第一話 第三新東京市到着


 

 

 

 

巨大生物はどこからともなく、その存在理由もわからずにここ=第三新東京市へとやってきた

その生物をこの世界で圧倒的戦力を誇る日本の戦略自衛隊(戦自)が攻撃を加えて殲滅を図ろうとしていただが、その様子はどんなに贔屓目で見ても攻撃に効果があるとは見えなかった

 

 

<第三新東京市地下

ジオフロント内ネルフ本部>

この特務機関ネルフという組織はこの生物が来るであろうことを予期し設立されたものである

その中の総合発令所にて戦略を立てそれをもとに戦うのである。だが、今その行動を取っているのはネルフではなかった。戦自がその役割を果たしていた

発令所の前面にはモニターがありそれは外における生物との戦闘の様子が映し出されていた。それを見ながら戦自の3人の指揮官が各部隊に対して指示を与えていた

そして発令所の後部には二人の男がその様子を見ながら話していた

「15年振りだな」と白髪の男=冬月コウゾウが言う

「ああ。間違いない、使徒だ」と黒髭の男=碇ゲンドウが座りながら答える

「それにしても、運が悪いな。今、レイは治療中だ。動かせんぞ」

「問題ない。この時のために温存しておいたものが届く」

「そうだな、この状況では彼に頼るしかないな。しかし、彼はあれに乗るのは初めてではないのか?」

「問題ない。テストプラグにおける成績は優秀なものだ。それにあいつに出来ない事はない」

「それならいいが………」

と二人が話していると突然発令所のモニターが爆音とともに輝きだした。それは戦自がその時代の最強兵器であるN2兵器を使ったからである。それは旧世紀の核をもはるかに凌ぐ破壊力を誇るものである

しかし、それですら使徒には通用しなかった。それには戦自の指揮官もかなりのショックを受けたらしい。この結果を見ると指揮官は全指揮権をネルフに与えそこから出て行った

ネルフ総司令であるゲンドウは指揮権を与えられると早速行動を開始した

「総員、第一種戦闘配置」とゲンドウがネルフ所内に発令した

それと同時に今まで戦自の職員がいた発令所ではネルフのメンバーである、伊吹マヤ・青葉シゲル・日向マコトが作業を開始した

「碇司令、地上のヘリポートから連絡がありサードチルドレンが到着したそうです」とマコトが言う

「そうか。冬月後は頼む」とそれを聞くとゲンドウは席から立ち発令所を出て行った

「ああ、シンジ君によろしくな」とゲンドウの後ろ姿に言う

 

<ヘリポート>

アメリカから急遽呼び戻された碇シンジはVTOLから降りるとそのまま横にあるエレベーターへと向かった。その扉の前には葛城ミサトという女性が一時間以上前からシンジを待っていた

「あなたが、碇シンジ君ね」とミサトが言う

「はいそうです。はじめまして葛城ミサトさん」とシンジも言う

ミサトの様子は誰が見ても決して機嫌がいいようには見えなかった

「それじゃ行きましょう。時間もないようだし」と刺々しく言うミサト

「ええ………そうしましょう」

二人はエレベーターに入るとそれは地下へと向かった

 

<エヴァ初号機専用ケージ>

途中、ミサトが道を間違えるというトラブルがあったがシンジが教えるという事で事無きを得た

そのケージの中は真っ暗であった

シンジが入ると突然照明がつき正面には巨大な顔が現れた

それとともにどこからともなく声が聞こえてきた

「久しぶりだな。シンジ」とそのケージの上部にあるモニター室から言うゲンドウ

「本当にそうだね、何年ぶりかな」とシンジ

「悪いがシンジ、感慨にふけっている時間はないのだ」

「分かってるよ、父さん。まあ、任せてよ」とシンジは言うと初号機に乗る為の準備をしに向かおうとした

そこにミサトが割り込んできた

「司令、待ってください。いくら訓練を受けていたとは言っても彼は本物のエヴァとシンクロするのは初めてです。いきなりエヴァとのシンクロを図るのは不可能です。あの綾波レイですら6ヶ月もかかったんですよ」

そのミサトの発言に対する答えはゲンドウではなく突然ミサトの横から返ってきた

「大丈夫よ、ミサト。彼ならね」それはネルフ技術部責任者赤城リツコであった

「リツコ?それってどうして?」

「見れば、わかるわよ。それとシンジ君久しぶりね」

「はい。すいません、今時間無いようなので後で挨拶に行きます」とシンジは言うと出て行った

 

<再び発令所>

そこにはオペレーター3人とリツコ・ミサト・ゲンドウ・冬月がいた

リツコを中心に初号機の出撃準備を行っていた。その行動をミサトはじっと見ていた

ミサトにはリツコがどうしてあんなに自信を持ってシンジについて言えるのか分からなかった。ミサトは初号機が動く事自体ないと思っているからである

そして今度は視線をモニターに映るエントリープラグ内にいるシンジへと向けた。そのシンジの表情を見ると何故か分からないがリツコがあんな事を言った理由がわかるような気がした

「シンジ君、準備はいい?」と作業をしていたリツコが聞く

『もちろん。いつでもいいですよ』とシンジは表情を笑顔に変えて言う

「そう、分かったわ。マヤ、シンクロ開始」と指示を出すリツコ

「はい…………初号機とのシンクロ、開始されました…………シンクロ率、50・60・70・80・90・92%で安定しました。ハーモニクス、その他異常ありません」とマヤが現状を報告する

それと同時に発令所内はシンクロ率の異常な高さに感嘆と興奮の声が響いた

「そう……ミサト、後はあなたの仕事よ」とリツコはミサトに言う

ミサトはシンジのシンクロ率の凄さに驚きリツコの言葉に対する反応が遅れた

「………ええ、分かってるわ」とリツコに言うと発令所の後部にいるゲンドウの方を向くと聞く

「司令、良いですね?」

「ああ、我々には他に方法はない」とゲンドウ

「分かりました。初号機を地上に射出!目標の正面に配置して」とミサトは最後の指示を出すと初号機は地上へと出て行った

 

 

地上に射出された初号機は使徒の動きを先読みし完璧な攻撃方法と敵のATフィールドを破る事によって3分で目標を沈黙させた

 

 

<戦闘終了後

ネルフ本部内総司令室>

シンジは戦闘と着任の報告をしに総司令室にいた

「ご苦労だったな。それにいきなりで悪かったな」とシンジに労いと謝罪の言葉をかけるゲンドウ

「本当にそう思ってる?」とシンジ

「ああ」

「今回の事といいレイの怪我の事といい、これは父さんたちのミスだよ」

「ああ、そうだな。これからは気をつける」

「それならいいけど………」

「ところで、ご老人たちはどうだった?」

「まだ、こちらの動きには気づいていないようだよ。でも気をつけるにこしたことはないよ」

「そうだな」

ゲンドウは不気味な笑みを浮かべて言った





第二話へつづく


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