第六話 沈黙とユニゾン


 

 

 

 

<ネルフ本部内リツコ専用研究室>

リツコは今までの戦闘におけるデータを見ながら使徒の分析をしていた。するとリツコの背後から誰かの手が伸びてきてリツコに抱きついた

「少し痩せたかな?」と背後の人物が言う

「そう?」と特に気にすることもなく答えるリツコ

「どうやら、悲しい恋をしているようだ」

「どうして、そう思うの?」とリツコは言い終わると後ろを振り向いて

「久しぶりね、加持君」と続ける

「ああ、本当に久しぶり」と加持はいつもの笑顔で言う

「それより、そろそろ離れた方が良いんじゃないの?こわ〜いお姉さんが睨んでるわよ」とリツコはその部屋のドアに視線を向けた

そのドアにはミサトがこの世のものとは思えない顔で怒っていた

「あんた、何やってるのよ!」と入ってくるミサト

「まあまあ、そんな怒るな、葛城」と加持

「あんた、もう仕事終わったんでしょう。とっととドイツに戻りなさいよ!」と刺々しくいうミサト

「それがそうもいかなくなったんだよ。辞令が下りてこっちにいつづけだ。っと言うわけでよろしく。また3人でつるめるな」

「なんで、アンタなんかと………」

その時、エマージェンシーコールが鳴り響いた

 

 

 

<数分後

同本部内発令所>

警報を聞いてリツコの部屋からミサトたちが走りこんできた。そしてすぐさまマコトに聞く

「どういうこと?」

「はい、先程、巡洋艦はるなから紀伊半島沖に未確認物体を発見との連絡が入りました」とマコトが現状を報告する

「それで、分析結果は?」とリツコ

「データと照合したところ、パターン青、使徒と確認しました」と今度はマヤが言う

それと同時に後ろにいた冬月が

「総員第一種戦闘配置!」と宣告した

 

その後、使徒を迎え撃つ為の準備を行った。しかし、前回の戦闘における初号機の被害の修復が済んでいないため、今回の作戦は零・弐号機で行う事となった

 

 

<数時間後

新茅ヶ崎郊外の海岸線>

第三新東京市が前回の戦闘の被害によって使い物とならないため、その水際で食い止める事となった

零・弐号機は既に空輸でここに到着していた。そして、いつ使徒が来ても良いように、準備がすすめられていた

 

<同地移動発令所>

「今回の敵は、水際で叩くわ!」とアスカ・レイに向かって作戦(?)を言うミサト

『でも、私思うんだけど、第三東京で戦った方がサポートとか受けられて楽なんじゃないの』とアスカが正論の言う

「それがダメなんだ。前回の戦闘で多大な被害を受けちゃってね、街の迎撃機能がまるで動かないんだよ。それだったら、自由に動き回れるここの方が良いだろう」と何故か連れてこられたシンジがアスカに説明する

『そう、分かったわ。でも、シンジ、何であんたがそんなとこにいるの?』

「今、初号機、修理中なんだよ。そう言う訳で今回は頼んだよ、二人とも」とエヴァに乗る二人に言うシンジ

『『はい(分かってるわ)』』と同時にシンジに返すレイとアスカ

その時オペレーターから情報が入る

〔使徒、有視界距離に接近!〕

「二人とも準備して!使徒来るわよ!」とミサト

そして、使徒との戦闘が開始された

『私が先に行くわ。援護頼むわね』とアスカはレイに言うと勝手に使徒へと向かっていった

レイは言われた通りに使徒に向けてパレットガンによる援護で、使徒の意識をうまく弐号機から逸らした

弐号機は華麗にジャンプしながら、徐々に使徒へと近づくと、その手に持つソニックブレイブを振りかぶった

『もらった!』とアスカは叫ぶとそのソニックブレイブで使徒を一刀両断にした。これにより、使徒は真っ二つになった

それをみて、発令所内の者はシンジ以外喜んだ

アスカも得意げに

『どう?シンジにファースト、戦いは無駄なく美しくよ』と言った

しかし、シンジだけは発令所にリアルタイムに送られてくる使徒の情報を見て、何か異常を感じていた

(おかしい、データに変化が見られない………まだなのか?)

