アキラ映画(任侠編)


『対決』(1967年・日活/監督:舛田利雄)

大正末期、上州富河原のヤクザ、芝寅一家の直次郎(高橋英樹)は、兄である代貸・清太郎(中谷一郎)の頼みで、高安一家との喧嘩の一切の責任を負って自首をする。6年後出所してみると、兄は呑んだくれのホームレス、恋人は女郎になっていた……

小林旭は、堅苦しい渡世の義理とは無縁の流れ者のヤクザ。任侠道に生きる高橋英樹の正統派ヤクザと絶妙のコンビを見せてくれます。

英樹のヤクザが東映ヤクザ路線のキャラと大差がないのに対し、アキラのヤクザはドライでユーモアに満ちたキャラで、アキラ以外では成立しないものなんですよ。

 

『血斗』(1967年・日活/監督:舛田利雄)

福吉一家は三州・滑川の老舗ヤクザだったが、新興勢力の山辰一家の前に押されっぱなしだった。船大工の清二郎(高橋英樹)は福吉一家への恩義のため、金で雇われた満州常(小林旭)と山辰一家へ殴り込みをかける。二人の奇襲の前に、山辰(安部徹)」は戦意を失い、町から去ることを約束する。しかし、祝勝に浮かれている福吉一家を山辰の息子4人(青木義朗、小高雄二、郷^治、市川好郎)が襲い、皆殺しにする。清二郎は末弟(市川好郎)を殺し、長男(青木義朗)の左腕を斬りおとすが、顔に傷をうけ町から逃れる。それから3年後、山辰一家が牛耳る滑川の町に清二郎と満州常が戻ってくる……

『対決』の2ヶ月後に封切られた姉妹編。伊部晴美の音楽はマカロニ調で、内容もマカロニ調です。小林旭の満州常は『対決』に続いての登場で、以後シリーズ化してほしかったですね。東映ヤクザ映画にはないキャラで、日活任侠路線の柱にできたと思うんですよ。

この作品では、悪党の安部徹が何といっても秀逸です。ふてぶてしい中に可笑し味のあるキャラは安部徹ならでは、ですね。

 

『生きている狼』(1964年・日活/監督:井田探)

大正の終わり頃、遊郭から遊女を足抜きさせる“おいらん権八”という男(小林旭)がいた。彼は、騙されて女郎として売られた妹を捜しているうちに、不幸な女郎たちの足抜きを手伝うようになったのだ。新吉原にやって来た権八は……

 井田探の演出はカメラの構図に凝っており、画面から目が離せません。アキラも着流しヤクザ姿が板についており、カッコよかったですよ。モノクロのプログラム・ピクチャーで、内容的には不満なところもありますが、大正ロマンあふれる隠れた佳品です。

 遊郭をアキラが月琴で流しながら歌う「おもかげ」(小林旭:作詞、市川昭介:作曲)が、叙情的ないい歌なんですが、レコード未発売なんですね。

 

『あらくれ』(1969年・日活/監督:長谷部安春)

鬼頭善吉(小林旭)は、弟分の太郎(藤竜也)を頼って小松にやってくるが、太郎もスカンピン。粟津温泉に進出してきた関西ヤクザのスミレ会に草鞋を脱いだ善吉は、地元ヤクザの庄田組が後ろ盾になっている石切場の買収に手を貸すが……

 主人公は、二つの組の対立のドサクサにまぎれて、新興ヤクザの土地買収金を頂こうとするドライなヤクザで、健さんのような東映ヤクザ・ヒーローと性格が異なります。

主人公の名前は『やくざ渡り鳥 悪党家業』と同じですが、少し真面目に作っています。前半のタッチと後半のタッチが違うので中途半端なものになりましたね。

アキラの歌(あらくれ義兄弟)が流れ、葉山良二と二人して殴り込みに行くシーンは、健さんと池部良が殴り込みに行く“昭和残侠伝”をパロディーのつもりなんだろうか。ダイナマイトを派手に爆発させる殴り込みは、やっぱり日活で〜す。

宍戸錠が、殺し屋役で特別出演。これもパロディー……?

 

『関東無宿』(1963年・日活/監督:鈴木清順)

伊豆組の鶴田(小林旭)は、賭場一筋の古いタイプのヤクザだった。しかし、親分(殿山泰司)は土建の請負仕事の権利を取るために吉田組と対立の状態にあった。吉田組の子分・ダイヤモンドの冬が惚れていた女・花子(中原早苗)を伊豆組の子分・びっくり鉄が売りとばしたことから、吉田組の復讐を恐れた親分は鶴田に冬に会って話をつけるように命じる。鶴田は冬の姉・辰子(伊藤弘子)の家を訪ねるが、辰子は3年前に鶴田が賭場であって惹かれた女だった。辰子はイカサマ賭博師のおかる八(伊藤雄之助)の女房になっており……

原作は平林たい子の『地底の歌』で二度目の映画化。主人公の名前はツルタでなく、カクタと読みます。

清順の演出は、義理人情の古風な任侠道と現実的なヤクザを対比させ、ストイックな生き方しかできない一人の侠客の姿を見事に浮かび上がらせています。アキラが賭場荒しのヤクザ二人を斬った瞬間、障子のバックが赤一色になる強烈な映像効果は、まさに清順美学の世界です。それにしても、伊藤雄之助は巧いなァ。

 

 

 

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