銭形平次捕物控 まだら蛇

(1957年・大映)


(スタッフ)

監 督:加戸敏

製 作:永田雅一

原 作:野村胡堂

脚 本:伊藤大輔

撮 影:牧田行正

美 術:太田誠一

音 楽:米山正夫

挿入歌:美空ひばり

「若衆船」、「十六夜ちどり」

(キャスト)

銭形平次……長谷川一夫

ガラッ八……堺駿二

お吉  ……美空ひばり

喜久江 ……山本富士子

お絹  ……木暮実千代

笹野新三郎…黒川弥太郎

桂周庵 ……山茶花究

大沼玄蕃……荒木忍

 

(感 想)

まだら蛇の刺青をした男が殺され、大川に浮かぶ。佃島で刑期を終えてシャバに戻るところを誘拐され贋金工場で働かされていた源太だった。源太は同じように捕らえられていた兄の清兵衛に頼まれて、工場の場所をしめす小判を清兵衛の娘・お吉に渡していた。お吉は若衆姿で、小吉と名乗って船宿で働いていた。

佃島で刑期を終えた囚人のうち、金銀細工師や鍛冶屋が行方不明になっていることから、銭形平次は背後に贋金作りの組織があることに気づき、流し芸人の新三に変装して秘密裏に捜索していた。お吉が贋金作りの一味に襲われたところを平次が救い、お吉の小判から贋金工場の場所が火付け盗賊改めの大沼玄蕃の屋敷とわかる。その屋敷は元銭座屋敷で、平次は以前銭座支配だった阿部内蔵之進を訪ねるが内蔵之進は何者かに殺されていた。内蔵之進の娘・喜久江から、内蔵之進が玄蕃から元文小判の鑑定を頼まれていたことを聞かされた平次は……

火付け盗賊改めをボスに、悪徳両替商、勘定奉行、蘭学医、岡っ引きが顔を揃える悪の総合商社が相手だけに物語のスケールは大きいです。

伊藤大輔の脚本は波乱にとんでいるのですが、加戸敏の演出が平凡で今イチ盛上りに欠けます。町方の手出しが出来ない悪党に対して、平次が十手を笹野新三郎へ返して職人たちを助けるために贋金工場へ乗り込むシーンは、観客に感情移入させる重要シーンなんですが、淡白すぎます。

木暮実千代と山本富士子への配慮があった分だけ、ひばりも前作の『死美人風呂』と比べると、魅力がありません。

長谷川一夫だけがカッコよければ、それでいい映画ですね。

 

 

トップ  序論   フィルモグラフィ