音楽映画


『青春ジャズ娘』(1953年・新東宝/監督:松林宗恵)

全国大学ジャズ演奏会で優勝した城南大学のシックス・メロディアンズは、大学卒業後もプロとしてやっていこうと誓うが、ドラムの青木(フランキー堺)が悪徳興行主に誘われて抜けたため、バラバラとなる。リーダーの後藤(片山明彦)は、昔の仲間を集めて再びメンバーを結成しようとするが……

メンバーの一人で、ピアノを弾いていたのが、デビュー間もない頃の天知茂。もちろんセリフはありません。フランキー堺の恋人役が、安西郷子。和製ローレン・バコールと呼ばれていましたが、本家と違って清楚な美人といった感じでしたね。悪徳興行主の子分が大泉滉。オツムのネジがとれていて、どこか狂ったようなところが可笑しいんですよねェ。

ムッシュかまやつのお父さんであるティープ釜萢を初めとする、当時のジャス界の主要人物が顔を見せています。新人ジャズ歌手の新倉美子は、新国劇の重鎮・辰巳柳太郎の娘さんじゃなかったかな。

江利チエミも俳優としてでなく、歌手としての出演で〜す。

 

『娘十六ジャズ祭』(1954年・新東宝/監督:井上梅次)

ジャズバンドの三田(片山明彦)、松本(フランキー堺)、新井(高島忠夫)と歌手の美智子(新倉美子)は、長野から上京してきた身寄りのない少女みゆき(雪村いづみ)を自分たちの住むアパートへ連れてくる。彼らの育ての親である二宮(古川緑波)が、みゆきの面倒をみることになるが……

雪村いづみの女優デビュー作。演技はさておいて、歌唱力はバツグン。とても16歳の少女の歌とは思えないですね。新倉美子の歌と比べたら違いがはっきりわかります。新倉美子の歌もヘタではないけど……

片山明彦がトランペット、高島忠夫がベースを、『青春ジャズ娘』に続いてこの作品でも吹替えでなく、実際に演奏していましたよ。

 

『東京シンデレラ娘』(1954年・新東宝/監督:井上梅次)

父を亡くした少女みどり(雪村いづみ)は、父の友人だった奇術師のジョニー(伴淳三郎)を訪ねる。借金取りに追われるジョニーは、みどりと楽屋から逃げ出し、ホームレスの生活を始める。

ある日、雨宿りした屋敷が留守だったのを幸いに、ホームレス仲間を集めてドンチャン騒ぎをしていると、屋敷の持主の姪(新倉美子)と、彼女のジャズ仲間(中山昭二他)がやってくる。

ホームレスたちの音楽がジャズのリズムだったことから、一緒に演奏しているところへ屋敷の持主・吾平老人(古川緑波)が帰ってくる。

吾平老人は訳のわからないままパーティを楽しみ、みどりを気に入り、箱根の別荘で一緒に暮すようになるが……

後列:高島忠夫、中山昭二、和田孝

前列:雪村いづみ、新倉美子

金持ちだがケチで人嫌いな老人が、清純な少女と接しているうちに、音楽で人生の楽しさを知り、生きる元気を取り戻すハートフルな物語です。あまりに定番すぎて、臭〜い内容。

ラストのショーでは、フランキー堺(俳優でなく、シックス・レモンズのドラマーとして出演)を初めとする当時の人気ミュージシャンが出演。テレビが普及する前なので、生ステージに接することのない地方の音楽ファンは、映画で演奏を楽しんだのでしょうね。

それにしても、パトロール警官役の三木のり平が、最高に可笑しいのだ。 

 

『ジャズ娘乾杯』(1955年・東宝/井上梅次)

曲芸師タニマン(伴淳三郎)の娘・高子(寿美花代)、待子(朝丘雪路)、美子(雪村いづみ)は、ミュージカルスターを夢みていたが、タニマンは娘たちが芸人になるのは反対していた。三人は父に内緒で舞台に立つが、怒ったタニマンは興行の旅に出てしまう。美子が父の世話をするために一緒についていくが、高子と待子は、同じアパートに住むドラマーのフラやん(フランキー堺)の紹介で、緑ヶ丘映画の助監督・昭ちゃん(中山昭二)を訪ねるが……

ハリウッド・ミュージカルでお馴染みのバック・ステージものです。ミュージカル映画作りを夢みている仲間に、ペギー葉山、高英男、柳沢真一、寺島正などがいて、歌と踊りを見せてくれます。

『東京シンデレラ娘』に続き、中山昭二がこの作品でも、精力的に上手くもない踊りを披露してくれるけど、当時は踊れるスターという存在だったのだろうか。

江利チエミが、ラストの劇中ミュージカル「黄色いマフラー」で、いいところを持っていってしまいますが、この時点では雪村いづみよりスターランクが上なんですかね。

寿美花代、朝丘雪路、雪村いづみのタイツ姿を見ることができて、満足、満足。

 

『ロマンス誕生』(1957年・東宝/監督:瑞穂春海)

東京からの帰省の列車で、ちょっとしたケンカで知り合った女子大生(雪村いづみ)と大学生(山田真二)が、二人の父親が関係するキャバレーのショーを通して愛し合うようになる青春ミュージカルです。

ひばり映画でなく、いづみ映画なのですが、美空ひばりが本人の役で特別出演して、いいところをさらっています。

劇中で「波止場だよ、お父っあん」を歌うのですが、“♪〜歳はとっても、メクラでも〜”のフレーズがあるのに気づきました。ひばりの思い出番組で、昭和30年代のヒット曲なのに、この歌だけが放送されなかった(放送禁止歌になっている)のがわかりましたよ。

“♪〜ジャスト・ウォキニン・ザ・レイン〜”、“♪〜サイクリング、サイクリング、ヤッホー、ヤッホー〜”の歌声が流れ、う〜ん、30年代だ。

 

 

 

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