1999年9月 奄美(3回目だ)

 奄美往復25000円ゆう激安チケットで3度目の奄美。

 余裕を持って出たつもりやったのに、新阪急ホテルのバス停からリムジンバ

スが出たとこ。伊丹行きは30分に一本しかあれへんやん。田舎のバスやない

ねんから、もっとよーけ出してくれ。しかも、所要時間は35分やて。ホンマ

かいな。

 次のバスを待っとったら飛行機には間にあわん。しゃーないからタクシー。

福島入り口まで、線路沿いの脇道通って、15分で伊丹空港までついた。高か

ったけど速い。新大阪駅まで行ってタクシー乗るより大阪駅からの方が速いみ

たいやわ。

 朝飯食ってへんかったから、なんか買おか思たけど、適当なもんがあれへん。

しゃーないから、おかき買うて、出発前の機内でばりばり。うーん。変なやつ。

 飛行機はダグラスのやつ。まわり見てみたら、JASの飛行機はみんなダグ

ラスやん。香港や台湾でダグラスの飛行機の事故があったばっかりやったから

心配で、フライトアテンダントに聞いてみたら、型が違うから大丈夫、てゆう

とった。ホンマかなぁ。

 離陸のときも着陸のときも耐ショック態勢。こわい。

 空港には、ツレのイントラが迎えに来てくれとった。

 名瀬でホームセンターに寄ってもらってドライバーとロープ買うた。ドライ

バーは水中で身体を固定するためで、ロープはドライバーをBCにひっつけと

くため。普通、流れのあるとこで身体を固定するのにはダイバーズナイフ使う

んやけど、刃がついてるもんで自分の身体を傷つけるんがこわい。身体を固定

するだけやったらドライバーがええんちゃうか、ゆう発想。ダイバーズナイフ

は高いしな。

 ダイバーズナイフには、漁網なんかにひっかかったときに、それを切る、ゆ

う目的もある。けど、切るためだけやったら、もっと安物のナイフを使い捨て

する方が安上がりちゃうかな。

 

アドバンス講習

 今回は、アドバンス講習を受けることにしてた。普通、アドバンスゆったら、

50本・100本潜ってある程度慣れてきた人が受けるんやろけど、おれなん

か、たった12本でアドバンス講習やもんな。終了しても、ちょっとよそでは、

「アドバンス受けました」とは恥ずかしいてよーゆわん。

 アドバンスの必修科目は、ディープ(深いところ)とナビゲーション(水中

での方向感覚)。選択科目はナイト(夜間潜水)・ナチュラリスト(水中生物

観察)・マルチレベル(様々な水深を安全に潜る方法)にした。

 ナイトダイビングは怖いから、最初はやりたなかったんやわ。だいたい、昼

間のダイビングでも怖いのに、街灯もあれへん真っ暗なとこでダイビングなん

て怖すぎる。水中ライト持って入るんやろけど、ライトの電池切れたりしたら

おしまいやん。

 そやけど、イントラ夫婦から、

 「ライトは予備も持って入るから大丈夫」

 「ケミカルライト(化学反応を利用した発光体で信頼性が高い)をタンクに

着けるから位置が分かる」

 「お月さんの光で明るい」

てゆわれて、しぶしぶやることに。

 晩ご飯は、奄美のカラフルな魚(本土ではスジアラゆう魚らしい)の煮つけ。

地元では高級魚ゆうことやけど、確かにうまい。あっさりした白身の魚やけど、

うまみが深い。これを塩気を控えめにした煮汁で煮すぎにならんように調理。

うまい。

 

ディープダイバー(奄美 清水)

 ブイを打ってあるとこは水深5・6mやけど、耳がなかなか抜けんもんで、

着底に3分かかった。でもまだ耳が痛い。

 坂を下って深場に降りていく。どうも沈みぎみや。インフレーターボタンを

押して空気を入れる。まだ沈みぎみ。さらに空気を入れる。まだ沈んでいく。

おかしい。水圧がかかって耳が痛い。フィンキックして少し浮上して耳抜きし

てから潜降。BCに空気を入れるけど、浮力が取れへん。思い切り空気を吸っ

ても当然あかん。

 もしかして、と気づいて、インフレーターホースを挿し直してみたら、空気

がBCに入るようになった。セッティングのときに、ちゃんとささってへんか

ったんやな。失敗や。

 これまでは、擬態してる毒のある魚がこわぁて、砂地や岩に手ぇ触れるんこ

わかったけど、ドライバー使たら安全に身体を固定できる。成功や。

 アドバンスのディープダイバー講習は、水中での計算問題。大気中では30

秒で出来た問題が、水中では45秒かかった。コンパスナビゲーションでも、

角度の計算するのに、なかなか計算でけへんもんな。

 一本潜っただけやのに、ドライバーはもぉ錆が来てる。塩気てすごいんやな。

次はステンレスのドライバー買お。

 セミドライでもそんなに暑いことない。どこでもセミドライで年中潜れそうやわ。

ウェットスーツはいらん。

 

ナビゲーション(奄美 嘉鉄)

 嘉鉄は、遠浅の砂地の中の珊瑚の根。 弱い流れがある。

 コンパスナビゲーションの実習。正方形を描いて元に戻ってくる、ゆう課題。

 方角を決めて、フィンキックの数を数えながら泳ぐ。途中でコンパスの針が

振れてしまう。

 90度方向転換。針が振れて方向がなかなか定まらん。方向を決めたらベゼ

ルを回して進行方向を固定。

 流れがあるもんで、3つ目の辺は、キック数を多めにとった。で、最後の辺

に向かうとき、元の場所があれへん。完全に失敗や。イントラが元の場所に連

れていってくれた。透明度がもひとつやったから、これ、自分だけで潜ってた

ら、迷子になってるパターンや。

 イントラから、「もう一回」と指示が出た。

 さっきよりも90度ターンを素早くやってみたら、今度はうまいこと元の場

所に戻れた。

 地図を描くように、てゆわれとったけど、さっぱり描けへん。後でチェック

されへんかったから、まぁええか。

 魚は、オニオコゼ。岩に擬態してる。あと、嘉鉄にはいっつもおるヨウジウ

オ。それからナンヨウハギ。ヒメジの類。

 後でイントラに、コンパスナビゲーションの方向転換のとき、流されとった、

てゆわれた。あと、コンパスの持ち方が安定してへんもんで、

針があちこちに振れるらしい。なるほど。けど、大気中でも暗算苦手やのに、

水中で角度の計算は難しい。流れがあるときは、海底で身体を固定してから9

0度ターン、ゆうのがええんかな。

 

