外伝 マナとともに(3)
翌日 第三新東京市立第壱中学校
家庭科室
シンジ達は割烹着を着て料理をしている
そのシンジの手つきを見てマナは
「へ−、シンジ君って、料理上手なんだ−」と言う
「いつも家で作ってるし、一人暮しも長かったからね。そっちも手伝おうか?」とシンジ
「ううん、いいよ。自分でやらないとうまくならないもんね」と拒否するマナ
「手助けが欲しかったら何でも言ってよ、霧島さんのためなら頑張るからさ」
「そう?実は……エヴァの事教えて欲しいの」とマナは言う
そう言われるとシンジは表情には出さないが警戒モ−ドに入った
「エヴァの事?」
すると向こうからトウジがやってきた
「よおシンジ、霧島と、えろう仲ええやんか」とトウジ
「トウジ!」とシンジ
「そう言う事は、どんどんやれ、アスカと綾波がやきもち焼いて、ええ気持ちや」
と言うとトウジは後ろからアスカにフライパンで叩かれた
「痛いな!こんぼけ!」とアスカのほうを向いて言うトウジ
「あんた何にいってんのよ。一体誰のお蔭で地球の平和が守られてると思ってるのよ!?」とアスカは言う
「シンジをとられて悔しいんか!?」
「そんな事ないわよ………」
これ以上続くと喧嘩になると思ったのかシンジが止めに入る
「まあまあ、二人ともやめなよ」
するとそれを聞いたアスカは攻撃対象をシンジに変えた
「何いってんのよ、そもそも悪いのはあんたでしょう。あんたもネルフ関係者なんだから、女とデレデレするのは禁止!」
「禁止って」
「そやシンジ!AもBもCも禁止じゃ!」とアスカの意見に同調するとトウジ
「もっとも、もうキスくらいしてるんじゃない」とアスカはトウジに続く
「やめてください!私そんなんじゃありません!」とマナは言う
「じゃあ、なんでいつもシンジにベタベタしてるのよ!?」とアスカが言うと今まで黙って様子を見ていた周りの人が一斉に冷やかす
それを聞いて我慢できなくなったのかマナは
「私、帰る」と言うと走って部屋を出て行ってしまった
シンジはそれを止めようと
「霧島さん!」と呼びかけるが出ていった
「怒ってる………アスカ、トウジ、後で用があるから……」と言うとシンジはマナの後を追った
「……あんたの所為よ!」とアスカはトウジに向かって言う
「ったく、なんや」
同校 テニスコ−ト裏
シンジはあの後教室を出てマナを探しここで見つけた
「アスカの言った事は気にしなくて良いよ。最近ちょっと実験とかで忙しくてイライラして怒りっぽくなってるんだよ」
「実験?」
「うん、エヴァのね」
「それって、どういう事をするの?」
それを聞くとシンジは少し考えた後
「エヴァってのは自分の手足がくっついてるかのように動かす事が出きるんだよ。その為の訓練みたいな事をするんだよ」とばれても問題ない事をさも自分はあまり知らないようにマナに教える
「操縦桿とかペダルは使わないの?」
「うん、簡単に言うと心で思うとそのとおりに動くんだ」
「それでその実験って何処まで進んでるの?」
シンジはこれ以上の情報の漏洩は問題があると思い話題を変えようとする
「なんでこんな事に興味があるの?」
「シンジくんの事は何でも知りたいのよ」
するとシンジ達がいる所のそばの草むらが、がさつく音がする
「誰?」とシンジは草むらのほうを向いて言う
その中からアスカとケンスケが出てきた。シンジ達のことを心配して見に来たのである
「シンジわかってるとは思うけど、あまりエヴァの事を無関係の人に話しちゃダメだ」とケンスケ
「ケンスケ………」
「霧島さんも教室に戻っておいでよ。仲間はずれにするつもりはないよ。それに皆反省してるからさ…」
「はい………」とマナ
「シンジ、ごめんなさい……」とアスカはケンスケの後ろで言う
「アスカ、謝るのは僕じゃないだろ」
「………ごめんなさい、霧島さん」
「もう良いですよ」とマナ
