アキラ映画


波止場の無法者(1959年・日活/監督:斎藤武市)

海を捨て、陸にあがって働く決心をした主人公(小林旭)が、キャバレーでのケンカから、そこの支配人(岡田真澄)に腕を見込まれ用心棒となる。そのキャバレーは、香港麻薬シンジケートの日本支部で、ボス(芦田伸介)は組織からの独立を企んでいた。やがて、日本の動向に不信を抱いた香港本部から殺し屋部隊がやってくる……

ボスに裏切りをすすめる野心家の腹心を岡田真澄が好演。拳銃は名人だが、格闘はダメという悪党のキャラクターに岡田真澄はピッタシです。

アキラは香港から密航してきた女(浅丘ルリ子)を好きになり、彼女を助けているうちに事件に捲込まれていくんですが、アキラのキャラクターが今イチはっきりしないのが、本作品の欠点ですね。

 

俺は挑戦する(1959年・日活/監督:松尾昭典)

学生プロボクサーのアキラは、亡くなった父の意志を継いでチャンピオンを目指しているが、ロード・トレーニング中に殺人事件にまきこまれる。その事件には、学生時代の友人(小高雄二)が絡んでおり、アキラも悪党から狙われることになる……

約束の時間に間に合わせるため、7ラウンドまでにチャンピオンをKOして、悪党一味から足を洗おうとして捕らえられた友人を救うために、ボスのクラブへ駆けつけるクライマックスは、サスペンス満点で見応えがありましたよ。

アキラ唯一のボクサーものですが、ボクシング・ドラマというより、タイトルマッチを背景にしたアクション映画ですね。浅丘ルリ子は刺身のツマ程度で、存在感なし。安部徹がトレーナー役で、珍しく善人で登場しました。

主題歌(というより挿入歌)の「俺に逆らうな」は、キーが高すぎて、普通の人では歌えませんね。

 

都会の空の用心棒(1960年・日活/監督:野村孝)

ヘリコプターサービスのパイロット(小林旭)が、土地払下げ汚職を背景とした殺人事件に捲込まれ、空に海に活躍する航空アクション。航空シーンにおける日活の特撮技術は、当時としてはレベルの高いものですね。

企業タイアップして製作費を稼いでいるせいか、企業名がセリフの中にポンポン出てきます。ヘリコプター会社が池袋の西武百貨店屋上にあるのが、その最たるもの。当時、西武の屋上にはヘリポートがあったんだよね。

アイスピックを使う殺し屋として、ジェリー藤尾が面白い雰囲気を出していましたよ。

 

都会の空の非常線(1961年・日活/監督:野村孝)

ビル火事で屋上に取り残された子供を、ヘリコプター・パイロットのアキラが空から救出する。子供たちの父親は、所有する河口湖畔の土地をヤクザに狙われており、土地の権利証を巡って、アキラが子供たちを守ってヤクザと戦う。

 前作の『都会の空の用心棒』もそうでしたが、ラストがあまりにもアッケなさすぎます。前作では、車とヘリコプターのバトル、この作品ではモーターボートとヘリコプターのバトルが、もう少しあってもよかったんじゃないかなァ。

 

夜の勲章(1963年・日活/監督:松尾昭典)

夏木暎子という女性から、行方不明の異父姉・伸子の捜索依頼を受けた私立探偵の阿久根(小林旭)は、伸子が麻薬中毒だったこと、1千万円の遺産相続をしていることをつきとめるが……

 主人公は当時の最高級スポーツカー・ジャガーEタイプを乗りまわす金持ちの御曹司で、趣味と実益を兼ねて探偵事務所を開業しています。この設定は、アキラには似合いませんねェ。金持ちの御曹司という柄じゃないんですよ。

“渡り鳥シリーズ”が終了し、“銀座旋風児シリーズ”も頭打ち状態で、新シリーズを模索していた時期の作品だということがわかります。ヒットしたらシリーズ化されたのでしょうが、結局イメージに合わなかったのかヒットせず単独作品となりました。

 

 

トップへ    目次へ   次ページ