「アスカ!油断は禁物だよ。何か変だ!」と忠告するシンジ

それはレイも感じていた

『まだ、来るわ』と小さく言うレイ

すると、アスカの背後に二つとなって横たわっていた使徒がそのまま復活したのである

『うそ!!!』と悲鳴をあげるアスカ

「落ち着くんだ!アスカ。コアを狙え!」とシンジはできるだけ冷静に指示する

アスカは言われた通りにその使徒の中央部に位置しているコアを狙って、持っているソニックブレイブで攻撃した。見事にコアを貫いたが、コアが一回転するとまた元に戻ってしまった

二体のうちのもう一体は海岸にいる零号機へと向かってきた。レイはそれに向けてパレットガンの照準を定めずに乱射した。それは、使徒の手・腕・首などの各部を貫くが全く効果が見られなかった

「いんちき!」とその戦闘の様子を総括するように感想を叫ぶミサト

 

その後、なす術がなかった零号機と弐号機は使徒二体によって活動停止となった

 

 

 

<数時間後

ネルフ本部内第一会議室>

先の作戦における失敗を踏まえた総括的な話し合いが行われていた

室内は暗く、前面にあるモニターには海に沈んでいる弐号機と、地面に埋もれている零号機のリアルタイムな様子が映し出されていた

それを見て、あまり良い気分ではなさそうなアスカと特に気にもしていないレイ。その二人の様子を困ったと言う様子で見ているシンジ

「弐号機は海中に沈没、零号機は地中で活動停止」とマヤが戦闘の結果報告をする

「その後、指揮権を国連に譲渡。新平塚市郊外においてN2爆雷を投下、使徒の構成要素の26%の焼却に成功」とシゲル

その様子の詳細なデータがモニターに映し出される

「また、地図を書き換えないといかんな」と頭を抱えて言う冬月

「やったの?」と使徒を倒したのかどうかを聞くアスカ

「いや、残念ながら足止めにしかならないよ」とシンジが困ったように言う

「足止めって、どれくらい?」

「そうだね、まあ一週間程度じゃないかな」

とシンジが言うと、その隣にいるゲンドウが重い口を開いた

「パイロット両名!君たちは自分の役目を何だと考えている?!」

このゲンドウの一言で室内は一気に雰囲気が冷凍化した

「エヴァの操縦」とアスカが答える

「確かにそれもある。しかし、そうではない!」

「使徒の殲滅」と今度はレイが言う

「その通りだ!分かっているなら頑張ってくれたまえ」とゲンドウは言うと冬月とともに部屋を出て行った

ゲンドウが出て行ったことで冷め切っていた雰囲気が急に温暖化した

アスカは余裕ができたのか、周りを見渡した。そして、ここにいるべき人間=ミサトの姿がない事に気がついた

「ミサトは、どうしたの?」と隣に座っていた加持に聞く

「責任者は責任取る為にいるんだ。今ごろ、一人責任取ってるだろう」と冗談交じりで答える加持

 

 

<リツコ専用研究室>

これからの作戦の為にリツコの部屋にシンジと加持が来ていた

使徒の戦闘時の詳細なデータに目を通しながらシンジが

「どうしたものですかね……リツコさん、何か良い考えないですか?」と言う

「そうね。このデータが正しいとしたら、使徒が二つに分裂すると互いが互いのコアを補うように動くみたいね」とリツコ

「それは、分かっています」

「だったら、二つのコアに同時に攻撃を加えれば良いんじゃないか」と加持が簡単そうに言う

「そうなんですが………では、どうすれば良いと思います?マギの推定では使徒の再侵攻は7日後なんですよ」とシンジ

「それは、俺に任せてくれ。いい考えがある」と加持は言うと自分の考えを二人に説明した

二人は最初、その加持の意見に半信半疑だったが、その後、どう考えても他のいい考えが浮かばず、最終的にそれでいこうということになった

こんな加持のような考えは科学者のシンジやリツコには思いもつかなかった。加持のような遊び心を持っているものでないと考えもつかない事であった

 

 

<数時間後

ミサト専用執務室>

ミサトのデスクの上は山のような書類で埋もれていた。ミサトはその様子を見て“ゲンナリ”としていた

そこに、リツコが資料を持って入ってきた

「大変そうね」と軽く言うリツコ

「そう思うなら手伝いなさいよ」と泣き言が入るミサト

その書類とは、先の作戦においての被害報告書・国連及び戦自の出撃に対する支払い請求書などである

「嫌よ」と一言で返すリツコ

「やっぱり…………」

「これは手伝う事ができないけど、かわりに使徒の倒し方を教えてあげるわ」とサラッと衝撃的なことを言うリツコ

「本当??!!」

「ええ、これよ」と一枚のディスクをミサトに手渡すリツコ

「さすがは、親友!」と抱きつかんばかりの勢いでリツコに近づくミサト

「そう言ってくれるのは嬉しいけど、残念ながらこれは私の案ではないわ」

「じゃあ、誰の?」

「加持君のよ!」とリツコ

「加持の???!!!!」

ミサトはそれを聞くとディスクのラベルを見た。そこには、“マイハニーへ”と赤く書かれていた

それを、ミサトは複雑な表情で見ている

そのミサトを、これまた嬉しそうな表情で見ているリツコ

 