ナイトダイビング(奄美 嘉鉄)

 月のない真っ暗な夜。星明かりを頼りに船が走る。車みたいにサーチ

ライトが付いてへんもんで、水中ライトで水面を照らす。そやけどライトで見

える範囲は短い。大きな浮遊物があったりしたら確実に衝突やん。根があって

も見えへん。スタッフが魚群探知機を使って水深を見ながら操船してる。

 嘉鉄に着いたけど、ブイが見えん。みんなでライトでブイを捜す。なかなか

見つからへん。ホンマにこんな真っ暗な海で潜るんかいな。こわー。

 昼間潜った嘉鉄のサンゴ礁。しかも、ブイの真下の根だけを潜る。ブイをつ

ないであるラインにはケミカルライトが付けてあって場所が分かるし、各自の

背中のケミカルライトもよぉ見える。水中ライトの届く範囲は知れてるけど、

他の人のライトはよぉ見えるから、不安はなくなった。

 夜は昼は見えへん生き物がよーけおる。

 夜光虫は、プランクトンの一種で、手で水を扇いだら発光する。

 夜になったら、海老や蟹がよーけ出てくる。蟹は昼間は一匹もおれへんかっ

たのに、あっちこっちにおる。

 でかいウツボが穴の中に潜んでる。小さいウツボが砂地に這い出とって、一

生懸命威嚇しとる。

 根の底の棚の下に石みたいなオニダルマオコゼ。やっと自分でも見つけれる

よぉなった、て思とったら、イントラがその手前にもぉ一匹のオニダルマオコ

ゼを示してくれた。オニダルマオコゼは刺されたら死ぬこともあるから、うっ

かりドライバーで触ったりしたら、あぶないとこや。

 岩の上にオニオコゼ。岩に見事に擬態してる。これも猛毒なんやなぁ。

 イントラが、ハダカハオコゼを教えてくれた。ゆわれんかったら、海草かゴ

ミにしか見えん。

 岩場をのぞき込みながら潜ってたら、イントラがおれをつんつん。何かと思

たら、おれの脚のすぐそばに、砂地からまっすぐに伸びてる縞模様。

 縞海蛇!

 げっ!

 動揺。

 急いで離れて、それから怖いものみたさによぉ見てみたら、砂地に頭を突っ

込んでるみたい。で、尾部にはひれがある。多分鰻の仲間の海蛇ちゃうかな。

 根の中層を赤い鯛みたいな魚が泳いでる。トガリエビス。

 普段は、一つの根をぐるっとまわったら、次々に隣の根に移動してくんやけ

ど、ナイトダイビングなもんで、おんなじ根をじっくり見れる。これまでは見

逃してた魚や、自分ではよぉ見つけんかった魚を見れる。観光旅行みたいにあ

ちこちを駆け足で見て回るんもええけど、こぉやって一つの根だけを時間かけ

て見るんもええわ。

 エグジットしてからおれが、

 「月明かりで明るいで、ゆうからナイトやったのに、真っ暗やんけ」

てゆったら、イントラ(妻)が

 「てっちゃん、ほら、星綺麗」

てごまかしとった(笑)。イントラ(ツレ)は、

 「月で明るい時もある」

ゆうとった。ホンマ、頼むで(笑)。

 

ナチュラリスト(奄美 安脚場)

 普通は、潜る前にガイドが、どんな魚が居るか教えてくれるし、水中でも、

これはなんちゅう魚か、て教えてくれる。そやけどナチュラリストの講習なも

んで、自分で10種類以上の生き物を特定せなあかん。10種類ゆったら簡単

みたいやけど、チョウチョウウオの類、とか、イソギンチャクの類、ゆうのは

あかん。ちゃんと正式な種名を特定せなあかんのや。チョウチョウウオなんか

は綺麗で目に付きやすいんやけど、種類がめちゃめちゃ多いもんで、仲間の少

ない、同定しやすいもんを狙わなあかん。

 エントリー。

 縞々のハゼはダテハゼ。

 砂地に居る2・30cmのやつはギンポやったかな。

 紫と白と黄色のカラフルなやつはモンガラカワハギ。これは分かりやすい。

 ヘラヤガラも分かりやすい。

 イソギンチャクにおるんは、クマノミ。あと、背中に白い筋が入ってるクマ

ノミ。

 チョウチョウウオの類でも、身体に黒い楕円の模様の入ったやつと、楕円の

銀色の模様の入ったやつと、もひとつ楕円の白い模様の入った奴。これは分か

りやすい。へへへ。一気に3種類カウントやん。

 背鰭から尾をひいてるんは、ツノダシかな?

 岩場の中の小さな砂地にはヒメジの類。

 パンダみたいな白黒のフグもおった。

 ハタの類やスズメダイの類も何種類も。

 嘉鉄の根みたいに、ヨウジウオとか縞海蛇とかオニダルマオコゼみたいな見

つけやすぅてまぎれのない魚がおったらええのに、ややこしいやつばっかりやん。

 ペンションに帰ってから、図鑑見て魚を同定。

 ギンポやて思い込んどったやつはマエソやった。

 チョウチョウウオの類で、楕円の模様の色の違うやつは、3種類とも、スミ

ツキトノサマダイゆう1種類の魚やった。くそ。

 背中に筋の入ってるクマノミでも2種類あるやん。ハナビラクマノミやった。

 ツノダシかと思たやつはハタタテダイ。

 パンダ模様のフグは、図鑑に載ってへん。イントラに聞いたら、コクテンフ

グ。そやけど、図鑑のコクテンフグとは色調が違う。でも、色が違うだけでコ

クテンフグには間違いないらしい。

 ヒメジの類とか、ハタの類は図鑑見ても分からん。写真でも撮ってな、細か

い違いなんか覚えてへんわ。

 結局、名前の特定できたんは、ギリギリの10種類。難しい。

 

