南北戦争関連映画


南北戦争は1861年4月12日に南軍が北軍のサムター要塞を攻撃して始まり、1965年4月12日に南軍が降伏調印するまでの、まる4年間続いたアメリカ最大(というより世界史上最大)の内戦でした。大きな戦闘だけでも50回を越え、北軍の死者役36万人、南軍の死者26万人、合計62万人という死者の数は、第二次大戦の約32万人と比べて、とんでもなく大きいということがわかるでしょう。

戦争の原因は、奴隷制度をめぐって南北が対立したことにあるのですが、価値観や生活様式も違っていました。国家分裂の道(例えば、ネーデルランドがオランダとベルギーに分かれたように)を選べば、戦争は起こらなかったと思うのですが、南部は独立を考えておらず内戦の道を選び、北部は頑なに南部州との共存をあきらめなかったのか、私は疑問に思っています。

全てのアメリカ人(黒人、移民含む)にとって、南北戦争というのは何だったのか、映画を観ながら考えています。

 

リンカーン暗殺の日(1998年/監督:ジョン・グレイ)

1865年4月15日10時13分、フォード劇場でリンカーン大統領がジョン・W・ブースより暗殺された事件を、ドキュメンタリー・タッチで描いた作品で、結構歴史の勉強になりましたね。

ランス・ヘンリクセンがリンカーンを演っていましたが、これがリンカーンにそっくり。『若き日のリンカーン』のヘンリー・フォンダより似ていましたよ。

それと銃器が史実通りなのがうれしかったですね。ブースが暗殺に使用した先込め式のデリンジャーの弾丸込めシーンなんて、ガンマニアのカルトの世界。

※左記画像はジョン・W・ブースの写真

 

カンサス騎兵隊(1940年/監督:マイケル・カーティズ)

南北戦争直前の陸軍士官学校で、奴隷制度即時廃止を呼びかけて過激な暴力にはしるジョン・ブラウン(レイモンド・マッセイ)の説をめぐって、ジェブ・スチュアート(エロール・フリン)とレイダー(ヴァン・ヘフリン)が大喧嘩を始める。学校内で政治活動をしていたことからレイダーは退校処分になり、スチュアートと親友のカスター(ロナルド・レーガン)は、サンタフェ鉄道工事現場の駐屯部隊付きを命じられる。駐屯地一帯はブラウンが暴れまわっており、二人は駅馬車の警護にあたる。駅馬車会社の娘・キット(オリビア・デ・ハビランド)を二人は愛するようになり……

内容的には美しい女性をはさんで男の友情と悪漢退治という通俗的な作品ですが、ジョン・ブラウンを初めとして南北戦争で知られる歴史上の人物が登場するのが嬉しいですね。

ジョン・ブラウンは、奴隷制廃止は神からの使命であると信じ、アメリカ合衆国の奴隷もハイチの奴隷のように決起して反乱を起こすべきだと主張して、1859年10月にヴァージニア州のハーバーズ・フェリーにある政府の兵器庫を襲撃しました。彼は周辺の奴隷たちが反乱を起こすことを期待しましたが何事も起こらず、政府軍に捕らえられました。1859年12月に絞首刑にされましたが、彼の起こした暴動が南北戦争の勃発を早めたといわれています。

南北戦争時、ジェブ・スチュアートはリー将軍の信任厚く、彼が率いる騎兵連隊は“無敵隊”と呼ばれていました。しかし、ゲティスバーグの戦いではカスター率いるミシガン騎兵連隊に阻止されて、主戦場へ向かうことができませんでした。恋の仇を戦争で取り返したということでしょうか。(笑)

 

南北戦争前夜(1993年/監督:グレゴリー・ホブリット)

カスター

ペイトン、オニール、カスターは陸軍士官学校の同窓。ペイトンはオニールの妹・シャノンと恋人同士だったが、ヴァージニア出身のため南北戦争が始まると退学して、南軍に加わる。カスターとボルチモア出身のオニールは北軍へ。しかし、オニールの弟は南軍のパルメット隊に加わって破壊活動をしていた。そして三人は、第1次ブル・ラン(マナサス)の戦いの戦場で顔を合わせる……

南北戦争開始直後のアメリカの状況を描いたTVムーヴィ。カスターは脇役で、ペイトンとオニールの一家が中心となって物語が進みます。奴隷の扱いなどをみると、どちらかというと南部寄りかな。戦闘シーンがあまりなく、おまけに迫力もありません。南北戦争に興味のない人にとっては退屈な作品でしょうね。

ところでカスターですが、この作品にもあるように陸軍士官学校を34人中最下位で卒業しました。

 

進め!人力潜水艦ハンレー号(1999年/監督:ジョン・グレイ)

南北戦争で南軍が潜水艦を実戦で使用しているんですよ。『歴史群像(南北戦争)』によると、潜水艦は2種類あって、ひとつは半潜水方式の汽走艇で、館内の換気のため煙突とハッチを水上に出して潜航するデイビッド号。1863年10月5日、北軍の甲鉄艦アイアンサイズに水雷攻撃をして、少なからずダメージを与えたそうです。

もうひとつは、人力クランクでスクリューを回して潜航する完全潜水方式のハンレー号です。

1864年2月17日、チャールストン沖で封鎖艦フサトニックに水雷攻撃をして撃沈させますが、みずからも9名の乗組員とともに沈没しました。これが、この映画のモデルです。

北軍の戦艦によって海上封鎖されたチャールストンの町は、連日艦砲射撃をうけています。その打開のため、ディクソン中尉(アーマンド・アサンテ)は、バーガード将軍(ドナルド・サザーランド)に潜水艦攻撃を進言します。

手でスクリューを回して動かす原始的なもので、潜望鏡もなければ換気装置もなく(空気は艦内にあるだけ)、敵艦に近づいたら一旦浮上して目標を定め、空気を補充して再度潜航するんです。あとは艦首の先に取りつけた水雷を目標めがけてブチ込む。

ハンレーというのは、この潜水艦の設計者の名前で、潜航訓練中に事故で死んでいます。通常運航においても、かなり危険な乗り物といった感じでした。

 

 

 

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