大映時代劇


投げ唄左門一番手柄・死美人屋敷』(1954年・大映/監督:荒井良平)

南町奉行所同心・杉坂主水(南条新太郎)は、山男の背負った葛篭の中から、美女の死体を発見する。謎の覆面が主水を襲うが、橘左門(黒川弥太郎)が主水を助ける。殺された美女は、堺の豪商・倉島昆陽が捜していた娘の加代だった。加代の妹・お京(伏見和子)も昆陽の娘で、天満与力・陣内綺十郎(杉山昌三九)は昆陽に頼まれて、この姉妹を捜索していた。加代殺しの犯人として、現場に残された遺留品から森友之助が捕えられる。森友之助が、左門の妹・さよ(三田登喜子)の許婚者だったことから……

三番手柄まであるシリーズ第1作目。内容は出来の悪い捕物時代劇です。

主人公が夜釣りをしていて事件に遭遇し、身内が事件に巻き込まれて独自に捜査を開始するというのは、定番中の定番ですね。脚本が悪いせいか、シラけてばかりで、スリルもサスペンスもありません。駄作!

 

投げ唄左門二番手柄・釣天井の傴僂男』(1954年・大映/監督:荒井良平)

お百度参りをしている女が、奇怪な傴僂男(羅門光三郎)に殺される。女の許婚者が仕事に出かけたまま連絡がなく、奉行所に訴えようとしていたからだ。女の許婚者ばかりでなく、大工仲間16人が行方不明になっており、彼らが公儀作事方・甲良兵庫から頼まれて出かけたことを棟梁の娘・お千代から聞きだした立花左門(黒川弥太郎)は、背後に大陰謀が企てられていることを直感するが……

主人公は堅苦しい屋敷生活を嫌って市井で暮らしている奉行の甥っ子。

シリーズ2作目ですが、前作と同様に内容的にはツッコミ所の多いトホホ作品です。それでも見られたのは、羅門光三郎の怪演と、刀捌きの巧い黒川弥太郎の立回りがあったからで〜す。

 

『地獄谷の花嫁』(1955年・大映/監督:荒井良平)

浜松藩次席家老・坂崎刑部(杉山昌三九)は、先君の愛妾だった妹の生んだ幼君を藩主にして、藩の実権を握ろうとしていた。しかし、城代家老は幕府から世子・綾姫との養子縁組の認可を得た松平新之助を藩主として迎える決定をする。刑部は腹心の部下に新之助の暗殺を命じるが、新之助には立花左門(黒川弥太郎)が護衛についていた。新之助の国入り道中を、刑部の配下だけでなく、新之助を父の仇と狙う狂女・志乃(若杉曜子)、謎の鳥追女・お駒(長谷川裕見子)が追って行く……

三番手柄までは冠がついている投げ唄左門シリーズですが、この作品にはついていません。黒川弥太郎が唄わなかったからかな。したがって、シリーズ何作目かわかりません。

悪党は相も変わらず杉山昌三九で、大それた計画をたてる割には、やることがトホホです。悪党がマヌケなら、左門の子分もマヌケで、緊張感が全然ありません。黒川弥太郎がひとりでガンバッテも、面白くなりませ〜ん。

 

『すっとび仁義』(1961年・大映/監督:安田公義)

渡世人の新三(橋幸夫)は、恋人のお雪(姿美千子)と浅草で楽しく暮らしていたが、ある日、奥州松平家の屋敷に連れていかれる。用人の結城甚兵衛(益田喜頓)の語るところによると、新三は若殿・新之助の双子の弟で、重病の新之助に代わって後継ぎに、とのことだった。国許では家老の稲葉主膳(杉山昌三九)が御家乗っ取りを策していた。甚兵衛の娘・八重(中村玉緒)が新三の教育係りになるが……

これは、時代劇というよりアイドル映画ですね。場面転換では橋幸夫が必ず歩きながら歌っています。当時のアイドル映画では、必ず相手役もアイドル女優。この作品では姿美千子ね。

内容は、御家騒動を双子の弟が解決するという、“桃太郎侍”フォーマットです。時代劇ファンなら山手樹一郎の『桃太郎侍』は必読ですぞ。1950年代の娯楽時代劇におけるひとつの型を形成していますからね。

 

 

『幽霊小判』(1960年・大映/監督:井上昭)

江戸に向かう大坂の目明し・六助(喜味こいし)と、やん八(夢路いとし)の前におふじ(三田登喜子)という女が助けを求めてくる。死んだ主人の相模屋庄吉を名乗る男(丹羽又三郎)が現れたというのだ。庄吉(鶴見丈二)は5万両の金を取引先に届ける途中で変死しているのに、伊豆の相模屋の寮の者は全員、その男を庄吉だと言い、おふじが病気だと言う。伊豆代官所の与力・鳴海佐平次(島田竜三)は、事件の探索を開始し、江戸にいる庄吉の妹・お咲を呼び寄せるが……

この映画のプロットは洋画にありましたね。裏の裏があるかと思ったら、そのマンマでした。伏線が張られていないので、謎解きがとってつけた感じで頂けません。

それでも、いとし・こいしの会話の面白さと、クレジットされていない市川雷蔵のカメオ出演を見たことで満足しましょう。

※元ネタは『生きていた男』(1958年/監督:マイケル・アンダースン)でした。

 

 

 

 

トップへ   目次へ  次ページへ