『さすらいの賭博師（ギャンブラー）』（１９６４年・日活／監督：牛原陽一）
|
|
ダイスの天才的ギャンブラーの氷室浩次（小林旭）は、兄を殺したヤクザの賭場へ殴りこむが、アパートへ帰ってみると恋人（松尾嘉代）が殺されていた。失意の旅を続ける氷室は、ダイスを捨てて横浜へやって来る。バーテンとして働きはじめたバーで、マダムの早苗（長内美那子）がヤクザの河村（小池朝雄）を利用して、兄の事業を奪った浅野（山形勲）から資産を取り返そうとしているのを知る。バーの隣の美容院は浅野の娘・倫子（笹森礼子）が経営しており、氷室に好感を持ち始める。浅野が賭博師を雇って、河村の賭場に行ったことを倫子から聞いた氷室は…… 氷室浩次を主人公とする“賭博師”シリーズの第１作目。基本構造は“渡り鳥”や“流れ者”と大差はありませんが、天才的ギャンブラーというキャラが受けたようですね。 内容的には無理してドラマを作っているようなところがあり、今イチです。アキラが「ズンドコ節」を歌うシーンは意味不明だし、アキラにまとわりつく草薙幸次郎の設定なんて非現実そのものです。 セリフは殆どなくてもボクシングのトレーナー役の大滝秀治は存在感あったなァ。 |
『黒いダイスが俺をよぶ』（１９６４年・日活／監督：井田探）
|
|
賭博がもとで兄と恋人を死なせてしまった氷室浩次（小林旭）は、二度とダイスを振るまいと心に誓って宇山市にやってくる。酔いどれ医者の城崎（伊藤雄之助）の病院の二階に下宿し、クラブでバーテンとして働きはじめる。そして、ショバ代を取るために嫌がらせにやってきた依田組をうまく追い払ったことから、ホステスの牧子（笹森礼子）から好意を抱かれる。城崎の息子で牧子の恋人・周一（和田浩治）が三年振りに戻ってくるが、周一は依田組に加わってダイスを振りはじめる。周一が榊原組の身内だったことから…… アキラがやたらカッコいいんです。バーテンとしてシェーカーを振らせても、ギターを持って歌を歌っても、そしてダイスの凄腕。オイルタンクが爆発する寸前に電線にブラ下がって脱出するアクションもアキラならではです。 物語の構造は、“渡り鳥”シリーズの延長といった感じで、変わりばえはしません。 |
『ギター抱えたひとり旅』（１９６４年日活／監督：山崎徳次郎）
|
|
兄と恋人の死に関係をもつ賭博師の辺見（芦田伸介）を追って氷室浩次（小林旭）は信州へやって来る。ひょんなことから地元のヤクザ・貝原（金子信雄）組の客分となった氷室は、辺見が貝原組の賭場に現れるのを待つが…… このシリーズは全部で８作ありますが、前半の５作と後半の３作は全く違った内容となっています。前半の５作は、“渡り鳥”シリーズを踏襲したようなところがあって、特にこの作品は日活ウエスタンの要素が強いものとなっていますね。 ラストで少年が、「お兄ちゃん、ボクんちにおいでよ～」と、馬で立ち去る主人公に呼びかけ、主題歌が流れる…… ♪夢をたずねて 昨日も今日も オレはさびしい 東京シェーン いつも心で呼んでいる 可愛いあの娘は 何処の空 ギター抱えてひとり旅～ なにしろ主人公は“東京シェーン”ですからね。（笑） |
『投げたダイスが明日を呼ぶ』（１９６５年・日活／監督：牛原陽一）
|
|
自分を狙った弾丸がそれて身代わりとなって死んだ男の故郷を氷室浩二（小林旭）が訪ねる。男の父親・平次郎（加藤嘉）が経営する花園が暴力団の島野興行に狙われていた。島野（浜田寅彦）の背後には黒幕として宗藤（金子信雄）がおり、土地を買収してホテル建設を計画していた。氷室は花園で働くが、島野興行の嫌がらせは執拗で、平次郎から土地の権利証を預かって姿を消す。しかし、氷室を狙う神戸の組織がやって来て…… 「ある町の酒場で、イカサマで有り金全部まきあげられようとしていたカウボーイを流れ者のガンマンが救う。イカサマ一味の待ち伏せを知ったカウボーイがガンマンに知らせるが、流れ弾丸に当ってカウボーイは死ぬ。カウボーイの死を知らせるために彼の故郷へ行ったガンマンは、カウボーイの父親の農場が、悪逆な大牧場主に狙われていることを知る。ガンマンは農場を守るために、そこで働きはじめる」といった西部劇と同じパターンで最初は始まるのですが、暴力団から土地を守るために、アキラが一時的に土地購入するあたりからシナリオが破綻していきます。 賭博師としての主人公を強調するあまり、全体のバランスが崩れてくるんですね。アキラのライバルとして登場する郷鍈治も中途半端な感じで、ラストの対決も今イチ盛りあがりませ～ん。 |
『さすらいは俺の運命』（１９６５年・日活／監督：井田探）
|
|
イカサマ賭博を許さない氷室浩二（小林旭）は、彼を憎むヤクザ組織に恋人・利子（太田雅子）を殺され二度とダイスを握らないことを誓う。利子の墓参りに行って、利子の姉・咲江（上月左知子）が経営するレストハウスがヤクザの延岡（玉川伊佐夫）に狙われていることを知った氷室はレストハウスで働くことにする。そこへ、氷室に再びダイスを握らせようとする殺し屋の政（川地民夫）が現れ…… ヒロインがこれまでの笹森礼子（１～２作）、松原智恵子（３～４作）から伊藤るり子になり、ヒロインの存在が薄いものになっています。上月左知子の方がヒロインになるのかなァ。もともと、このシリーズはヒロインの存在感がないのですけどね。 ライバル役の川地民夫のキャラ設定が不明確（私は高品格の部下の秘密捜査員だと思っていましたよ）なのも困ります。 ダイス勝負のシーンも今イチ盛り上がりに欠けるし、第３作までの面白さがなくなっていま～す。 |
