『黒い賭博師』(1965年日活/監督:中平康)
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賭博師(ギャンブラー)シリーズ後半の3作は“黒い賭博師”シリーズとして独立しており、凄腕ギャンブラーとのダイスとカードの勝負がメインとなっています。 天才ギャンブラー・氷室浩次は、モノクロの楊(高橋昌也)とのカードの勝負で楊のイカサマが見破れず負ける。楊は国際賭博団マルコムの一味で、氷室は再度の対戦でイカサマを見破るが、彼の腕を恐れる国際賭博団の魔手が氷室に迫る…… 荒唐無稽のテクニックで対決するイカサマ勝負は、デカダンスの面白さがありますね。この作品を観るのは、これで3回目だったんですが、放送禁止となった主題歌「賭博唱歌」が聴きたくてねェ。 ♪スマートボールでハンサムで ♪ブリッジヒップでグラマーで チョボイチけんかにスゴロクで ペースはスロット遅いけど コイコイ嫌いの色嫌い コイコイ狂いの色狂い サイコロリングとしゃれこんで オイチョカブった猫かぶり ダイスきダイスの一人旅 バッタバッタの男狩り これぞ男の手本引き これぞ女の手本引き この歌の歌詞を替えたのが、“♪アノコをペットにしたくって〜”の「自動車ショー歌」なんですよ。 |
『黒い賭博師・ダイスで殺せ』(1965年・日活/監督:江崎実生)
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モノクロの楊の後継者として、マカオの賭博組織はヌイ・サップ(二谷英明)を氷室浩二(小林旭)の刺客として日本へ派遣する。その頃、氷室は神戸のテキサス・キッド(谷村昌彦)もとに身を寄せていた。キッドと一緒に暮らしているノン子(長谷川照子)から氷室が神戸に来ていることを知った坂口(小高雄二)は、ボスの何明巴(市村俊幸)に知らせる。何はマカオの組織の指示により、氷室をおびき寄せるため、ノン子を捕えて監禁する。氷室はノン子を取り返すために、何の情婦ルミ(弓恵子)を人質にするが…… 真っ赤なジャケットを着たアキラがカッコいいです。普通は漫才衣装なんですが、アキラが着ると何故か似合うんですよねェ。動きのよいアクションも見せてくれて満足です。 ただ、キャスティングが少し弱く、コメディ部分が空回りしています。粗が目立って単純に笑えないんですよ。“黒い賭博師”シリーズ3作の中で一番出来が悪いです。 ♪〜カード片手に 旅から旅へ 何を求めて このエース ばらり開いた 切札さえも 何故かむなしい ギャンブラー 〜 主題歌「ギャンブラーの歌」の作詞は、アキラで〜す。 |
『黒い賭博師・悪魔の左手』(1966年・日活/監督:中平康)
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シリーズ最終作にして最高傑作。ナンセンス・アクションの面白さに満ち満ちています。アキラがカッコいいんだなァ。 中東と思しき回教国の王様(大泉滉)が、ギャンブルを国営化し、世界中に賭博場を作って、その収入で水爆を手に入れ、世界支配を企んでいる。その王様を操っているのが、賭博大学の教授(二谷英明)で、日本進出にあたって、天才ギャンブラーの氷室(小林旭)を倒すために、賭博大学のトップ三人を日本に送り込む。教授の陰謀を阻止するために、王様の第三夫人(広瀬みさ)が氷室につきまとうが…… 『狂った果実』でヌーヴェル・ヴァーグの先駆けとなった中平康も、この作品の頃は往年の冴えはなく、昼間から酔っ払って演出していたとのことですが、おフザケ感覚がうまくマッチした感じの作品です。 アキラは、漫画的ヒーローを演じさせたらピッタリくるんですね。それと、大泉滉が何といってっても可笑しい。アキラが歌う主題歌も良いよォ。 ♪〜ジョルダニア、ジョルダニア、サンドロ ジョルダニア、エメラルンデ ジョルダニア、デケラメンテ ジョルダニア〜 ……一体、何語だ! これは、再評価されるべき作品ですよ。 蛇足ですが、第1夫人に戸川昌子、第2夫人に富士真奈美が、クレジットなしのカメオ出演していま〜す。 |