 

 

<同日午後

ミサト宅>

そこには、シンジ・ミサト・アスカ・レイの四人がお茶を飲みながら、話し合いをしていた

「………と言うわけで、レイ・アスカ。あなた達二人には、ここに一緒に住んでもらうわ」と作戦を簡単に説明した

ちなみに、加持の計画した作戦は、エヴァに乗るアスカとレイが一緒に住み事で体内時計を合わせ、それと共にダンスと音楽を使いユニゾンを深める事による、二点同時加重攻撃を分裂した使徒のコアに加えると言うものです

この作戦について、加持の提案段階で最初に反対したのはシンジであった。何故ならば、加持はシンジも二人と共に生活しろと提案したのである。理由は、シンジが側にいると、二人の精神的安定が得られやすいと思われるからである。

シンジは嫌だと言ったが、その場のメンバー3人(シンジ・加持・リツコ)においての多数決で勝手に決まってしまった

「なんで、私がファーストなんかと一緒に暮らさなきゃならないのよ!」と言うアスカ

「仕方がないでしょう。これが作戦なんだから!それに、今回は特別参加でシンジ君も一緒に生活する事になってるのよ。それでも嫌?」とミサトが言う

ミサトのこの発言で反対意見はなくなった

 

 

 

<三日後>

最近学校にこない、シンジたちを心配してトウジ・ケンスケ・ヒカリの三人がミサトの家にやって来た

ちなみに、アスカは来日後すぐに、チルドレン及び候補の集中管理という観念からシンジたちのいる学校に入学した。その後、いろいろと世話をしてくれたヒカリとはかなり仲がよくなった

「シンジどうしたんやろうな?」とトウジ

「それがわからないから、こうして見に行くんだろう」とケンスケ

「それに、綾波さんとアスカも心配でしょう」とヒカリ

三人はミサトの家の玄関前までやって来た

〜ピンポン〜

とチャイムを鳴らすと中からシンジが一人出ていた

「「「こんにちは」」」と三人同時に言う

「やあ、みんな久しぶり」とシンジ

「どうしたんや?シンジ。最近、学校にこんで?」

「まあ、その理由は中に入ったら分かるよ」

「綾波さんとアスカは?」とヒカリ

「それも、中に入ればわかるよ」と言うと三人を中へ促した

そして、中に入るとアスカとレイが踊っていた。そこには、他にミサトと加持が見ていた

その踊りを見ながら、シンジが三人に作戦の説明をした

「そうなんですか。それで、ユニゾンはうまくいってるんですか?」とミサトに聞くヒカリ

「それは、見ての通りよ」と視線を二人に移して言うミサト

アスカとレイの踊りは全く合っていなく、見れたものではない。それは、誰が見てもうまくいってるとは思えなかった

「「はあ」」と頭を抱えてため息を吐くシンジとミサト

「アスカ、何度も言ってるでしょう。音楽に合わせるんじゃなくて、レイに合わせるのよ!」と今まで何度言ったか分からないことをまた言うミサト

「うっさいわね!こんなどんくさいやつに合わせられる訳ないでしょう。合わせるんなら、ファーストの方よ!」とこれまた何度も聞いた反論をするアスカ

「アスカ!!」と怒鳴るシンジ

「何よ。文句あるの?そんなに言うなら、あんたやってみなさいよ!」とシンジに言うとアスカは自分の場所を明け渡した

そのアスカの行動を見るとシンジは“仕方ないな”と思い、加持に視線をチラッと向けた。加持はそれを受けるとシンジの真意を理解し、ただ頷いた

加持の了承を得ると、アスカが明け渡したところに行くと、踊る準備を行い、音楽がなるのを待った

そして、音楽が開始されると、シンジとレイは踊りだした。それは見事なもので、一寸の狂いも見出す事ができなかった。つまり完璧にユニゾンができていたのである

それを、驚いた表情で見ているアスカ

シンジは踊り終わると、アスカに言う

「どうだい?アスカ!君は僕とレイの踊りを見てどう思った?」

アスカは下を向いて

「…………うそ……こんな事あるはずないわ…」とだけ行って家を出て行った

シンジはアスカが部屋を出て行くことを予期していたかのように、何も言わずにその後を追った

 