「アスカ、これからはきょうつけてね」とシンジ
「うん………ところで、シンジ、家に帰ったら話があるから……相田、行こう」とアスカは言うとケンスケを連れて戻っていった
「霧島さん、アスカは本当は良い人なんだ。だから許してやってよ」
「シンジ君とアスカさんって同じ家なんだ……」
「え………」
学校からの帰り 同市内商店街通り
シンジとマナは並んで歩いている
「アスカとは部屋も別だし、ミサトさんが同居を決めたんだ。パイロット同士は呼吸が合わなくちゃいけないって」とシンジ
「私、シンジ君と一緒にいると迷惑なのかな……」とマナ
「そんなことないよ。誰と一緒に居ようと自由だよ」
「自由か………自由って良いね」とマナが言うとシンジは何かをマナに感じた
何処園公園、遊歩道
ベンチに座りシンジとマナは話している
「……私、アスカさんの事気にしてないから」とマナは言う
「急にどうしたの?」とシンジ
「パイロット同士は仲良くなくちゃいけないんでしょう」
「やだなぁ」とシンジは笑いながら言う
「シンジ君はアスカさんの所に帰るんだから、けじめつけなくちゃね……私の自由もこれまでかな………」
「…………」
芦ノ湖湖畔
暗い闇の中を光るロボット兵器の眼。そのロボットは国道を横切り黒い湖面に吸い込まれていった
同時刻 ミサト宅居間
ホワイトボ−ドの前でアスカはマナについてシンジ・ミサト・レイに説明している
「あのシンジに対する言動や行動、間違いなくあの霧島マナって子スパイよ」とアスカは独自の分析で説明する
「霧島さんってシンちゃんの“これ”でしょう」とミサトは小指を立てて言う
「…………」シンジは下を向いて黙っている
「シンジ、よく考えて見なさい。彼女はあの移動物体の暴れた翌日に転校した、そして女の武器を利用してシンジに接触しエヴァの情報を聞き出そうとしてるのよ」
「面白そうね、その子。今度家に連れてきなさいよ。おねいさんが鑑定してあげるわ」とミサトはいつものからかい半分で言う
シンジはアスカの考えを聞き何かを決心したようだ
「……そうだよ。霧島マナは多分政府か戦自が送りこんだスパイだ。今諜報部に頼んで調査してもらってる」
それを聞くとミサトは今までのからかい半分だった顔を真剣な顔にして
「ほ、本当なの、シンジ君?」と聞く
「ええ、本当です。この前加持さんから報告を受けました」
「加持のやつ……」
「シンジ、なんで知っててそのままにしてるのよ?」と今度はアスカが聞く
「そ、それは………なにか彼女は違うような気がするから………」
「何が違うのよ。スパイなんでしょ。もしかしたらあんたの命を狙ってるかもしれないのよ」とアスカ
「そうよ、シンジ君、とにかくすぐに捕まえましょう」とミサトも続く
「待ってください。この件は僕が父さんから任せられていますので何もしないでください。それにこの事は誰にも言わないでください。マナにも今まで通りにお願いします」と今までにない真剣な顔で言うシンジ
「「シンジ(君)?」」
「分かったわ、シンジ君」とミサトは納得する
「ミサトぉ!」とアスカはまだ納得していないようだ
「アスカ!シンジ君の事、信用できないの?」
「………そんな事ないわよ…………分かったわよ、今回の事は聞かなかったことにしとくわ」
「ありがとう、ミサトさんにアスカ。レイも頼むよ」とシンジは納得してくれたミサトとアスカに感謝をすると今まで黙って聞いていたレイにも頼む
「ええ、分かったわ」とレイも納得したようだ
するとミサトの顔が真剣な顔からさっきのからかい顔に変わった
「それにしてもシンジ君、そこまで彼女を好きになったのね」と嬉しそうに言う
「そ、そんな事ないですよ…………」とシンジは真っ赤になって慌てて言う
そのシンジの姿を見ているアスカとレイは面白いはずもなかった
その晩 アスカは暴れまわり、レイは少しもシンジの側を離れなかったと言う