第二話 うその生活


 

 

 

 

<ネルフ本部内サテライトミーティングルーム>

前回の突然の使徒来襲にたいしてネルフの上部組織である人類補完委員会に報告をしていた

委員会のメンバーは主要各国における裏の世界を握っている人物である

メンバー全員にはこの前の戦闘における詳細な情報が渡っていた

『どうやら、使徒の侵攻による被害は最小限度で済んだようだな』

『この程度やってもらわねば我々の出した先行投資が無駄になってしまう』

『碇君、そちらにはすでに3機のエヴァを渡してある。それを有効に使ってもらわねば、困るんだよ』

と自分は何もしていないのに文句だけを言う委員

「心得ております」と一言だけ言うゲンドウ

『まあ、今回の件については特にこれ以上の責任追及は不要だろう』

『そうだ。こんな事よりも君には人類補完計画という最重要事項がある。そちらのほうは、どうなっているのかね?』

『以前から報告を聞いているが、一向に作業が進まぬではないか。いくら時間と金を使っていると思ってるのだ』

「ご心配なく。シンジもこちらへ来たので作業は問題なく進むでしょう」

『計画については碇君に一任してある。よって、もう少しは様子を見ようではないか』と委員の中心人物であるキールという男が言う

「ありがとうございます」

『碇君、分かってるとは思うが君には期待をしているのだ。そして、君にはそれに応える義務がある………では終了しよう』

とキールが言うと会議は閉幕した。その部屋に今までいた人物は“ふっ”と消えてしまった。その人物の像は立体映像だった

そして、その部屋にはゲンドウ一人となった。そこに、外からシンジが入ってきた

「文句だけは一人前だね。自分たちは何もしないのに。いつもこんな感じなの?」とシンジ

「いや。どうやら老人たちは予定通りとは言っても使徒の襲来にあせっているようだ」とゲンドウ

「情けないね」

「ふっ、そうだな」

と二人は笑いながら言う

「ところで、シンジ。住居はどうするのだ?」

「まさか、父さんと一緒に暮らすわけにはいかないだろ。もちろん、一人で暮らすよ」

「そうだな、何かあったら困るからな。では、その様に手配しておく」

というとゲンドウとシンジは出て行った

 

 

<同本部内第三会議室>

シンジとミサト、そして職員の生活担当者いる

「………という事です」と生活担当者がゲンドウとシンジが違うところで生活するという事を伝える

ミサトはシンジの直属の上司な(と思っている)のでここにいる

「シンジ君、本当にそれでいいの?」と本人が望んでその様にしたとは知らずにミサトが言う

「ええ、僕と父さんが同じところに住んで何かあったら大変ですからね。それにいまさら一緒に暮らせませんよ、向こうでもそうでしたしね。」とシンジは平然と答える

「そう分かったわ」とミサトは何を分かったのか電話を取り出すとかけ始めた

『ええ、そう言うことだから。これは作戦部長の要請よ。そうお願い』と言うと電話を切った

その姿を不思議そうに見てるシンジ

ミサトはすぐにシンジの方に向き直ると

「シンジ君、君はこれから私と一緒に暮らす事になったわ」と言う

「………はい?」と反応するのに少し時間のかかるシンジ

「一緒に暮らすのよ、私と」

「…………どうしてそうなるんですか?」

「あなたは大事なエヴァのパイロットなのよ。そんなあなたを一人置いて暮らさせるわけにはいかないわ。大丈夫よ、これは上司としての判断で個人的なことで言ってるわけではないから」

「上司ですか…………」

「何?何か文句あるの?」と有無も言わせない威圧で言うミサト

「いいえ、分かりました」と言うしかないシンジ

「よろしい、それじゃ行きましょう」

「ちょっと待ってください。その前にレイに会ってきたいんですけど」

「あなたたち知り合いなの?」

「はい、これでも一応同じチルドレンですからね」

「そう、分かったわ。待ってるから行ってらっしゃい」

ミサトのこの言葉を聞くとシンジはこの部屋を出てレイの入院している病室へと向かった

 

 