 

<第三新東京市立富士見の丘公園>

ここは、名の通り富士山を一望できる風光明媚な公園である

アスカはあてもなく、飛び出してきてしまった。そして、ここに着くと何をする事もなく、ただ泣くのを我慢していた。そこにシンジが追いついた

アスカに近づくとシンジは言う

「アスカ、どうして、レイと合わせることができないんだ?今の君ならできないことじゃないはずだ!」

「何!?私が悪いって言うの!あの女が私に合わせれば良いじゃない」と反論するアスカ

「はっきり言おうか、アスカ!君が悪いんだ!」

「どうして?!」

「それは、君ならわかっているはずだ」

「……………分からないわ」と嘘をつくアスカ

「そうか。分かった、君にはドイツに帰ってもらう」

「………………!!!!」と今まだ下を向いていた顔が急にシンジの方を向いた

「このまま、君がいても、作戦の邪魔だ!それ位の事なら、わかるだろう」

「そ、そんなの嫌よ!もうシンジのいない所なんかに行きたくないわ。シンジまで私を捨てるの!」と叫ぶアスカ

「……………」黙ってアスカを見つめるシンジ

「どうして、そんな事を言うのよ!!」

「…………これからのことを考えたら、チルドレンの連携が勝敗のかぎを握る場面が必ずある。アスカ、このまま君がいてはそれがうまくいかないだろう。そうなったら、僕たちは負けてしまうかもしれない。それは、最優先に避けなければならない事項なんだ!君なら理解できるはずだ」

「………分かってるわよ、それでも、絶対に(シンジから離れるのは)嫌!」

「分かった、なら、もう一度聞くよ。何でレイと合わせられないの?」

「…………あの女を見てるとシンジを私から奪ってどこかに連れて行こうとしてるんじゃないかと思っちゃうのよ」

そのアスカの発言を聞くとシンジは今までの厳しい表情をやわらかい表情に変えた。そして、アスカを肩から抱いた

「大丈夫だよ、アスカ。僕が君を置いてどこかに行くわけないだろう」

アスカはそうされると、今まで我慢していた涙を流した

「そうよね!分かった、私、やってみる」

そして、二人はそのままの体勢を数分間続けた

 

その様子を遠くから見ていた加持とミサトは“ウンウン”と嬉しそうに頷いていた

 

シンジはアスカに自分の踊りを見せる前、加持とアイコンタクトをとった時、こうなると言うことまで予想していたのである

 

この時からアスカは変わっていった。少しずつではあるが、レイと合わせようとしてきたのである

それに伴いユニゾンも徐々にうまくいき始めた

そして、前日にはシンジ・ミサト・加持ともに合格点を与えるほどの成長を見せた

 

 

 

<作戦実行日前日夜

ミサト宅>

この日、シンジは戦闘サポートの最終調整、ミサトはエヴァの最終チェックをしているリツコの付き添いで家にはいなかった

「シンジとミサトは?」とお風呂からあがったばかりのアスカは布団を引いて寝ようとしているレイに聞く

「明日の作戦の為に本部に行ったわ」とレイは答える

「と言う事は、今日は二人きりね」

「そうね」

「それはちょうど良いわ。あんたとは、一度二人だけで話したいことがあったのよ」

「そう?私にはないわ」

「うるさいわね。聞きなさい!あんた、シンジの事どう思ってるの?」

「シンジ君?………シンジ君は私の絆よ!」

「絆?」

「そう。他に変えることのできないもの。かけがえのないもの。私を守ってくれるもの…………私にはそれしかないの……」

「…………?」そのレイの言葉を真剣に聞いて何も言う事ができないアスカ

「何故、(シンジの事を)聞くの?」

「……………うるさいわね。もう良いわ。さあ、練習再開するわよ」

アスカがそう言うとユニゾンの練習をはじまった。ただ、この時レイも自分と同じなのだというのにアスカは気づいた。そして、この時からレイの事をアスカは名前で呼ぶようになった

それは、予定の時間を大幅に過ぎ、二人の睡眠時間はかなり削られた

 

 

