外伝 マナとともに(1)

 


 

これは本編第七話から第九話の間に起こった事柄です

 


 

ある日の夜、その日は穏やかで満月がきれいな夜だった

ミサト宅、その静かな夜を過ごす3人がいる

シンジは紅茶を飲みながらその美しい月を見ていた

レイはそのシンジを見ながら同じく紅茶を飲んでいる

アスカはバスル−ムにいた

『が〜ががが〜』

と突然爆音と共に国連軍の重戦闘機群が穏やかな夜に侵入してきた

シンジの見ていた月の前にも戦闘機が現れ「ハッ!」とする

レイはそのシンジを見て驚く

アスカもその爆音に気づいて急いでバスル−ムから出てくる

 

第三新東京市

その街は使徒迎撃戦用要塞都市。あらゆる街の中で1番危険で1番安全な街

その街が燃え盛っている。上空を飛び交う重戦闘機群

そしてその街に侵入し人々の前を通過する巨大な物体のシルエット

 

再びミサト宅のベランダ

バスル−ムから急いで出てきたためはだかのままアスカは手すりに乗り出して燃え盛る街を見る

「なんで、非常事態宣言が出ないのよ。ほんとこの国ってダメな国ね!敵は使徒なの?シンジどこ行ったのよ!」とアスカは言う

アスカは家にシンジがいる事を忘れていたようだ

するとアスカの後ろにいたシンジが

「僕ならここにいるけど……」と困ったように言う

「えっ、ええ!」

アスカは急いでバスル−ムから出てきた為何も身につけていなかったのである。つまりはだかのままであった

「ごめん………あの……その……見えてるよ」

それを聞くとアスカは顔を真っ赤にしてシンジのほうに向かった。その後は当然のごとくアスカによるシンジの攻撃が始まった。レイがいなければシンジに明日はなかっただろう

 

 

翌日早朝 ネルフ本部内総司令室

シンジがゲンドウに昨日のことについて聞きに来たのだ

「おはよう、父さん」と挨拶するシンジ

「ああ」といつも通りに言うとゲンドウはシンジのほうを向く、するとあることに気づいたようだ

「シンジ、どうしたのだ、その顔は?」と驚きながら聞くシンジ

シンジの顔はあざだらけだった。その理由は……

「いや〜………その………あの……そんな事より昨日の事はどういうこと?」とシンジはうまく話題を変え目的の事を聞く

「昨日の事か。あれは我々ネルフとは関係のない事だ。こちらに事前に報告もなく戦自が勝手にやったのだ」

「そう、でも、なんであんな事をしたの?」

「何でも、こちらに秘密で作っていた兵器がこちらに侵入したそうだ」

「まったく、まだ懲りてなかったのか、あの連中は」

「ふっ、そうだな」

「わかったよ、じゃあ、僕は学校に行くよ」というとシンジは部屋を出ようとする

するとゲンドウが

「シンジ、女性と暮らすのは大変だな」と一言言う

「………うん」とシンジが言うと出ていった

 

