外伝 アスカとの出会いINドイツ(2

 

2013年初頭 ドイツ連邦共和国ハンブルク

ハンブルク国際空港

シンジはアメリカ第一支部での仕事を終えドイツ支部へと来た

そこにはまたまた黒服の男達数人がシンジを待っていた

「碇博士ですね?」とその男達の一人がシンジに声をかける

「はい、そうです」とシンジは言う

「ようこそ、私はネルフドイツ支部の者です。さあこちらです、どうぞ」と挨拶するとシンジを案内する

周りの人はそれを見て不思議そうにしていた。どう見ても中学生ぐらいの少年が、黒服の男達に“博士”と呼ばれ連れていかれるので、それは異様な光景であろう

 

 

ハンブルク市郊外ネルフドイツ支部

ここはネルフのヨ−ロッパにおける拠点である。そしてEUに多大な影響力を持つ

シンジはそこの支部長室に案内された

そこにシンジが入ると一人の男と青い目をした美少女がいた

「ようこそ、わがドイツ支部へ」と男がシンジを労う

「どうも、始めまして。碇シンジです」とシンジは自己紹介をする

「存じております。申し遅れました、私はこの支部の責任者ヴィルヘルムです」

シンジはそれを聞くと美少女のほうを向き

「そちらのかたは?」と聞く

「アスカくん、挨拶したまえ」と男は少女に言う

すると少女はシンジのほうを向き

「始めまして、惣流=アスカ=ラングレ−です」と自己紹介する

その様子はまるで演技のようだった

これがシンジとアスカの出会いだった

 

 

シンジは支部を離れホテルに到着した

そして、部屋を一通り見渡すと

(大体揃っているけど暇だから買い物にでも行くか)と思った

するとシンジは部屋を出てハンブルク市街をぶらぶらし始めた

ゲ−ムセンタ−のまえで何かが起こっているのを見つけた。シンジもそれが気になって近づいてみるとそこには怖そうな男数人に囲まれた少女がいた

その少女は先ほど紹介されたアスカだった

「どう言うことだ。お姉ちゃん」と男の一人が言う

「だからあんた達みたいな人とは一瞬たりとも一緒にいたくないのよ」とアスカ

「ふざけんじゃない」と男達が言うとアスカと喧嘩を始めた

それを見ていたシンジは

(これは大変だ。助けなきゃ)と思った

シンジは自己防衛の為にアメリカ時代ボディガ−ドからある程度の格闘技を学び普通の民間人相手なら負けない程度の実力がある

しかし、アスカは男達相手に互角の戦いをしていたので

(もう少し様子を見るか)とシンジは感じる

が、時間が経つにつれて多勢に無勢アスカが押され始めた。それを見てシンジは

(そろそろ限界かな)と考え、アスカの元へと向かった

すると男達が気づき、シンジに向かって

「なんだ、お前は?」と言う

するとシンジは

「そこの彼女の知り合いでね」と返す

男達は目標をアスカからシンジに変え向かってきた。シンジは彼らの攻撃を全部よけ相手を一撃で気絶させた

そうしていると、向こうのほうから、警察がやってきた

「まずい、逃げろ」と言うと男達は雲が切れるように散っていった

シンジはアスカの手をつかみ

「僕達も行くよ」と言いその場を去った

 

かなり走ると

「もう、ここまで来れば大丈夫かな」とシンジは止まった

するとアスカは顔は何故か赤いが不機嫌そうに

「手はなしてよ。大体あんた何よ。私の邪魔しないでよ」と言い放つと手を放した

「邪魔って………」と感謝されると思っていたのにこのように言われて困惑するシンジ

「何よ、文句ある?」

「………文句?」

「そうよ」

「……文句なんてないけど……」

「そうならいいのよ。ところで一体、あんた何者なの?」

「えっ、僕?」

「そうよ」

「僕は、碇シンジだけど」

「そんな事を聞いてるんじゃないわよ。なんの用でドイツに来たの?」

「ああ。一応、ここの技術責任者として来るように言われたから」

「技術責任者って、あんた一体何歳なの?」

「13歳だけど…」

「13歳って、私と歳一つしか違わないじゃないの…」

「うん、ところで何でそんな事を聞くの?」

「サ−ドチルドレンが来るって聞いてたからよ」

「ああ、そう。それも僕だよ」

「はっ?」

「つまり、サ−ドチルドレンは僕だよ」

「うそ、あんたが……」

シンジのアスカに対する第一印象は決していいものではなかった

アスカのシンジに対する第一印象はなにか複雑なものだった

 

 

翌日 ネルフドイツ支部 チルドレン実験ル−ム

そこでは、アスカのシンクロ実験が行われていた。アスカはいつもの通り好成績であった

隣のモニタ−室ではシンジがアスカのデ−タをチェックしていた

「これはなかなかの成績ですね」とシンジはそのデ−タをみて感想を言う

それを聞いていたアスカは何か馬鹿にされたように思い

『何がなかなかよ。あんたにできんの。サ−ドチルドレンさん?』とシンジを挑発する

それを聞くとシンジもテストプラグに乗りこんだ

『エントリ−スタ−ト』と言うとシンジのシンクロ実験が始まった

シンジのシンクロ率はみるみる上がりアスカのそれを越え10ポイント以上高い所で安定した。それをモニタ−室で見ていたアスカは

「うそ……」と言うしかなかった

アスカはどんなことでも人の負けたことがなかった、まして同年代の人に。

アスカは部屋を走って出ていった

この時アスカは初めて人に負けたのだった

そしてこの事が後の事件に繋がるとはこの時は誰も知らなかった

 

 

2週間後 同実験ル−ム

いつも通りシンジはモニタ−室でデ−タをチェックしていた

「また今日も下がってる。一体どうなってるんだ?」とシンジ

あの日以来アスカのシンクロ率は下がる一方だったのである

「すいません。後で惣流さんを僕の部屋へ呼んでもらえますか」とオペレ−タ−の一人に言う

「はい」

 

 

シンジ専用研究室

ここはシンジがマギの調整や弐号機の実験をする部屋である

シンジはここで、アスカの今までのシンクロデ−タを見てこの低下の原因を探っていた

すると不意にドアが開きそこからアスカが入ってきた

「何よ、用って」とアスカは立ちながら言う

「まあ、座って」とシンジはいすを差し出す

「惣流さん、最近どうしたんですか?」とシンジは差し障りのないように切り出す

「ちょっと実験続きで疲れてるのよ」とアスカは弁解するように言う

「エヴァのシンクロ率は表層の体の異状によって変わることはありません。もっと内面的な所に問題があるんじゃありませんか?」

「そ、そんな事ないわよ」

それを聞くとシンジは少し話題を変えた

「そうですか。ところであなたはエヴァをどう思っていますか?」

「エヴァを?………あんな人形、道具としか思っていないわよ」

それを聞くとシンジはそれまでの口調を少し強くして

「なるほど……惣流さん、そのような考え方ではこれ以上のシンクロ率上昇はないでしょう。君にはそのうちエヴァを降りてもらう事になるかもしれない」と言う

その言葉はアスカの一番怖かった言葉である

「………うるさいわね。あんたに何がわかるのよ。あれの所為で私はママを失ったのよ」

と言い放つとアスカは部屋を出ていった

誰もいなくなった部屋シンジは少し考え

「………僕にだってわかるさ」とつぶやく




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