アキラ映画(流れ者シリーズ)


海から来た流れ者(1960年・日活/監督:山崎徳次郎)

伊豆大島にやってきた野村浩次(小林旭)は、神戸組の子分に襲われている藤田礼子(浅丘ルリ子)を助ける。神戸(宍戸錠)は、ボスの津久田(二本柳寛)の命令で礼子の父が所有する土地を買収して麻薬の中継基地にするつもりだったのだ。野村は神戸に腕を見込まれ、用心棒として雇われるが……

“渡り鳥”シリーズと並行して製作された“流れ者”シリーズの第1弾。主人公の野村浩次は元麻薬捜査官という経歴がわかっているだけで、中味は“渡り鳥”シリーズと同工異曲です。本編より付録でついていた予告編の方がはるかに面白いです。

酒、女、賭、麻薬

悪の媚態を彩る(フロアダンスですね)、無法の砦(宍戸錠が経営するキャバレー)に、叩きつける、烈火の啖呵(もちろんアキラです)

慕情(浅丘ルリ子とアキラ)も 愛欲(宍戸錠と筑波久子)も、かき消す激浪の島

謎を秘めて、対立する、男と男(アキラと葉山良二)

激斗、死斗、命知らずの荒くれ共が、テキサスロード(意味不明)に血煙りあげる

迫真、雄大、三原山火口に爆発する、峻烈のアクション(アキラと宍戸錠の格闘)

監督・山崎徳次郎、意欲と情熱の演出

と、思いつくままに並べたようなコピーなんですが、ワクワクする響きを持っているんですよねェ。

 

海を渡る波止場の風(1960年・日活/監督:山崎徳次郎)

鹿児島へやって来た野村浩次(小林旭)は、桜島のセスナ機墜落現場でヤクザの奥山五郎(宍戸錠)に襲われていた塚越尚子(浅丘ルリ子)を助ける。尚子の恋人・光彦(青山恭二)が操縦するセスナ機が墜落して奄美復興資金の5千万が消えていたのだ。死体も見つからず、尚子は光彦が生きていると考えていた。光彦は浩次の弟で、浩次もこれが単なる墜落事故でないことを感じていた。一方、五郎はキャバレー“エメラルド”に現れ、支配人の松川を脅す。五郎は松川が墜落事故に関係していることを知っていたのだ。浩次がキャバレー“エメラルド”に現れ……

シリーズ2作目。事件の黒幕が山内明で、実業家を装って鹿児島を麻薬密輸の中継基地にしようとしているのは、第1作とパターンが同じです。

宍戸錠が敵役からアキラのライバルに変り、踊り子の白木マリが宍戸錠の情婦というのは、“渡り鳥”と同じではありませんか。新しいモノは全然ありませ〜ん。

 

南海の狼火(1960年・日活/監督:山崎徳次郎)

流れ者シリーズの3作目。宇和島にやってきた野村浩次(小林旭)は、悪徳ボス(金子信雄)に狙われている真珠の養殖業者を助けて大活躍。

 ギターだけを持って旅をするアキラ。着替えはどうするんだ?なんてことを詮索してはいけません。ライバルの坊主の政(宍戸錠)だって、拳銃ひとつの手ぶらで旅をしているんですから。宍戸錠のお気に入りの作品だけあって、ジョーさんが生きいきしていましたね。

キャプテン・ウルトラの中田博久が出ていた。他の日活作品でお目にかかっていないけど、日活の俳優だったのかなァ。演技はド下手。

内田良平は何だったんだ。もったいない使い方をしているなァ。

 

大暴れ風来坊(1960年・日活/監督:山崎徳次郎)

松山にやって来た野村浩次(小林旭)は、榊原(高品格)の子分に襲われている瀬川玲子(浅丘ルリ子)を助ける。榊原は、玲子の父が落札した土地を狙っており、黒幕として東京の実業家・太田黒(藤村有弘)がいた。太田黒は、親切心を装って瀬川に融資をしており、借金の形に土地を取り上げ歓楽地にしようと考えていた。榊原に命じた悪だくみは悉く浩次に邪魔され、殺し屋として十字架の政(宍戸錠)を雇うが……

1960年のアキラの映画は、“流れ者”が4本、“渡り鳥”が4本、“銀座旋風児”、“暴れん坊”、“都会の空の用心棒”が各1本、それに単発の『やくざの詩(うた)』があって、全部で12本。“流れ者”と“渡り鳥”で鹿児島から北海道までロケしているんですから、その凄さはハンパじゃありませんよ。

内容が似たり寄ったりで、宍戸錠のキャラが前作と同じというのも仕方ないでしょうね。藤村有弘の黒幕は、彼自身のキャラに憎めないところがあるので、ミスキャストでしょうね。二本柳寛→山内明→金子信雄ときたら、安部徹あたりがよかったかも。

 

風に逆らう流れ者(1961年・日活/監督:山崎徳次郎)

野村浩次(小林旭)は親友の瀬沼を訪ねて豊橋にやって来る。しかし、瀬沼は勤める火薬工場の研究室が爆発して死んでいた。浩次はゴロツキに襲われている瀬沼の妹・杏子(浅丘ルリ子)を助けるが、ゴロツキたちは塩沢火薬の社員だった。塩沢(山内明)は杏子の父に金を貸し、父が経営する造船所を乗っ取って火薬の密造所にしようとしていた。金の臭いをかぎつけて、香港から隆(藤村有弘)と流れ者の拝島(神山繁)が、塩沢の経営するキャバレーにやって来る……

シリーズ最終作。宍戸錠の代わりにアキラのライバルになるのは神山繁。ニヤケた顔が、結構不気味感を出していましたよ。藤村有弘も得意の三国人役で、インチキ中国語を使って存在感を出しています。山内明も二度目の敵役ですがファナティックぶりを見せて良し。

結局、ストーリーに“渡り鳥”との違いを出せなかったのが致命的でしたね。

 

 

 

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