大映時代劇


『桃太郎侍』(1963年・大映/監督:井上昭)

密書を掏り取った小鈴(久保菜穂子)を桃太郎(本郷功次郎)が救うオープニングから、伊賀半九郎(若山富三郎)の配下に襲われた百合(高田美和)を救った因縁から、若君の身代わりとなって丸亀に乗り込み、御家騒動を解決するまで従来通りのストーリーで展開していきます。

高橋英樹のテレビ版が有名すぎて違和感があるかもしれませんが、これが本当の“桃太郎侍”です。

大映では本郷功次郎以外に長谷川一夫と市川雷蔵が演じています。どの作品も、主人公の桃太郎よりもライバルの伊賀半九郎の方が存在感あるものになっていますね。本作品でもラストの大立回りでワカトミが彼らしい立回りを見せてくれて、本郷功次郎よりはるかに強そうで〜す。

 

『鉄砲伝来記』(1968年・大映/監督:森一生)

種子島にポルトガル船が漂着し、領主の種子島時尭(内藤武敏)は船長ピントオ(リック・ジェイスン)が所持していた鉄砲と引換えに船の修理を許可する。時尭は刀鍛冶の金兵衛(東野英治郎)に鉄砲製造を命じる。金兵衛は鉄砲造りに邁進するが、失敗ばかり。挙句の果てに負傷したばかりか、時尭から預かっていた鉄砲まで盗まれてしまう。娘の若狭(若尾文子)は、ピントオが護身用とし鉄砲を持っていることを知り、ピントオを訪ねるが……

鉄砲伝来の史実(1543年に種子島に漂着したポルトガル船員の所持する鉄砲を、領主の種子島時尭が手に入れ製法・使用法を学ぶ)を元にした“マダム・バタフライ”的メロドラマです。主人公の若尾文子が愛するポルトガル人の名前がピンカートンならぬピントオですからね。

それにしても、とってつけたようなラストにはシラケました。

 

『笹笛お紋』(1969年・大映/監督:田中徳三)

主人公のお紋(安田道代)は芸人一座の軽業師だったのですが、育ての親である座長のためにヤクザの親分を殺して一人で旅をしているんですな。旅の途中で瀕死の男から頼まれ、やってきたのが悪ヤクザ(須賀不二男)が支配する宿場。ヤクザの子分に乱暴されかけている男の妹(川崎あかね)を救い、悪ヤクザに狙われることになります。親分を殺されてお紋に復讐しようとしている連中(五味龍太郎)や用心棒(内田良平)との対決など、股旅時代劇の定番通りの内容です。

売りは当時流行していたミニスカートならぬミニ着物で見せるお色気アクションね。テレビでは“くれないお仙”・“花笠お竜”・“流れ星お蘭”があり、映画では“めくらのお市”がありましたねェ。

これらの作品は、三味線に仕込んだ刀が武器でしたが、“笹笛お紋”の武器は笹の葉。原作は棚下照生のマンガで、笹の葉がカミソリのようにスパスパ切れるというのは、やはりマンガで〜す。

 

『化け猫御用だ』(1958年・大映/監督:田中徳三)

江戸の町で、連続して白猫が盗まれるという怪事件が発生する。犯人は土屋家の腰元・浪路(近藤恵子)で、土屋家の飼い猫が若君の魚料理を食べて毒死したのだった。内々で捜査するために、同じ白猫を盗んできたのだが、若君の料理を食べて次々に毒死する。浪路は叔父にあたる土屋仙之助(梅若正二)の行動に疑問を持つが、若君が何者かに連れ去られる。ショックを受けた奥方に、悶死した白猫がとりついたのか、奥方の形相は一変し化け猫のようになって… 

 土屋家の主人・羽前は長崎奉行で、彼が処刑した海賊一味が復讐を計画しているんですな。それで、若君を守るために仙之助と奥方が一芝居うって、化け猫騒ぎを起こすんです。屋敷にやってきた目明しが中田ダイマル・ラケットの漫才コンビ。スリラーなのかコメディなのか、中途半端な出来でお粗末。

田中徳三の第1回監督作品なので、未熟なのは仕方ないですか。田中監督への応援で、市川雷蔵がカメオ出演したとのことですが、何処に出ていたのかわかりませんでした。

 

『消えた小判屋敷』(1958年・大映/監督:天野信)

毛利郁子

三日月藩の公金1万2千両を京都から大坂へ運ぶ途中で、大黒屋源兵衛(香川良介)は吹田の名主・黒田孫右衛門の屋敷に泊る。翌朝、起きてみると1万2千両を保管した倉はなくなり、三日月藩士たちもいなくなっていた。源兵衛ひとりが道に迷って屋敷に来たと、孫右衛門や家人たちが証言し、源兵衛は気違い扱いされる。源兵衛の息子・清十郎(梅若正二)と、京見物に行く途中の大坂の目明し・三次(中田ラケット)と兵六(中田ダイマル)が、捜査を開始し……

ミステリー・ファンには有名な、同じ作りの屋敷が二つあるトリックです。毛利郁子の悪女ぶりと、ダイマル・ラケットのコメディ・リリーフで何とか見れる作品になっています。

原作は『化け猫御用だ』の香住春吾。雑誌か何かに掲載された小説ですかね。

 

 

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