マルチレベル(奄美 三角岩パート2)

 今回は、地図を書くのが課題。

 ここは、他と違ってブイ打ってへん。波とか流れとかの関係らしい。細かく

船を操作して、アンカー投入。

 アンカーロープに沿って潜降。流れはほとんどない。

 岩場に狭いトンネルがある。人間一人がくぐるんがやっとのトンネル。そこ

をイントラは、ひゅん!、と一気にくぐり抜ける。めちゃめちゃ正確なフィン

スイムや。おれなんか、こわごわゆっくりくぐり抜ける。タンクとフィンが一

回ずつ壁に当たった。あかんなぁ。難しい。

 トンネル抜けたら、上が狭いクレバスで、通り抜けるとこはちょっと広いホ

ールになってる。こんな地形潜ったん初めてや。

 ふと気ぃついたら、ドライバーが、くくってたロープから抜けてしもとる。

もやい結びで、締め付けるみたいな結び方は難しいわ。

 ホールから出たとこで、地図描くん思い出した。トンネル抜けるんに一生懸

命で、コンパス見るん忘れとった。結局、アンカーから岩場への往復の角度し

か書けず。ナビゲーションは完全に失格やわ。はぁ・・・。

 帰る途中、夕立が降り出した。シャワーみたいで気持ちええ!

 

この日で一応アドバンス講習は終了。

 そやけど、特にナビゲーションは全然身についてへん。意識的にやるよぉに

せなあかんわ。今は方向も分からんとガイドにひっついていってるだけやもん

な。

 ナイトダイビングはええ経験やった。流れがないんやったら、そんなに危険

でもないんやな。何より、じっくり時間をかけて見たら、いろんなもんが見え

てくる、ゆうのが分かった。

 ナチュラリストもよかった。受け身で、ガイドの教えてくれる魚を見るだけ

やなしに、自分で魚を探したり同定したりすることがどれぐらい難しいかよぉ

分かったわ。けど、自分で探す、ゆうのも楽しみなんやな。

 ナチュラリストは、テキストに、水中生物の擬人化を戒める記述があったん

はびっくりした。

 なんかの本(新聞?)で、犬を擬人化して扱ったら犬は増長して、自分は人

間と対等か人間より上の存在やと思いこんで、飼い主を召使いと思うようにな

る、ゆうのを読んでから、動物を擬人化したらあかんねんな、ちゅうのは知っ

とった。けど、ダイビングのテキストにまではっきりと、イルカなんかを勝手

に人間の友達と思いこんだらあかん、て書いてあったんにはびっくりした。

 一応、アドバンスの講習は修了したけど、とてもアドバンスダイバーなんて

よぉゆわん。毎回耳抜きに苦労してるし、ナビゲーションはさっぱりやし。

 

テノヒシ

 体験ダイビングのにーちゃんら3人と一緒に潜った。ほとんど何の教育も受

けてへん人らを潜らすんやから、スタッフはめちゃめちゃ神経使うみたい。

スタッフがぴったりマークしてる。けど、3人とも

結構うまいわ。耳抜きも苦労せんと降りてきたし、落ち着いてる感じ。うーん。

ダイバーになったら、すぐ上達しそう。

 ドライバーのロープを結ぶん忘れたんに気付いて、水中で結び直し。

 ジェットフィンを借りた。ジェットフィンは硬い感じ。けど、推

進力はある。足首のスナップを利かせてキックするんかな。

 中層に台湾カマスの群。すごい。あと、胸鰭のカラフルなセミホウボウもおった。

 岩場でイントラがダッシュをかけた。何かいな、て思たら、コブシメ(甲イ

カ)やん。おれも追いかける。速い。おいつかん。コブシメが岩の上で休んで

る。しめしめ。イントラが全然違う方向にダッシュして、方向を変えてコブシ

メに接近。おれと挟み撃ちみたいな形になって、コブシメは逃げていった。

 イントラは、コブシメを追い込んで、みんなの居る方向に行かせるつもりや

ったらしい。そのために、まっすぐにコブシメを追いかけんと、わざとずれた

方向に泳いだらしい。うーん、そうやったんか。まともに追いかけるばっかり

が能やないし、追いかけることによってガイドのやろとしてることを妨害する

ことにもなるんやなぁ。

 浮上してから軽い頭痛。これがジェットフィン特有の頭痛かな。

 

三角岩

ここもブイなしのポイント。

 再びジェットフィンで。

 エントリーして、アンカーロープを目指して泳いで行ったら、だんだんと流

されて、船の方に寄っていく。あかん。

 船から遠ざかりながらアンカーロープを目指すけど、すぐに船の方に流され

る。フィンで何回か船底を蹴ってしもた。

 おれとしては耳抜きがうまいこといって、2分ぐらいで着底。

 流れがかなりきつい。ドライバーや手で体を支持しながら泳ぐ。ドライバー

はほんまに役に立つ。

 流れがきついけど、思い切りフィンキックしたら何とか進む。ジェットフィ

ンの威力やな。

 イントラは大きくて力強いフィンキックで、忍者が空間を飛び回るみたいに、

ひゅんひゅん泳いでる。山になってるとこも、おれが必死でフィンキックして

じわじわ越えていったのに、イントラはあっとゆうまに越えて姿を消してしまう。

 ダイビングも、これぐらい流れがきつかったら、スポーツそのものやわ。レ

ジャー感覚ではやってられへん。思い切り力強く&素早くフィンキックしてぐ

いぐい進まんと流されてまう。

 機材を外したら、突然吐き気がして、ゲロ吐いた。

 イントラから、流れのあるときは、流れの弱いとこに体を入れて、

手を使って移動し、流れのきついとこは一気に抜けたらええ、て教えて貰った。

そぉやったんか。おれなんか、馬鹿正直に流れに逆らって必死に泳ぐばっかり

やったもんな。

 もぉ一回、流れのあるとこで練習せなあかん。

 