<同じ頃

ネルフ本部内シンジ専用研究室>

シンジは一人、明日の作戦におけるエヴァのサポート体制をマギによるシミュレートなどで万全なものに整えていた

そこに、突然後ろからコーヒーが渡された

「どうぞ、シンジ君」

それはリツコだった

「ありがとうございます」とリツコから手渡されたコーヒーを一口飲んだ

「どう、状態は?」と仕事の進行状況を聞くリツコ

「はい、もう少しで終わりますよ」

「そう、それにしても、大変ね、シンジ君は」

「そんな事ないですよ。彼女たち二人の方が僕なんかより大変ですよ」

「違うわ。ミサトから聞いたわよ。あのアスカを説得したんですって」

「ああ、その事ですか。あれは説得なんてものではないですよ。ただ、僕の考えを彼女に理解してもらっただけです」

「そうなの……だけど、何でも自分で抱え込もうなんて考えちゃダメよ。シンジ君に何かあったらネルフは動かなくなるんだから」

「分かってますよ」と言うと突然、シンジは表情を真剣なものへ変えた。リツコもそれに気づいたようだ

リツコはシンジにより近づくとシンジから小声で話してきた

「リツコさん。例のものはどうなりました?」

「……レベル7の地下隔離施設に保管されているわ」

「そうですか」

「レベル6の私では入れないけど、レベルFreeのシンジ君なら、問題なく入れるわ。ただ、その時、レコーダーに名前が残って、司令に知られてしまう危険があるわ」

「マギで消す事はできませんか?」

「名前を消すことはできるわ。だけど、そこに入ったという事実までは消せない。そうなれば、レベル7に入れるのは現時点で、司令に副司令、そしてシンジ君あなただけよ。すぐに分かってしまうわ」

「そうですか………分かりました。そのうち時機がくるでしょう。それまで待つとしますか………これからもよろしくお願いしますね、リツコさん」と最後は笑ってリツコの名前を呼んだシンジ

 

 

 

<作戦実行日

同本部内第一発令所>

使徒がマギの試算どおり活動を開始して、一直線にここ=第三新東京市へと向かってきた

「二人とも頑張って。練習どおりにやれば大丈夫だから、落ち着いてね」とシンジはエヴァに乗っているレイ・アスカに言う

『大丈夫よ、シンジ。あんたはそこでゆっくり見てなさい。ねっ、レイ』とアスカは言うとレイに同意を求める

『ええ、そうよ』とアスカに続くレイ

その二人の様子を見て、今までと多少違う事に気がついたシンジはその疑問をぶつけてみる

「あれ、ふたりとも、いつからそんなに仲良くなったの?」

『そんな事ないわよ』とアスカ

『何かの間違いね』とレイ

ほぼ同時にあわせるように言うアスカとレイ

 

そして、使徒が第三新東京市の防衛ラインを突破した

「使徒が強羅絶対防衛線を突破しました」とマコトが報告する

「アスカ・レイ準備は良い?」とミサトが二人に聞く

『大丈夫よ。レイ、62秒で決めるわよ』とアスカ

『ええ』とレイ

「零・弐号機、射出!これからの行動はシンジ君のプランどおりに!」とミサトが指示を出すと、作戦が開始された

それは、まるで芸術作品のように寸分の狂いもなく二人は動作し、最後には計画どおりに二つに分裂した使徒のコアを同時に攻撃して使徒が爆発すると、作戦は終了した

しかし、最後の着地の時バランスを崩してしまい、零号機と弐号機は重なり合うように倒れてしまった

「ああ、残念」と笑いながら言うシンジ

「あちゃ〜」とミサト

「ふっ、無様ね」とリツコ

 

 

<零・弐号機着地地点>

アスカとレイは何とか自力でエントリープラグから出た。その後、アスカはエヴァの外部に付いている拡声器で隣に倒れている零号機にいるレイと連絡を取った

「ちょっと、あんた、何バランス崩してるのよ!!?」とアスカ

「あら、そう?」

「“そう?”じゃないわよ!」

「何言ってるの。あなたが昨日寝かせてくれなかったのがいけないんじゃないの?」

それは、話し合いやユニゾンの訓練の為である

だが、そのレイの発言を他の人物は違う風にとってしまった

『『『『『『えええええ〜』』』』』』

絶叫する発令所内

アスカもそれを聞くと顔を赤くして

「何言ってるのあんた。誤解されるじゃない!」

と叫んだ。このアスカの発言が更なる誤解を生むのだった

この二人の会話を受けての人々の反応

「あの二人が………」

「不潔………」

「あちゃ〜」

「ふっ、無様ね」

「恥をかかせおって!」

などであった

 

この後二人は、当分の間そう言う風な目で他人から見られるのであった





第七話へつづく


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