外伝 マナとともに(2)

 

 

ネルフ本部内実験棟プリブノ−ボックス

その中のシミュレ−ションプラグにてシンジ・アスカ・レイの3人がハ−モニクスのテストを行っている。3人とも真剣な表情でテストを受けている

同制御室内

リツコ達がそのテストをチェックしている

「シミュレ−ションプラグ、マギの制御下に入りました」とマヤはリツコに報告する

「おかしいわね」とリツコはモニタ−に映るデ−タを見て言う

「どうしたの?リツコ」とミサトはリツコの言葉を聞いて言う

「シンジ君のシンクロ率だけ上がらないのよ。シンジ君、どうしたの?」

『いえ、何でもありません。ただ、少し考え事があって……ところで、リツコさん、後でいいですか?』とシンジは言う

「ええ、いいわよ」

そのシンジの言葉を聞いていたアスカは

『なに、その考え事って。もしかしてあの女の事?』と刺を含んだような言い方で言う

『違うよ』

『そう?』

『そうだよ』

『ならいいけど……』とアスカは口では言うけど表情を見る限りシンジを信じていないようだ

 

 

同シンジ専用研究室

ここにはマナが居るはずなのだがシンジの予想通りに誰も居なかった

シンジは自分のロッカ−を開ける。すると、その裏に『シンちゃんへ。先に帰ります。ごめんね』とマナ直筆のメモが貼ってあった

それを見てシンジは

「やっぱり………」と一人つぶやいた

そして服を着替えるとそこを出てリツコの研究室へと向かった

 

同リツコ専用研究室

シンジは部屋に入るとリツコの前の席に座った

「コ−ヒ−でもどう?」とリツコは言う

「いいえ、結構です」とシンジ

シンジがそう言うとリツコはコ−ヒ−を飲み出した

「そう?ところで、シンジ君、用ってなに?」

「はい、これを調べておいて欲しいんです」と言うとシンジはペンダントをリツコの前に出した。そのペンダントは学校の屋上でマナからもらった物だった

リツコはそれを見て

「このペンダントがどうしたの?」

「ただ調べて欲しいんです」

「……分かったわ」

「ありがとうございます………」とシンジは言うとそれをリツコに渡して部屋を出ていった。そして総司令室へと向かった

 

同総司令所

シンジが入ると、ゲンドウはいつもの格好で座っていた

「どうした?」とゲンドウはシンジに聞く

「今日、第壱中学校2−Aに転校生が来たよ。父さん、この意味わかるね?」とシンジは言う

「その事か。私も今日初めて知ったのだ」

「そう、でもどうしてこんな急に?」

「今回の候補は日本政府からの推薦でな」

「日本政府?………何か匂うね」

「………そうだな。でも、それがどうした?」

「うん、今日、彼女から何度もコンタクトを受けたよ。多分、僕からネルフやエヴァに関する情報を得ようと思って、戦自か政府が送ったんじゃないかな」

そう、シンジは分かっていた。自分の立場と能力なら当然外部機関に狙われるという事を

「そうか。それでどうするつもりだ?」

「しばらくは様子を見るつもりだよ。今は諜報部に尾行してもらってます」

「なぜだ?すぐに捕まえて知ってる事ぜんぶ自白させたほうがいいのではないか?」

「でも………彼女は何か違うと思うんだよ……」

いつものシンジならすぐに自分で調査をはじめたかもしれない、だが今回はそうしなかった。それは、彼女に対して何かわからない感情を感じていた為である

「何が違うのだ?」

「………分からない……ただの感だよ……」

「感?それは科学者としてのか、人としてのか、それとも男としてのか?」

「………」シンジは黙っている。その姿を見てゲンドウは

「………わかった。後はお前に任せる、好きにするがいい」と言う

「ありがとう、父さん」と嬉しそうにシンジは言うと部屋を出ていった

シンジが出ていった後

「………シンジも男だったんだな」とこれまたこの事態に嬉しそうに言うゲンドウだった。その顔は人の親の顔だった

 

 

第三新東京市 ミサト宅

居間

シンジとレイ、アスカが夕食をとっている

「シンジ、今日のあのマナって子とどういうつもりよ」とアスカはシンジを問い詰めるように言う。レイもなにも言わないが表情はアスカと同様にシンジを問い詰めている

「どういうって、な、何でもないよ」とシンジ

「……嘘ね」

「本当だよ」

「……間違い無いのね!」

「うん……」

「そう、なら良いけど」と言うとアスカは自分の部屋へ走っていった

レイはその様子を見ていると自分の部屋へ戻って行った

シンジの寝室

シンジはベッドに横になり天井を見て何か考え事をしていた

「霧島マナか………彼女は一体………」

 