危うく遭難(黒崎西)

 前の日の三角岩とおんなじで、かなり流れが入ってる。ミューゆうフィンを

借りた。

 ドライバーは、巻結びでロープと繋いでみた。

 船首よりからのエントリーを勧められたんやけど、難しそうやったんで、い

つもの船尾よりからのエントリー。

 バックロールエントリーして、浮き上がって、船を確認したら、既に船尾か

ら3mぐらい離れとった。なんや、ごっつ流れが速いやん。

 フィンキックして進もうとするけど、フィンが水面を叩いて効率が悪い。ど

んどん離れていく。50cmぐらい潜降してフィンキック。それでも船のスク

リューがだんだん小さなっていく。フィンキックを強ぉしても流されるばっか

り。脚がだるい。昨日の三角岩での疲れが残ってる。

 まずい。ちょっと焦る。

 潜るしかない。デフレーターボタンを押してBCの浮力を減らそとしたけど、

元々BCに空気は入ってへんかった。ヘッドファストでの急速潜降を試みたけ

ど、耳抜きが追いつかへん。おれにはまだヘッドファスト潜降は無理や。

 浮上して船を見たら、スタッフが背中を向けて何かやってる。既に30mぐ

らい流されてる。このとき、スタッフは、おれが流されてるんに気付いて、浮

き輪付きのロープを投入する用意をしとったらしい。でも、そんなことは分か

らんかったし、あんだけ離れてしもたら、ロープを出してもろても届かんかっ

たやろな。

 さらに流されていく。

 泳いで船までたどり着くんはあきらめるしかない。

 焦る。

 海底が見える。

 ここは水深23・4mのはず。流れの遅い海底まで潜って、ブイまで戻るし

かない。

 潜降開始。

 泳ぎながら潜降。そやけど、耳抜きがうまいことでけへんもんで、時々止ま

って耳抜き。そのたびに大きく流される。

 ある程度の水深になったら、ヘッドファスト気味に潜降。

 おれとしては割合耳抜きが順調にいって、多分1分半ぐらいで着底。

 水深23m。残圧140。こんだけ残圧あったらブイまで戻れる。助かる確

信がもてた。呼吸を落ち着ける。

 ドライバーで体を固定しながら匍匐前進。

 海底が急速に上り坂になってる。ここを上ったらブイが打ってあるんや。も

ぉ助かったも同然。

 ドライバーで、魚の擬態やないかどうか確かめながら、手とドライバーで体

を固定しながら坂を上っていく。

 ドライバーの巻結びはいつの間にかほどけてしもてる。

 坂を半分ぐらい上ったとこで誰かのタンクバンガーの音。おれもドライバー

でタンクを叩く。まわりを見たら、右手にイントラとスタッフを確認。

 合流。残圧110。

 後から聞いたら、スタッフが浮き輪付きのブイを投げ込もうとしたときには、

おれは既に潜降しとって姿が見えんかったらしい。で、スタッフがブイの下で

待ってたイントラに知らして、二人で探しに来てくれた。流れがきついもんで、

おれの排気泡はまっすぐに上に上がらんと、斜め45度ぐらいやったもんで、

みつけにくかったらしい。イントラは15分ぐらい待った、ゆうことやから、

水面で5分ぐらい流されて、1・2分で潜降して、水底を7・8分、ゆうとこ

かな。

 このままブイまで戻るんかと思たら、おれのタンクの残圧あるもんでちょっと

ファンダイブ。

 海底付近で流れが弱いからやろか、潜る前はあんだけ流されたのに、フィン

キックがよぉきいて、流れに逆らって移動できる。

 ハナヒゲウツボがおった。あと、何種類か見せてもーたけど、泳ぐのん必死

であんまり記憶がない。

 残圧60で浮上開始。

 ロープにつかまって浮上するんやけど、海底からちょっと離れたらごっつ流

れがきつい。鯉のぼり状態。

 別のグループの女性ダイバーが、ロープにつかまるのに失敗して流された。

あぶない、思たけど、もぉ一本のロープを掴めた。

 ロープ伝いに完全浮上。

 ブイからロープが流してあったもんで、ロープを伝いながら船の梯子に近づ

く。流れがきつぅて何回も船底に接触。

 やっと梯子にとりつき、ちょっと苦労してフィンを脱いでエグジット。

 開始時残圧190。終了時45。最大水深23m。潜行時間は、ダイビング

コンピュータには22分、て出てる。でも、ダイコンは水深1m以下にならん

とカウントしよらへんから、水面でじたばたしとった時間も加えたら、+5分

ぐらいやろか。過去で一番空気消費したわ。

 喉が渇いて、お茶をよーけ飲んだ。

 反省点だらけや。

 そもそも、船首側からエントリーしたら、ゆうスタッフの勧めを素直に聞か

んと、船尾側からエントリーしたとこ。ただ、あれだけの流れやったら、船首

側からエントリーしても結局は流されとった思う。あの場合は、船首の先端か

ら、ロープをめがけて飛び込むしかなかったやろな。

 エントリー前に、自分で流速を見極めることも必要なんやな。判断をスタッ

フに任せきりで、自分ではちゃんと流れの速さを見てへんかった。

 早めに声を出して、ロープを投げ入れてもらうべきやった。BCには、こぉ

ゆう時のために笛が付いてるのに、笛のことは全然頭になかった。

 潜降するときも、スタッフにちゃんと知らせてから潜降すべきやった。下手

したら、おれは助かっても探しに行ったスタッフが遭難しとったかもしれん。

もっと透明度の悪い海やったら、この危険性もあった。

 結果的には、潜降して海底を前進する、ゆう判断は間違うてへんかったけど、

