『甲賀屋敷』（１９４９年・大映／監督：衣笠貞之助）
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吉川英治の『鳴門秘帖』の映画化です。原作は読んでいませんが、あまりにも有名な小説なので内容だけは知っています。映画の方ですが、登場人物の名が微妙に変更されていましたね。主人公の法月弦之丞が弦之介（長谷川一夫）に、見返りお綱がお藤（山田五十鈴）といった具合にね。変える必要があったんですかね。でもって、この映画は弦之丞が阿波に乗り込むところで終っています。続編はというと、１９５７年の同監督による『鳴門秘帖』ということになるのでしょうが、内容は大幅に変っていて、続編というものじゃなかったですね。 衣笠貞之助は長谷川一夫を知りつくしているので、長谷川一夫の魅力を充分にひきだしています。とにかく、二枚目は徹底的に二枚目の美しさを見せることによって、内容云々より観客は歓ぶんですから。スターで客をよべる時代の映画で〜す。 |
『鉄火奉行』（１９５４年･大映／監督：衣笠貞之助）
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江戸北町奉行所の与力・笠井平左衛門（香川良介）は、役所で同役二人を殺害し切腹する。父の死に不審をもった息子の小平太（長谷川一夫）は、原因を調べはじめるが、御家断絶・江戸追放の処分が出される。新任奉行として遠山金四郎（大河内伝次郎）が着任し、秘かに事件の背後を調べはじめる。一方、小平太は江戸に潜伏し、目明し重五郎と娘のお加代（香川京子）、それに芸者のお高（島崎雪子）の協力のもとに、材木問屋（沢村国太郎）と奉行所の癒着、そして幕閣の汚職があることをつきとめるが…… 恋や情にと、長谷川一夫の魅力が出る絵になるようなシーンはあっても、チャンバラだけは色気を意識しすぎて迫力不足です。当時のファンは長谷川一夫に強さを求めていないので、これでいいのかもしれませんね。 遠山金四郎は出てきますが、桜吹雪の刺青を見せるシーンはありませ〜ん。 |
長谷川一夫と島崎雪子 |
『紅蝙蝠』（１９５０年･大映／監督：衣笠貞之助）
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長谷川一夫と水戸光子 |
歌舞伎役者の中村紫近（長谷川一夫）は、伊予屋（沢村国太郎）の愛妾おりん（水戸光子）と愛しあっていたが、密会現場を伊予屋に見つかってしまう。質屋の分銅屋に忍び込んで南蛮時計を盗むという伊予屋の賭けに応じた紫近が分銅屋に忍び込むと、分銅屋は何者かに殺されていた。殺人罪で追われていた紫近は目明しの喜三次（大河内伝次郎）に捕らえられるが、喜三次は紫近が犯人でないと直感し、紫近を逃がして紫近の周辺の怪しい人物を探る。紫近は現場に残された犯人の手がかりをつかんでいて、相弟子の中村右近（本間謙太郎）に確認しようとするが…… ミステリータッチの時代劇、といっても犯人はすぐ判るんですけどね。役人に追われながら真犯人を捜すという設定は、長谷川一夫の悲愴美の魅力を引き出す一つのパターンのようです。平凡な作品ですが、衣笠貞之助はそつなくまとめています。 坂東好太郎は１９５０〜５１年の大映時代だけ、本間謙太郎を芸名にしていたんですね。 |
『黒い三度笠』（１９６１年･大映／監督：西山正輝）
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関八州のいたるところに現れ、弱きを助け、悪しきを挫く正義の男“黒い三度笠”（長谷川一夫）は、捕り方に追われている新助（三田村元）を助ける。新助は飯岡の助五郎（上田吉二郎）と代官・渡会重兵衛の悪事を知って命を狙われていたのだ。自分を信奉する国定忠治（水原弘）に新助を預け、おけい（近藤美恵子）から聞いた新助の恋人・おえん（宇治みさ子）を黒い三度笠が訪ねると、その家は幼馴染みのお勝（月丘夢路）の家だった。助五郎は黒い三度笠と新助を誘き出すためにお勝の娘を誘拐し…… 黒い三度笠の正体は大前田栄五郎らしいのですが、はっきりとは明かされません。ピンチらしいピンチもなく、悪を倒してエンド。馬を使ったりして西部劇的雰囲気も見せていますが、結局は長谷川一夫の強さばかりが目立つ凡作です。 ちなみに、主題歌は水原弘が歌っていま〜す。 |
『千両肌』（１９５０年・大映／監督：冬島泰三）
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黒船の渡航以来、騒然としている江戸の町で、白狐（長谷川一夫）を首領とする一団が幕府の政治体制を批判していた。南町奉行・松平肥前守（大河内伝次郎）は堤千太郎（黒川弥太郎）に命じて白狐一味の取締りを強化する。捕り方に追われた白狐は松平肥前守の屋敷に逃げ込む。肥前守の娘・小萩（宮城千賀子）は白狐の出現に驚き、気を失う。江戸を逃れた白狐は、伊豆で湯治にきていた小萩と出会い、ゴロツキに襲われた小萩を救ったことから、二人は愛しあうようになり…… 原作は吉川英治の新聞小説。敵対関係にある男女が恋をするというのは、ありふれたパターンですね。本来なら悲劇になるはずが、ハッピーエンドになるのは主演が二枚目・長谷川一夫だからでしょう。長谷川一夫の男の艶気を楽しむ作品で〜す。 |