同時刻 

アスカとレイは学校に向かっていた

「まったく、シンジはどこ行ったのよ」と朝からシンジが居なくて不機嫌なアスカ

「あなたの所為よ」とレイは一言つぶやく

「どういうことよ」

「あなた、昨日あれだけやっといてよくそんな事が言えるわね」

「あ、あれはシンジが悪いのよ」

「バスル−ムから勝手にはだかで出てきたあなたは悪くないの?」

「………うるさいわね」

「シンジ君、昨日の事でもうあの家には帰ってこないんじゃない」

「………」

こんな事を話していると、アスカとレイは学校に到着した。シンジはまだきていないようだ

すると向こうに座っていたいつものメンバ−が声をかける

「なんや、今日はシンジと一緒やないのか?」とトウジ

「あんな奴、知らないわよ」とアスカは答える

「どうしたの、アスカ?」とヒカリはアスカに聞く

「………なんでもないわ」

するとドアからシンジが入った来た

それに気づいたトウジとケンスケが挨拶する

「「よう、シンジ」」

「おはよう、ケンスケにトウジ」とシンジは返事をする

するとやっとそれに気づいたアスカとレイがシンジに詰め寄る

「ちょっと、あんた一体何処行ってたのよ?」とアスカ

「そうよ、シンジ君」とレイ

「ちょっと、父さんの所に行っていたんだよ。昨日の事を聞きに…」とシンジは言う

それを聞くとほっとしたのはアスカとレイは

「「なんだ〜」」と言う

そんな事をしていると今度はドアから教師が入ってきた。後ろに少女を引き連れて

「起立!」と学級委員ヒカリが言う

みんなは立ち上がった

「礼!着席!」

みんなは礼をすると座った

「今日は皆さんに転校生を紹介します」と言うと教師は黒板に名前を書いた

『霧島マナ』と

「どうも、きりしま……マナ……です。よろしくお願いします」とマナは挨拶をする

それを見ていたシンジは

(おかしいな、聞いていないぞ。新しい候補が増えたなんて)と少し疑問に思った

このクラス2−Aはネルフがエヴァンゲリオンパイロット=チルドレンの適合者の候補を保護と監視する為に集めて作られたクラスである。その為このクラスに転校生が来るという事は候補が一人増えたと言う事でありE計画担当のシンジにはまず最初に伝えられる事項なのである。しかしシンジはそれを聞いていなかった

なぜ16歳のシンジが中学2年生かと言うと2007年の教育法改正に伴い小学校が8年制にまでなり義務教育が高校3年までの14年になった為である。

(まあいいか。あとで父さんに聞いてみよう)

「はい、よろしく、霧島さんの席は……碇君の隣の席に座ってください」と教師はマナに言う

するとマナは歩きシンジの横の席に座った。そしてシンジのほうを向きニッコリと微笑んだ。それを見ていたシンジは“ポッ”となった

「いかり君ね?」とマナシンジに聞く

「え?」とシンジ

「碇君ってかわいい」

「…………」

「よろしくね、碇君」

それを見ていたアスカとレイはどう見ても機嫌がいいようには見えなかった

そして今日の授業は始まった

 

1時間目が終了した

シンジは窓際に行き外を見ながら何か考え事をしていた

すると横にマナがやってきてシンジに話しかけた

アスカも近くにやってきている

「担任の先生がやさしそうな人で、私安心しちゃった」とマナは言う

マナの言う事を上の空で聞いているシンジは

「そう…」と言う

「ねえ、良かったら碇君の下の名前も教えて」

「………シンジ………碇シンジ」

「シンジ君ね」

「うん…」

「本日わたくし霧島マナはシンジ君の為に午前6時に起きてこの制服をきてまいりました。どう、似合うかしら?」

「うん…」

「ねえ、この学校って屋上に出られる?」

「うん…」

「私、シンジ君と一緒に眺めたいな」

「えっ?」初めてシンジはここにマナがいることに気づいたようだ

ここでアスカが会話に入ってきた

「あ〜ら、仲がおよろしい事で。来たそうそうファ−ストネ−ムで呼ばれるなんて、幼馴染かしら?」とアスカは言う

「なに言ってるんだよ、アスカ。君の国やアメリカじゃ当たり前の事だろ。それにたまたま話があっただけだよ」

「シンジ君、屋上行こう」とマナはシンジを誘い屋上に向かった

残されたアスカを見た人は皆恐れおののいていた

 

 