潜ることにこだわらんと、BCに空気入れて、水面を漂流した方が、確実にボ

ートに拾ってもらえたかもしれん。今回は、潜ったことのあるポイントで、ブ

イの方向も分かってたし、ブリーフィングで水深も分かってたから海底に活路

を見いだす、ゆう方針で悪くはなかったけど、初めてのポイントで、もっと水

深が深かったら、このやり方は取れへん。

 潜降して海底に、ゆう方針にしても、もっと早ぉに決断すべきやった。泳い

でも泳いでも船から離れる一方なんが分かった時点で、水面を泳いでブイに戻

るんは不可能、て判断して、別の活路を素早く考えるべきやった。

 潜降するにしても、おれみたいに耳抜きに弱点があるダイバーはあぁゆう流

れのきついポイントやったら致命的や。ヘッドファストでぐいぐい潜降でけへ

んかったらあかん。

 フィンスイムのパワー不足も痛感した。フィンキックの脚力や技術が不足し

てるんやわ。流れがきついとこやと、スピードとパワーが生死を分ける。

 潜降を決める前に残圧チェックをしてへんかったんも大失敗や。海面でのフ

ィンキックで思ったより大量に空気を消費しとったかもしれんし、もしどっか

から空気が漏れとって、海底に着いたときにエア切れやったら死んでしもとる。

 唯一よかったんは、パニックにならへんかったことぐらいかな。

 イントラからのアドバイスをいろいろもらった。

 まず、流速が速すぎてあかん、思た場合は、岸に向かって泳ぐべき、ゆうこ

と。陸に近づくほど流れは緩なるから。おれなんか、ブイにたどり着く、ゆう

ことしか頭にあれへんかったもんな。

 エントリーについては、水に入った瞬間にブイの方向に泳ぎ始めるべき。お

れ、とりあえず浮上してから方向を見とったもんな。これだけであっとゆう間

に5m・10m流されとった。

 耳抜きについては、泳ぎながら耳抜きせなあかん。おれ、耳が抜けへんとき

には、動作を全部止めて耳抜きしてるもんな。中層の流れがきついとこでこれ

やっとったもんで、相当流された思う。

 昼飯は嘉鉄コーラルガーデン上で。思い切り運動したもんで飯がうまい。

 午後のポイントに移動する途中で、海亀を見た。

 

安脚場西

 弱い流れがある。

 午前中の反省から、エントリーしてすぐにライン方向に泳ぎ始めた。

 ここはトンネルをくぐるポイント。三角岩パート2みたいに狭いトンネルや

ないからそんなに難しいことないけど、シロガヤ(有毒)があるもんで、触ら

んよぉに注意。

 トンネルの中に40cmぐらいのアカククリの成魚が2匹。岩にはウコンハ

ネガイ。今度は光ってるのが分かった。

 トンネルを抜けたら珊瑚の岩場。イロブダイとかクマノミとかヘラヤガラと

か。高級魚のスジアラみたいなんも居った。あと、透明なイソギンチャクカク

レエビもガイドが見せてくれた。

 意識的にジェットフィンでスピード出してみたけど、弱い頭痛がするだけ。

これも慣れなんかな。

 

蘇刈

OW講習の姉妹は、古仁屋港の水の綺麗さにびっくりしとった。

船の下にハナミノカサゴとかヘラヤガラが居るのにもびっくりしとった。

 ポイントは蘇刈。フィンはマレス。

 ジャイアントストライドエントリーを初めてやってみた。一応成功。でも、

ちょっとこわい。

 ここで一番おもろいんはやっぱりチンアナゴやな。ブイを固定してるロープ

のあたりにおんねんけど、3匹ぐらい穴から2・30cmぐらい体出して、ゆ

らゆら揺れてる。「ムーミン」のニョロニョロみたい。

 あと、ダテハゼと海老の共生とか、ハダカハオコゼの擬態とか。ハダカハオ

コゼはまだ自分ではよー見つけん。

 昼は渡連ゆう浜で、OW講習の人達と一緒に。

 到着したときは、まだ講習の最中。シュノーケリングで見とったけど、おれ

みたいに、お尻から沈んだりせんと、みんな結構いけてる。

 弁当やけど、OWの人らは、初めての潜水で、へろへろなっとる。そおなん

よねぇ。おれもそぉやった。

 弁当食ってから、シュノーケリング。これまでシュノーケリングて苦手やっ

たけど、左手でシュノーケルの角度を確認しながら泳いだら、そこそこいけた。

波のあるときもちゃんとシュノーケリングできたらええんやけど。

 

嘉鉄

 OW講習と一緒やから、ちょっと復習しよ。イントラが、機材の水面・水中

脱着のことゆうとった。おれもやってみよ。

 機材を海に投げ込んでからエントリーして、水面装着。簡単にできた。OW

講習の時はもたもたしてなかなか装着でけへんかったけど、慣れたんやろな。

 潜降は30秒ぐらいでできた。水深8mぐらいまでやけど、これは過去最短

やわ。

 嘉鉄は餌付けしてるらしいて、いつも魚影が濃い。ノコギリダイの大群や、

オオスジヒメジの群。いつものオニダルマオコゼが2匹。鯛みたいなんは、ウ

ロコマツカサ。

 ロープには、ヘラヤガラの幼魚がへばりついとった。

 イントラが示してるとこ見たら、ゴミみたいなんが漂ってる。近づいてもゴ

ミにしかみえへん。イントラが手ぇ近づけたら泳いで逃げる。魚やったんか。

テンスの幼魚らしい。

 講習生はずっと講習。ヘロヘロやった娘に手ぇ振ったら、手ぇ振り返して来

たから、ちょっとはよそを見る余裕あるみたい。

 ロープにつかまって浮上していくとき、女の子に

シマウミヘビを指さして教えたった。後で、居るんは知っとったけど目

ぇそらしとったのに、てゆわれた(笑)

 