翌日朝 ネルフ本部内第1会議室

シンジ、加持、リツコがいる

「加持さん、彼女のあの後の様子はどうでした?」と諜報部の加持に聞く

「ああ、彼女は本部内をうろうろ偵察して返っていったよ」と加持は言う。シンジはそれを聞くと表情が暗くなった

「そうですか…………ところで、リツコさん、あのペンダントはどうでしたか?」とシンジが言うとリツコは昨日シンジが渡したペンダントを出しながら

「このペンダントに異常な事はなかったわ。ただのペンダントよ」と分析結果を報告する

それを聞くとシンジの表情はさっきの暗いものから少し明るくなった。加持はそれを見て何かに気づいたようだ

「そうですか、どうもありがとうございました」と言うとシンジはそのペンダントを手にして、それを見つめていた

「そんなたいしたことじゃないわよ。私、これから仕事があるからこれで行くわね」とリツコは言うと部屋を出ていった

加持はシンジのその様子を見てシンジに言う

「それは彼女からもらったペンダントだね」

「はい………“もしも”と思ってリツコさんに分析しておいてもらったんです」

「良かったな。その“もしも”じゃなくて」

「はい………加持さん、一つ聞いてもいいですか?」

「なにかな?」

「これをもらって僕はどうすればいいんでしょうか?ただの僕に近づく手段の一つなんでしょうか?」

「……シンジ君。その子の事好きか?」

「なんか、いいなって……」

「シンジ君、もしも彼女と一緒になりたいと思うんなら、まずその子の事を信じるんだ。それから彼女が何を望んでいるか、よく見るんだ」

「信じて……見る……」

「そして、もし告白するつもりなら、すぐに返事を迫っていけないよ、彼女にだって考える時間が必要だからね」

「時間………」

「とにかく自分から行動する」

「行動する……」

「これでダメなら、ま、諦めるしかないなぁ」

「ありがとうございました。なんか、勇気がわいてきました」

「と言うのが一般論だ。しかし、シンジ君、さっきのと矛盾するかもしれないが注意しろよ。彼女はまだ正体がつかめていないんだからな」

「……はい……」

「まあ、お互い、頑張ろうぜ!」と加持は言うとシンジの肩を叩いて出ていった

 

 

第三新東京市内のコンビニ

マナが引っ越してきたばっかで必需品がないとのことでシンジと一緒に買い物にきている

「なんで、昨日は帰ってしまったの?」とシンジ

「ごめんなさい、つい用を忘れていて」と舌“チョ”を出しながら言う

「そう、でもよかったよ、誰にも見つからなくてさ」

「ごめんなさい」

「もういいよ。とにかく帰ろ」と言うと荷物を全部持って店を出るシンジとマナ

すると近くの道路にミサトのルノ−が止まっている

「シンジ君」とミサト。ミサトは加持を連れて同じコンビニでお菓子類を買っていたようだ

「ミサトさん、どうしたんですか?」とシンジはミサトが出てきたほうを向いて言う

「ちょっと、お買い物、その子はお友達?」

「初めまして、霧島マナと言います」とマナはミサトに自己紹介をする

「初めまして、私は葛城ミサトって言うの、よろしくねん」とミサトも自己紹介をする

「僕はミサトさんちに同居してるんだよ」

「よかったら遊びにおいでよ」とミサトはマナを誘う

するとミサトが出てきたドアから買い物袋を抱え込んだ加持が出てきた

「お待ちどうさん」と加持

「加持さん」とシンジは言う

「そんなに買いこんでどうする気?」とミサトは加持の持ってきたものを見て言う

「司令部のみんなが食うだろう」

「コンピュ−タにポテトチップでも入ったら、どうするのよ」

「コンピュ−タだって腹は空くさ、よお、シンジ君、かわいい子じゃないか」と加持はマナのことを知らないように言う

「初めまして」とマナは加持に挨拶する

「だめよこんな男と話したら、中2にまで手を出して!ほら行くわよ」と言うとミサトは加持を引っ張って車に連れていく

「なんだよ挨拶ぐらい良いだろ」

「急いでるんだから」と言うと加持を車に乗せてミサトのルノ−は走り出した

この様子を見ていたマナは

「変わった人達ね」と感想を言う

「………うん」

「でも、良い人達みたいね」

「うん」と言うとシンジ達も帰っていった




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