ビリー・ザ・キッド映画


『テキサスから来た男』(1950年/監督:カート・ニューマン)

1879年のニューメキシコ州リンカン郡は、ケイン(アルバート・デッカー)とハーパーが対立していた。ビリー(オーディ・マーフィ)は、ケインと牧場を共同経営しているジェームスンに雇われる。ジェームスン(シェパード・ストラドウィック)は無法者として名の知れ渡ったビリーに拳銃を外させ、牧童として堅気に暮らすよう諭す。ビリーを敵対しする保安官代理のミニンジャー(ウィリアム・タルマン)は、ハーパー牧場の牧童を連れてビリー逮捕にジェームスン牧場に行くが、ビリー引き渡しを拒絶したジェームスンを酔っ払っていた牧童が殺してしまう。ビリーはケインが作った討伐隊に加わり、ミニンジャーたちを捕まえるが、ミニンジャーは牧童頭を殺して逃走する。討伐隊のリーダーとなったビリーはハーパー牧場に乗り込み、抵抗する牧童を殺して仲間のオファロン(ウイル・ギア)と山へ逃げ込む。殺人犯となったビリーに逮捕状が出たため、ケインはビリーを支援していたことを隠すために1万ドルの賞金をビリーにかける。事態を重く見たワレス知事は   パット・ギャレットを保安官に任命し、ビリーに恩赦を与えようとするが……

史実とおなじ実名で登場するのがビリーとパットだけで、内容もそれなりに史実とは違ったものになっています。マクスウィーンに該当するのがケインなのですが、ビリーを裏切ってビリーに殺されてしまうし、ビリーはケインの若妻アイリーン(ゲイル・ストーム)に想いを寄せ、故郷に帰る彼女をこっそり見送るためにフォート・サムナーに現れてパットに殺されてしまうんですから。

ドラマとしてのテーマ性もなければ盛り上がりもなく、西部劇としては凡作ですね。オーディ・マーフィのビリー・ザ・キッドは、新鮮さ(主演2作目)も受けて、リアルタイムで観た西部劇ファンの間で評判がよいのですが、現在の視点で見ると古臭い感じは否めませ〜ん。

 

『最後の無法者』(1941年/監督:デビッド・ミラー)

12歳の時に父を殺され、法を信用しなくなったビリー(ロバート・テイラー)は無法者として手配中だったが、リンカンの町に現れて友人のペドロを留置所から救い出す。町のボスであるヒッキー(ジーン・ロックハート)は、ビリーを雇って敵対関係にあるキーティング(アイアン・ハンター)の牛を暴走させる。この時、ビリーは旧友のジム(ブライアン・ドンレヴィ)と出会う。ジムはキーティング牧場の牧童頭をしており、ビリーをキーティングに紹介する。キーティングの人柄に惚れたビリーはヒッキーと手を切り、拳銃を外してペドロとキーティング牧場で働きはじめる。しかし、ヒッキー一味にペドロとキーティングを殺されてことから、再び拳銃を手にする。ジムは連邦保安官代理に任命され、合法的に犯人を捕まえようとするが、ビリーは犯人とおぼしき連中を皆殺しにしていき……

ロバート・テイラーはビリーらしく見せようと、斜に構えて粋がっていましたが、やっぱりオッサンですね。実在の名前で出てくるのはビリーだけで、内容も史実とは大きくかけ離れています。

ラストのテイラーとドンレヴィの対決に見られる、無法者が親友のためにわざと射たれるパターンは西部劇の常套でして、この作品を観る限り、何もビリー・ザ・キッドを主人公にする必要はないです。映画的には凡作ですが、サグロワ・サボテンが群立する風景だけは最近の西部劇では見ることのできない素晴しいものでしたよ。

 

 

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