最終日

最終日。シュノーケリングでも、て誘われたけど、道具が濡れたままパッキン

グするんが厭やったから、おとなしく一人でMGをパコパコ。

 昼から、非常勤スタッフに車で空港まで送ってもらった。

 地元出身で、大学で東京に出て、伊豆でダイビングするようになったらしい。

でも、奄美の海を知ってるもんで、他の人が、伊豆の海の魚なんか見て感動し

てるのに、

「こんなのは海じゃない」

てごっつ不満やったらしい。そらそうやわな。透明度からして全然違うんやろし。

 奄美ゆうのは元々は琉球王国の一部やったみたいで、言葉も文化も琉球との

共通点が多いらしい。でも、薩摩に侵略されて、琉球王国から切り離されて薩

摩の一部になったらしい。

 「奄美の歴史は侵略の歴史です」

てゆうてはったわ。

 昼飯は「ばしゃ山村」ゆうとこで。

 ばしゃ山村のレストランは、海を眺めながらご飯食べれるすごい雰囲気のえ

えとこ。おれらはクーラーの利いた室内で食ったけど、外のベンチでも食える。

 残金が少なかったけど、こぉゆうとこに来たらうまいもん食いたなる。

 土産をケチることにして、「ばしゃ山定食」と山羊汁を食った。

 ばしゃ山定食は、地元の名物メニューを手軽に食べられる。

 豚味噌は、豚肉みそ漬け。甘い味噌につけてあって、豚肉の生のようなハム

のような食感が不思議。当然、添加物だらけのハムよりもはるかにうまい。

 豚骨は、豚のあばら骨とそのまわりの肉の煮込み。甘ぁて柔らかぁてうまい!

 スジアラの刺身はもひとつ。非常勤スタッフが、

 「この魚を刺身で食べるんはもったいない」

てゆうとったけど、確かにそうやわ。普通やったら、鮮度のええ高級魚はまず

刺身で味わって、いきなり煮付けにしたりするんはもったいないやり方なんや

けど、スジアラの場合は反対に、刺身にしたりしたらうまさを充分引き出され

へんからもったいないんやわ。

 山羊汁は、クセがあるから、て注文する前に心配されたんやけど、鮒寿司で

もクサヤでも食えるおれに、山羊ぐらい食えんわけあれへん。

 で、山羊汁やけど、要するに山羊肉の味噌汁。山羊肉て、まぁ確かにクセは

あるけど、牛肉よりはクセないんちゃうかな。味噌汁やから食べやすかったん

かもしれんけど、よぉ煮込んであったし、臭みも個性的なうまさと感じた。脂

肪が少ないから、赤身の部分のうまさやわな。

 

 空港では、奄美の果汁入りアイスも食ったし、大満足。


(Biglobe(pc-van)大阪BD 1999年9月12-22日掲載)




1999年11月 奄美
ツレが居るんと安いんとで、ついつい奄美に行ってまう。今回は、サイナスのトラブルで苦しみました。

黒崎西
 つんつん棒(工事に使う金具で、柄のないドライバーみたいなやつ。頭は丸く輪になってる。)をロープで結んでBCの輪っかにはめたんやけど、つんつん棒の輪の切れ目からすぐに外れてまう。makoが、ロッククライミングに使う輪っか(穴を開閉できるやつ)を貸してくれた。これも合わせて買わなあかんかったんやわ。
 風速は3mぐらい。表面の潮流はほとんどない感じ。沖合いは東から西に速い流れ。沖の深場からまっすぐに浮上したりしたらあの流れに流されてまうな。
 沖の方角にコンパスのインデックスマークをセット。
 機材背負ってから空気のバルブ開けてへんのん気づいた。エントリーしたらフィンはいてへんのん気づいた。あかんなぁ。
 再度エントリー。着水してすぐに身体をひねってブイに向かって泳ぐ。
 小刻みに耳抜きして、着底までは3分。まぁこんなもん。
 流れがある。流れに逆らって泳ぎながら深場に向かう。耳抜きはまずまず。そやけど、副鼻腔の圧平衡がなかなか取れへん。額が痛い。耳は抜けても副鼻腔があかんゆうこともあるんか。makoにそのこと伝えて、水深7・8mの浅場でうろうろ。
 小さい珊瑚の下に太いウツボが器用に身体を折り畳んで隠れとる。50cmぐらいのフグもおった。
 makoから、潜降ロープの下に戻ろう、てゆわれた。方角をみたら、岸と平行。あ、そうか、最初、流れに逆らって進んだから、戻るときは流れに沿って進んだらええだけか。
 残圧は、エントリー時190。エグジット時40。最大水深17m。潜水時間51分。ほとんど浅瀬に居ったのに空気消費量が多いわ。
 エグジットしてマスク取ったら、マスクに鮮血がついとる。鼻かんだら、真っ赤な鼻血が出る。血と粘液の混じった鼻血やったらいっつもやけど、こんな本格的な鼻血は初めてや。血管が切れたみたいで、吐いても吐いても喉に血がたまる。
 鼻がちょっと詰まっとったんがあかんかったんかなぁ。
 午後のダイビングはとりやめた。
 同宿の400本ダイバーによると耳は抜けても副鼻腔があかんことはあるんやて。で、我慢して潜ってると抜けることもあるんやけど、今度は浮上するときにリバースブロック(耳や副鼻腔内の高圧空気が排出されない状態)になるんやて。
 今日のおれも、我慢したら潜れんこともなかったけど、無理しとったら、リバースブロックになっとったかもしれんのやな。浅瀬にしといてよかったわ。
 エグジットしてから7時間ぐらい経っても、まだ副鼻腔に違和感がある。


安脚場
2日目の午前。
 元々は、いろいろ課題をやってみるつもりやったけど、副鼻腔のトラブルがあったし、まだ副鼻腔に違和感あるもんで、浅いポイントをリクエスト。
 エントリー前に方位を確認。昨日と違って、中途半端な方位やから、なんかややこしい。風は5・6mあるけど、流れはあんまりなさそう。
 エントリーしたけど、左耳が抜けへん。なかなか抜けへん。潜降するまでに7分ぐらいかかった。空気も30消費。オープンウォーター講習のレベルに逆戻りしてしもた感じ。
 しかも、ちょっと深ぁに潜ったら副鼻腔が痛なってくる。cicoは海底付近を泳いでるけど、おれは中層を泳いで−10mをキープしてみることにした。そやけど、知らんうちに沈んでいってる。で、そないなったらその場で浮上して−10mに戻して、また30秒ぐらいして深度みたら沈み過ぎで浮上して、の繰り返しや。中層で同じ深度をキープするんてものすご難しい。で、アップダウンを繰り返してるうちに、makoに注意された。垂直浮上ゆうのは危険なんやな。同じ水深をキープするんやったら、斜め下に泳ぐべきなんやわ。
 エグジットの時、ロープを使わんと安全停止をやってみた。ほな、知らんうちに−2m台に浮上してしもとる。BCの空気は完全に抜いてあったのに。呼吸のコントロールが甘かったんやわ。おれのダイコンは−5mより浅ならんと安全停止のカウントダウンが始まりよらへんからなぁ。cicoによれば、ダイコンに頼らんと、時計で安全停止を見た方がええらしいわ。