屋上

シンジとマナは第三新東京の景色を眺めている

「きれいね」とマナは言う

「そうかな?僕はこの街好きじゃないんだけど」とシンジ

「ちがう」

「え?」

「山よ」

「山?」

「向こうの方にある山、まだ自然が残っているわ」

「風景なんてゆっくり見た事ないよ。こっちに来てからも忙しくてね」

「シンジ君って、もう大学卒業したんだってね」

「うん、まあね」

「それでエヴァのパイロットなんでしょう」

シンジはマナがエヴァについてふれると表情には出さないが警戒を始める

「知ってるの?」

「誉めてくれる?」

「うん」と言うシンジ

「私ね、自分が生き残った人間なのに何もできないのが悔しいのよ。羨ましいわ、シンジ君が……」

「そうかな?」

「みて」とマナは言うと一つの赤いペンダントを出した

「このペンダントは?」

「私がシンジ君につけてあげる」

「えっ、いいよ……」

「動かないで、少しくすぐったいけど我慢してね……はい、つけた」

「ありがとう……」

するとシンジの持っていた携帯がなった

「はい、シンジです………わかりました、すぐにそちらに向かいます」と言うと携帯を切った。そしてマナに

「ちょっと、用事ができたみたいだから、もう行くね。じゃあ」

そして階段を降りていくとアスカとレイに会った。どうやら二人も呼び出されたようだ

「あら、シンジさん、残念でしたね。せっかく彼女と二人きりだったのに」とアスカは嫌味たらしく言う

「そんな事ないよ。とにかく行こう」とシンジは言い学校を出ていった

 

第三新東京市第七環状線

シンジ、アスカとレイはこれに乗ってネルフ本部に向かっている

「なに!あの霧島って子、いやらしいわね、来たそうそう人の男に手を出すなんて」とアスカはわざとシンジに聞こえるように独り言を言う

すると前にマナが笑顔とともに現れた

「こんにちは」とマナ

それを見てシンジとアスカは呆然としている

「霧島さん!」とシンジ

「来ちゃった」

「でも、授業は?」

「学校って、面白くないんだもん。私もネルフに連れてって」

アスカとレイは呆然とそれを聞いていた

シンジはそれを聞き、マナに対して更に疑念と不思議な気持ちを抱いた

 

ネルフ本部無人ゲ−ト

自動改札が並んでいる

アスカとレイはIDカ−ドを使って中に入っていった

そしてゲ−トの前に残されるシンジとマナ

「入ろう?」とマナはシンジを促す

「霧島さん、このゲ−トはIDカ−ドがなくちゃ入れないんだ」とシンジは言う

「こうすれば、通れるでしょう」と言うとマナはシンジに後ろから抱きついた

マナの胸がシンジの背中に押しつぶされる。シンジはそれを感じ顔を赤くした

「これで一人分でしょう」とマナ

「でも、ネルフ関係者以外は…」

「シンジ君って、やさしい〜」

 

 

同本部内シンジ専用研究室

マナは席に座っている。シンジはロッカ−の前で着替えている

「悪いけど、僕が終わるまでこの部屋を出てはダメだよ」とシンジ笑顔でマナに注意する

「うん」とマナ

「それと……着替えてるから、向こう向いていていてくれないかな……」

「平気よ」

「君は平気でも僕が困るんだよ」

「分かった、向こう向いてるわ」

そう言われるとシンジは服を脱ぎ始めた

「シンジ君って、はだ白いのね」とマナは向こうを向いたはずなのにシンジに言う

「見ないでよ」

「シンジ君、ブリ−フ派なんだ」

「やめてよ」

そんな事がありながらシンジはプラグス−ツに着替え終わった

シンジのプラグス−ツ姿を見て

「かっこいい」とマナは感想を言う

「そうかな〜?」とシンジは照れながら言う

「うん、そうよ。とてもかっこいいわ」

「ありがとう。じゃあ、僕は行くからこの部屋で待っていてね」

「うん」とマナが言うとシンジは部屋のそとに出ていった

するとシンジは今までの笑顔を急に真剣な顔に変えて携帯を取り出し何処かに電話をし始めた。その電話はネルフ諜報部へと繋がっていた

「もしもし、シンジです。今、僕の部屋にある人物がいます。ちょっと行動が怪しいので、少し様子を見といてください。・・・・ええ、様子見だけでいいです。・・・・・はい、よろしくお願いします」と言うと携帯をしまい実験棟のプリブノ−ボックスへと向かった

その顔はいつものやさしいシンジの顔ではなくネルフでのみする顔になっていた。しかもネルフでも数の限られた人しか見た事のない……。しかし、その心の中にはいつものように自信だけではなくとまどいも含まれていた




外伝(2)


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