたりして両者を咬み合わせ、壊滅させようとするんですが、北村英三と大前均が叔父・甥の関係で突如仲直りしてドンチャン騒ぎ。北村英三が養っていた少女(何故かこの子だけが英語が喋れる)を大前均に嫁がせようとしたことから、悲しむ少女のために流れ者は、友人となった浜田晃と野党一派を襲い、再び乱闘となります。流れ者が旧式火縄銃を改造した銃でもって、『暁の用心棒』のごとく、巧みに悪党たちを倒していくところはトニー・アンソニーの本領発揮です。 この作品は、トニー・アンソニーが自ら製作し、ストーリーも担当しています。当時トニー・アンソニーはルチアナ・バルッチと愛人関係にあり、前年バルッチが出演した『ガンマー第3号・宇宙大作戦』(東映/監督:深作欣二)の撮影に彼女と来日して、時代劇に非常に興味を持ったようです。刺青シーンや、忍者や湯女の刺客、白粉ベットリの小姓など、見知った事(殆どが誤解)を全て盛り込んでいますね。後年、彼が主演した『盲目ガンマン』も、マカロニ座頭市でしたねェ。 |