テノヒシ
岸が北で、沖が南、ゆう分かりやすいポイント。風はたいしたことないし、流れもごく弱い。
 エントリーしてすぐに潜降ロープの方を向かなあかんのやけど、水中で方向を見失った。船底に接触やん。うーむ。身体の向きを変えるタイミングが遅いみたい。
 潜降ロープを持って海底へ。鼻から息を吐きながら耳抜きしたら、何の苦労もなく潜れる。1分かからんと着底。過去最短やん。息を吐きながら耳抜き、ゆうのは知識としては知っとったけど、これまでやってみたんは口から息を吐きながらの耳抜きやった。で、それでなんぼやってもうまいこといけへんもんで、息止めて、鼻つまんで顎動かしたり無理矢理息を耳に入れたりしとった。ダイビングゆうのは、息は口から吐かなあかんのやけど、耳抜きのときは鼻から吐いた方がええんかな。おれ、空気中では、あれこれやらんでも耳管を好きなように開閉できるんやけど、鼻から息吐きながらの耳抜きはそのやり方に近いわ。これまで、マスククリアの時以外は鼻から息を吐くゆうことせーへんかったんやけど、普通のときでも鼻から息を吐いても問題なさそう。
 額がかいかったんで、マスクを取ってかいた。
 今回のガイドはmako。ガイドも個性が出るわ。cicoのガイドは、道案内はするけど、何を見るかは本人に任せる、ゆう感じ。makoのガイドは、珍しいもんみつけたら、客を呼んで、プレートに書いて説明する懇切丁寧なガイド。
 不思議やったんは、ベラがチョウチョウウオの類(?)を追いかけ回しとったこと。クリーニングやったらもっと大きな魚にするはずやし、される方もじっとしてる。縄張りを主張するんやったら、ベラ同士でやるはず。あのベラは何やっとったんやろ?
 途中で、右足を使わんと、左足だけでフィンキックをやってみた。
 潜降ロープの下まで戻ってきてから、今度は右足のフィンを脱いで泳いでみた。めちゃめちゃ泳ぎにくい。バランスが取りにくい。フィンはいてへん方の脚で相当キックせなバランス取られへんやん。両方フィンはいとって、片方固定とは違うわ。


嘉鉄

3日目午前中。
バルブを開け忘れたままエントリーして、パニックお越しそうになった人が居る、ゆうことやったんで、おれもやってみることにした。客はおれ一人やったし。
 前の日ぃに、スチールタンクやと機材を背負ったままやったらバルブを自力では開けられへんのは確認したんで、水面で機材を脱いで作業をせなあかん。
 安全のため、BCにオーラルで空気を入れといて、タンクのバルブを締めたままエントリー。水面移動の途中で突然空気が来んよおになった。水面で機材を脱いで、バルブ開けて、機材装着。まぁまぁかな。
 けど、おれは耳抜きが苦手なもんで潜降ロープまでの水面移動やったからええけど、耳抜きに問題のない人やったら、5mぐらいは潜ってるかもしれん時間やわ。それがいきなり残圧ゼロになるんやからなぁ。うーむ。事前のチェックが大事なんやわ。
 ブイまでたどりついたら、makoがウェイトを持って上がってきた。んん?自分の腰見てみたら、ウェイトがあれへん。機材の脱着やってるときに落ちてしもたみたい。そやけど、水深10mぐらいからいったん水面まで上がって、また潜るなんて、makoに危険な潜水やらしてしもた。おれがボートに戻ってウェイトを付け直したらよかった。
 潜降を始めたけど、またも左耳が抜けへん。潜降に7・8分。あかんなぁ。
 嘉鉄の根から離れた根のとこに、チンアナゴのコロニー。50匹ぐらい居ったやろか。嘉鉄は何回も潜ってるけど、これまでは気づかんかったんやろか。余裕がなかって見てても記憶に残らんかったんやろか。
 あと、ハナヒゲウツボとか、ケヤリムシとか。ケヤリムシは、一見海草みたいなんやけど、近づいたら一瞬で砂地に消えてしまうんやな。
 cicoにミューフィンを借りて、試してみた。9月の時も借りたけど、流れの速いときやったもんで、泳ぐのに必死でよぉ分からんかった。
 ミューフィンは粘りがあるわ。よぉしなるけど、ヤワやない。蹴り始めから蹴り終わるまでずっと水を捉えてくれる。脚を戻すときも推進力を得られる。無駄がないわ。身体をくねらせてドルフィンスイムをやっても気持ええ。
 前日、ダイコンに頼って安全停止で失敗したもんで、ダイコンは深度計だけ見て、安全停止の時間は時計で見ることにする。前日から、ロープなしで安全停止する練習してるんやけど、ダイコンにとらわれとったら、−5mより深ぁにならんよぉに、ゆう意識が働いて、−4mプラスマイナス1mになってまう。これは危険。で、時計を見ることにしたら、−5mプラスマイナス1mぐらいでいける。cicoなんか、深度計なしで深度を計れるもんなぁ。

 昼休憩のときに、makoのプロミューを借りてみた。プロミューはやや硬い。
 シュノーケリングなもんでよぉ分からんけど、プロミューよりもミューの方が楽かな。そやけど、絶対的な推進力はプロミューかもしれんし。
 シュノーケルから水が入ってくる。シュノーケルクリアしても水が入ってくる。
 cicoに見てもろたら、弁がよれてしもとったらしい。弁のとこには蓋が付いてるもんらしいけど、そんなんあったかな。
 シュノーケルの弁て、管の中にあるんかと思とったら、むき出しなんやなぁ。
 まぁ理屈が分かったからこれからは大丈夫やけど、これまで、シュノーケルの弁のことも知らんと潜っとったんか思たらこわいわ。
 まぁとにかく、潜る前に、あらゆる機材をチェックせなあかんのやわ。