<同本部併設ネルフ付属病院チルドレン専用管理病棟>

シンジはファーストチルドレン=綾波レイがいる病室の前に来るとドアを叩いた

“コンコン”

中からは反応は無かったがシンジはそれが予想通りだったようでそのまま中へと入っていった

その中にはベッドで寝ている少女が一人いた

シンジはその子のそばまで来ると

「大丈夫、具合はどう?」と声をかけた

レイは突然現れたシンジに対して驚きの表情を見せて何も言わない

「どうしたの、調子悪いの?」とシンジは心配して言う

「いいえ、そんな事は無いわ」と初めて声を出すレイ

「そう良かった。話は聞いたよ、大変だったようだね」と安心した表情を出すシンジ

シンジのその表情を見てレイは何故か嬉しくなった

「…………ありがとう」と自然に口に出るレイ。そのレイの表情は少し微笑んでいるように見えた

「レイの顔が見れて嬉しかったよ。じゃあ、僕行くね、人を待たしてるんだ。それと、これからずっと日本にいるからまた会いに来るよ」

「…………そう」とその顔は残念そうだ

シンジはそれに気づいてはいるが振り切るように出て行った

病室の外ではミサトが待っていた

「どうだった?レイは。あんまり話さないでしょう。変なのよね、あの子」とミサト

「そんな事無いですよ。レイはかわいいですよ」

「かわいい?(確かに容姿はかなりのものだけど、性格は………)」とかなり失礼な事を思いつつミサトは言う

そして、二人はミサトの車にて家へと向かった

 

 

 

<その途中、ある高台の公園>

ミサトは直接家に向かうと思ったが、突然この公園で車を止めた

「どうしたんですか?」とこのミサトの行動を不思議がるシンジ

「くれば分かるわ」とミサトは言う

そして、二人は見晴台へと歩いて向かった

「ちょっち待っててね。もうすぐだと思うから」と腕時計を見ながら言うミサト

そうして、待っていると急に警報とともに地面からビルが生えてきた

シンジはその様子に多少の感動を覚えた

「へええ、凄いですね。予想以上ですよ」と素直に感想を口にするシンジ

「そうでしょう」と自分の事のように自慢するミサト

その様子を一通り見終わると二人は今度こそミサトの家へと向かった

 

 

 

<ミサト宅>

二人がドアの前に来るとミサトは横に設置してあるスロットに自分のIDを通した。それと同時にロックが解除されドアが開いた

そしてその中にミサトが先に入りシンジを招きいれようとした

シンジはそれに従い

「お邪魔します」と言って中に入ろうとした

だが、ミサトがそのシンジの発言に何か気に入らないものがあったのか

「違うでしょう。今日からここはあなたの家でもあるのよ」と少し怒ったように言う

ミサトのその言葉にシンジは何かを気づくと

「…………ただいま」と一言だけ言った

「おかえりなさい」といって中に入ることを認めた

「ちょっち、汚れてるけど気にしないでね」とリビングへ向かう廊下内で言うミサト

シンジはリビングへ入るとその凄まじい惨状に目をみはった

「これが少しですか!」

「ま・まあ気にしないで、食事にしましょう」

というとミサトは帰途によったコンビニで買ったレトルト食品を広げた

その様子を見ながらシンジは深くミサトの家にきた事を後悔していた

「これが、食事ですか?」

「そうよ。何、嫌いなものでもあるの?だめよ、好き嫌いは。何でも食べないと」

「そう言う意味ではないんですけど…………分かりました。でも、その後、掃除もしましょうね。これでは寝る事も出来ませんよ」

「え?!…………」とシンジの発言に困るミサト

その反応にシンジは

「もしかして、ミサトさん、家事って出来ないんですか?」と皮肉っぽく言う

「ううう……………」否定も肯定もしないミサト

「わかりました、家事は僕がやるので心配しないでください」

「ええ!本当?」

「はい」

「でも、大丈夫?できるの?」

「はい、一通りの事は。この状況は良いと思いますよ」

その後、シンジは家事の事でミサトをからかいながら最初のミサトの家での夜を過ごした





第三話へつづく


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