忠臣蔵

(1954年・松竹)


(スタッフ)
 総指揮……大谷竹次郎
 監 督……大曽根辰夫
 脚 本……村上元三、依田義賢
 撮 影……石本秀雄
 音 楽……鈴木静一

(キャスト)
 大石内蔵助……松本幸四郎(白鸚)
 浅野内匠頭…… 高田浩吉
 吉良上野介…… 滝沢修
 大石りく  …… 山田五十鈴
 瑤泉院   …… 月丘夢路
 大石主税 …… 田浦正巳
 浮橋太夫 …… 淡島千景
 毛利小平太…… 鶴田浩二
 しの    …… 桂木洋子
 岡野金右衛門……北上弥太郎
 つや    …… 嵯峨三智子
 堀部安兵衛…… 近衛十四郎
 堀部弥兵衛…… 薄田研二
 堀部こう  …… 幾野道子
 片岡源五右衛門…山内明
 不破数右衛門……水島道太郎
 原惣右衛門…… 河野秋武
 武林唯七 …… 大坂志郎
 矢頭右衛門七……坂東鶴之助
 多門伝八郎…… 高橋貞二
 柳沢出羽守…… 柳永二郎

 

事前に賄賂を贈らなかったことから、吉良上野介にイジメられた(装束が違っていた&勅旨を迎える位置を教えてもらえなかった)浅野内匠頭が、殿中で刃傷におよび、切腹・お家断絶となる。

大石内蔵助は、浅野家再興を第一に考えて行動を起こすが、結局、大石の願いはかなわず、討入りを決心する。

戦後初めて「忠臣蔵」の題名が使われたのが、この作品です。松竹京都の時代劇俳優はもちろんのこと、高橋貞二に代表される大船現代劇からもスターが集められ、さらに新劇、歌舞伎からも名だたる俳優が出演した4時間におよぶ大作です。いろいろ新解釈が施されていて、楽しめましたよ。

装束違いのイジメは、接待当日の出来事で、源五右衛門の機転で内匠頭は恥をかかずに済むというのが周知の話なのですが、この作品では接待日以前の話として描いています。ここでは、もろに恥をかいているんですよ。

それと、内匠頭には“つかえ”という持病があったことが記録に残っていますが、この作品では刃傷当日、頭痛に悩む姿を描いていました。そして松之廊下の刃傷では、最初に後から肩先に斬りつけ、振り向く眉間に一太刀あびせていました。普通は逆なんですね。まず眉間に斬りつけ、逃げる上野介を追いかけざま肩を斬りさげるんです。松之廊下の殺陣は少し奇をてらった感じですね。

病気で討入りに参加できなくなった毛利小平太と恋人しのの辛苦と、吉良家の内情を探るために吉良家の腰元つやに近づく岡野金右衛門の愛と哀しみのサブストーリーに重点をおいて展開したため、本筋の方が薄っぺらくなりましたね。そのため全体的に盛り上がりにかけ、忠臣蔵本来の感動があまり伝わってきませんでした。

忠臣蔵はオーソドックスな物語展開の方がいいようです。

 

 

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