テレビ・ビデオ・DVD公開作品


『西部の無頼人』(1968年/監督:パオロ・ビアンキーニ)

牧場を買うためにやって来た町で、クレイトン(クレイグ・ヒル)は妹を無法者のジャック(ホセ・マヌエル・マルティン)に殺される。クレイトンは妹の復讐のためにジャックを追い、ジャックを雇っている武器商人の屋敷に忍び込むが……

主人公もマヌケなら悪党もマヌケで、アクションシーンが続いても散漫なだけです。ツッコミたくなるところが多いのは、典型的なマカロニ・ウエスタンですね。

南北戦争の和平締結阻止だなんて、なまじ南北戦争を背景に持ってくるものだから余計にアラが目立ちます。牛追いをして稼いだ金が南部の紙幣だったために牧場を買うことができなかった主人公が、拾い集めた北部の紙幣で牧場を持つことができて、ハッピー、ハッピーのラストは是としましょう。

 

『無頼プロフェッショナル』(1971年/監督:ユージン・マーティン)

仲間と銀行の床をぶち抜いて大金を奪ったキング(リー・ヴァン・クリーフ)は、逃走中の列車で知りあった美女(ジーナ・ロロブリジダ)と意気投合し、結婚する。ところが、この美女に有り金残らず奪われ、おまけに精神病院に放り込まれる破目となる。退院後、昔の仲間(この中に、ガストーネ・モスキンとジャンニ・ガルコがいる)を集め、メキシコ政府の火薬庫爆破の仕事を引き受ける。火薬庫を爆破させて、再度高い代金でメキシコ政府に武器を売り込もうとする死の商人(ジェームズ・メイスン)の依頼だったが、彼の妻はあの美女だった。火薬庫の爆破には成功するが、メキシコ軍(将軍がエドアルド・ファヤルドで、部下がアルド・サムブレル)に取り囲まれ……

それにしてもこの映画、マカロニにしては豪華キャストですよねェ。名優ジェームズ・メイスンに加えて、とうが立っているとはいうものの、天下の美女ジーナ・ロロブリジダが出演しているんですからね。『ワイルド・トレイル』のカトリーヌ・スパークは、中年のオバサンになっていたけど、ロロはまだまだ色香満点。だけど、ロロの魅力を強調するあまり、作品の方はトホホ。コメディーといっても、クリーフのマヌケ振りは笑えません。カツラをつけて若返りを図り、ロロとの共演は、クリーフにとって出世になるのかなァ。

それと、原題の『BADMAN’S RIVER』の題名は、『ショウ・ボート』の「OL’MAN RIVER」から採ったのかなァ。

 

『カリフォルニア』(1977年/監督:ミケーレ・ルーポ)

ビデオタイトルは『復讐の用心棒』ですが、『復讐の用心棒』は劇場公開されたロバート・ウッド主演の方がマカロニ・ファンには一般的だし、ジェンマ主演のテレビ放映(劇場未公開)作品に『新・復讐の用心棒』があるので、それとも混同しそうで、紛らわしいたらありゃしない。マカロニ・ファンには『カリフォルニア』で通用するのにねェ。

改題の権利は、そのビデオの版権所有者(ビデオ発売元)が持っているそうですが、未公開作品については原題を活かした邦題(よほどマヌケなのは別として)にして欲しいですよ。

南北戦争が終わり、南軍に参加していたカリフォルニア(ジュリーアーノ・ジェンマ)と呼ばれるガンマンは、彼を慕う若者ウィリーと彼の故郷ジョージアへ向かう。しかし、旅の途中でウィリーは北軍くずれの賞金稼ぎに殺される。 カリフォルニアはジョージアへたどり着き、ウィリーの家族へ彼の死を告げ、大事に持っていた勲章を渡す。カリフォルニアはウィリーの代わりとして農場を手伝ううちに、ウィリーの姉ヘレン(パオラ・ポゼ)と愛しあうようになる。しかし、ヘレンと一緒に買物に行った町で、ウィリーを殺した無法者の一団にヘレンをさらわれ、ヘレン救出と復讐のために無法者を追跡する……

中身の方はミケーレ・ルーポの作品だから、どうってことのないマカロニですけど、カエルを捕まえて食べるシーンを観て、昔のことを思い出しました。私もカエル(足のから揚げ)を食べたことがあるんですよ。

1971年頃、神戸に“テキサス・タバーン”というアメリカン・レストランがあって(現在でもあるのかなァ?)、そこの名物料理がカエルの足。“ケンタッキー”のチキンより、はるかに美味かったですよ。

『カリフォルニア』に出てきたカエルは小さかったけど、本当はもっと大きな食用ガエル。アメリカでは、それも西部ではカエルを食べるんだ、と妙なことに感心したりしてね。だけど、本場の西部劇でカエルを食べるシーンを観たことがないなァ。

マジでカエルは美味しいよォ。

 

『ガンファイター』(1973年/監督:ジャンカルロ・サンチ)

サクソンシティに向かうクレイトン(リー・バン・クリーフ)は、旅の途中で凶悪な賞金稼ぎたちに追われる若い男を助け、道連れになる。若い男は、サクソンシティを支配するサクソン一家の長老殺しの嫌疑で指名手配されていたが、真犯人は別にいた……

テレビ放映時の邦題が『怒りのガンマン・銀山の大虐殺』というマカロニ・ウエスタンです。未見だったことに加えて、サントラCDも持っているので興味を持って観ましたけど、トホホ。

クリーフの黒づくめのスタイルはカッコいいのですが、ダブルアクションのSWを使ったガンプレイは気にいりませんね。拳銃さばきの下手な役者がやるのならともかく、クリーフとなると許せないんですよ。

かったるい物語展開に、お粗末なガンプレイ。音楽も今イチで、こんなつまらないものに最後までつきあう私はガマン強い。

 

『ダーティ・セブン』(1970年/監督:トニーノ・ヴァレリ)

テレビ放映時は“要塞攻防戦”の副題がついていたマカロニ・ウエスタン。

ブームが去った1970年以降のマカロニ・ウエスタンには、アメリカの名のしれた俳優が出演しているんですね。ブームのお蔭で資金にゆとりができたのでしょう。

この作品にはジェームズ・コバーンとテリー・サバラスが出演しています。大物俳優が出演しているからといって、作品の出来がよくなるかというと別でしてね。人物像が明確になっていないので、物語に深みがないんですよ。

コバーンは北軍の大佐で、南軍に奪われた砦を奪還することを執念にしているのですが、どうして南軍に砦を奪われたかが説明不足。だから、コバーンの執念が伝わってきません。

砦奪還のために、命と自由を代償に、死刑を宣告された凶悪な兵士を部下にするんですが、当然命令に素直に従うわけがありません。ただ、バッド・スペンサーだけがコバーンに友情を感じて協力するんですね。だけど、コバーンとの友情がどうして生まれたのかがわからない。

テリー・サバラスは南軍の司令官で、その地方の独裁者という設定らしいのですが、単なる砦の指揮官程度にしかみえない。おまけに有能なところが見受けられず、サバラスを起用した意味があるのですかね。

コバーンの砦奪還作戦もかなりいい加減で、サスペンスが盛り上りません。無能同士の対決じゃあ、面白くなるわけがありませんよォ。

 

 

 

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