蘇刈

3日目の2本目。耳抜きはまぁまぁで3分ぐらいで着底。
 ハナミノカサゴが4匹ぐらい群れとった。あとは、ウミキノコ(?)、チンアナゴなんか。
 蘇刈でもミューフィンを借りた。ホンマ気持よぉ潜れるわ。ミューフィン買うことにしよ。
 ロープなし浮上はOK。
 浮上した後、フロート(漂流したときに自分の位置を示すための長い風船)を立てる練習やった。とりあえずBCに空気を入れて浮力を確保。
 BCのポケットからフロート取り出したら、フロート・空気を送るバルブ・鏡をまとめてくくりつけとった紐の片端がほどけとる。まずい。バルブや鏡が落ちたかも。
 慎重にポケットから取り出してみたら、ほどけとったんは、ポケット内のフックに結んどった側のロープで、セフティグッズ自体は無事やった。ほどけたロープを結び直したけど、このフロートに付属しとったロープはほどけやすぅてあかんわ。水圧がかかったら、ほどけやすい、ゆうこともあるんかな。
 インフレーターホースをBCから外して、フロート給気用バルブに繋ぐ。バルブをフロートの栓に繋ぐ。
 れれれ?空気が入らへん。どないしたらええんや。
 風も潮もほとんどあれへんのに、水面であれこれやってるうちに、ボートから離れてる。潮流の速いときにこんなんやっとったらホンマに漂流してまうで。
 ボートの側に戻って、またあれこれやってみる。フロート買うたショップでは使い方教えてくれへんかったぞ。
 バルブのゴムの部分を折り曲げたら空気が入り始めた。なるほど。


テノヒシ
今回のラストダイブはテノヒシ。3日目の3本目。いっつもやったら、一日2本しか潜らんことにしてるんやけど、午後到着の人から誘われたもんで。メンバーは、スタッフの他に、客がプロ釣り師さんと女の子とおれの3人。
 岸の方角と機材のセッティングを確認。
 プロ釣り師はインフレーターホースを挿さんとエントリー。cicoに、あの人、セットし忘れてるんちゃうん、て聞いたら、差込口(?)が壊れとるから、BCは使わんと潜ってはるんやて。
 潜降は1分。やっぱり、耳が慣れてきたら早ぉに耳抜きできる。けど、一緒に潜った女の子は、おれよりもすいすい潜降していったのに、耳抜きが不調やった、やて。1分で潜降できて喜んでるおれはなんやねん(笑)。
 プロ釣り師は最初っからガイドについていこゆう意志があれへんみたいやわ。元々、この人と一緒に潜りたぁて3本目潜ることにしたんやから、この人と一緒に居ってみよ。
 プロ釣り師は、BCに空気が入ってへんから、中性浮力が取れんと時々着底して海底を蹴ってはる。でも、初心者みたいに砂煙を巻き上げたりしてはらへん。フィンの先っちょで着底して、軽く海底を蹴るだけ。
 海底の石をあちこちひっくり返してはる。なるほど、受動的に見るだけやなしに、こぉやって積極的に見る方法もあるか。
 女の子はガイドにひっついてどんどん泳いでく。ガイドもちょっとペース早いんちゃうかぁ。こっちはプラスティックフィンやし、ついていかれへんやんけ。あの女の子、泳力もすごいわ。
 潜降ロープの近くの根のあたりに居ったら、帰ってきたときに合流できるやろ。あれ?プロ釣り師を見失った。ちょっと浮いてみたら、根の向こう側から気泡が立ち上ってる。
 行ってみたら、プロ釣り師は海底で仰向けになってはる。寝てんのかな。後で聞いたら、仰向けになったときの平衡感覚を試しとったんやて。このプロ釣り師さんは昔はダイビングのガイドもやっとったんやけど、そぉゆう人でも、漫然と潜ったりせんと、ちゃんと課題を持って潜ってはるんやわ。
 安全停止の時、シマウミヘビが下を通過していった。
 女の子は、ロープを持たんと、安定して安全停止してる。60本ゆうことやけど、うまいもんやなぁ。


耳鼻科
 ダイビングから帰っても、時々痰に血が混じるもんで、ダイビングのこと知ってる耳鼻科の先生のとこに行って診てもらった。
 鼻と喉の二カ所に傷があるらしいわ。鼻の傷は耳抜きをしたときにできたもんで、喉の傷は痰を切るときにできたもんやろ、ゆうことやった。
 喉に膿が流れてるらしい。副鼻腔炎(蓄膿症)があるんやて。
「別に鼻は詰まってへんし、昔、副鼻腔炎の検査してもーたときもシロやったんですけど」
てゆった。ほんなら、誰でも大なり小なり副鼻腔炎はあって、この程度やったら普通は副鼻腔炎とは診断されへんのやて。副鼻腔炎はあるんが普通ちゅうのは初めて聞いたわ。
 ダイビングやった後、毎回黄色い鼻汁が出るんは、副鼻腔にたまってた膿が出てきてるらしいわ。耳抜きが苦手なんも、副鼻腔炎があるもんで、耳管付近の粘膜も炎症を起こしてるからやて。前回、副鼻腔の圧平衡がとれんかったんも、粘膜の炎症が原因やろ、ゆうことやった。
 大阪に帰ってきてから、痰に血が混じるんも、ダイビングで副鼻腔炎がちょっとひどなって、膿がしょっちゅう喉に流れ込むようになって、痰をよぉ切るよぉになったからやろ、ゆうことやった。
 うーん。全てが分かった感じやわ。医者に行って、こんなに頭の中がすっきりしたんは久しぶりやわ。漢方のことは無知やったけど、副鼻腔炎の薬を処方するわけでもないし、なかなかええ医者やわ。


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