1999年5月 串本

 ショップのスタッフがクルマの運転手兼ダイビングのサポートスタッフ。宿でも、場を盛り上げようとしてるんか知らんけど、一

人でずーーーっと喋りまくってた。おかげで、参加者同士でほとんど話でけへ

んかったわ。悪い人やないし、宿でも楽しぃに過ごしてもらお、ゆうて気ぃ使

ってるんやろえど、もぉちょっとほっといてほしいわ。12時になったら「お

ひらき」ゆうてみんなを寝かしたんは見直したけど。

今回は奄美以外では初めてのダイビング。

 初級者向けのツァーなもんで、一番潜ってる人で50本ぐらい。おれのバデ

ィと女の子二人連れが15本ぐらい。もひとり年配の人が居てはったけど、喋

る機会があれへんかったから何本か分らん。

 で、ダイブサービスのボートがピストン運行して、よーけのグループを一緒

にポイントに運ぶ。20人ぐらい乗ってたかな。

 おれらのグループのガイドも現地のスタッフ。ガイドもショップのスタッフ

も、初対面の初心者ダイバーのグループを率いるんやから、ごっつ神経使うん

やろな。

 今回のおれのテーマは

1 潜降速度を上げること

2 浮上の時に排気を忘れんこと

3 音を聞くこと

4 頭を下にして、BCの下の排気弁からスムーズに排気できるようになるこ

の4つや。


ダイブ#9(串本 サンビラ)

 1本目は、3分で底まで潜れた。過去最高。潜ったとこに40cmぐらいの

アカハタが居った。

 透明度は悪い。透明度の定義からしたら15mぐらい。感覚的にはその半分

ぐらい。

 水温は、20度。奄美の4月の水温やん。ショップのスタッフはシーガルで

潜ってるから、寒かった、てゆうとった。

 15本ぐらい潜ってる人でも、ウェイトを山ほどつけてるのに全然沈んで来

ん人も居る。50本ぐらい潜ってる人でも、完全に着底してしもて砂煙巻き上

げまくってる人も居る。泳ぐのに、流線型姿勢の取れてない人が半分以上。中

性浮力の取れてへん人もそれぐらい。GWの時に奄美で一緒に潜ったグループ

はみんな、「さすがや」、て思うダイバーばっかりやった

けど、50本以下ぐらいのグループやったらこんなもんなんかな。奄美で出会

ったグループの平均レベルが高すぎるんかな?

 深場からの帰りは坂道の上り。流れはあれへんけど、清水での失敗を生かし

て、早めに排気しながら傾斜に沿って浮上。ダイコンが警告音。小さい音やけ

ど、ちゃんと鳴ってるんやわ。やっぱりこれまでは音を聞く余裕があれへんか

ったんやな。傾斜に沿ってゆっくり浮上しるつもりでも、浮上速度オーバーゆ

うこともあるんか。そやけど、おれで浮上速度オーバーやったら、ガイド以下

全員浮上速度オーバーちゃうん?それか、一瞬でも浮上速度オーバーが出たら

警告音鳴らすようにできてるんかな。

 ガイドの指示は水深6mぐらいで2分ぐらいの減圧停止。ロープに一杯人が

つかまってて、それより上には行かれへん。おれのダイコンは、5mより浅い

とこまでいかんと減圧停止とは認めよらへん。上が浮上してから、4.5mぐ

らいのとこでもっぺん減圧停止してたら、ガイドが早よ浮上するよう催促して

きよった。で、浮上したら、ショップのスタッフがおれを階段まで曳航しよる。

なんやなんや。おれ何のトラブルも起してへんぞ。もしかしたら、他のグルー

プの浮上が始まったから、最後の一人を早よボートに上げよとしたんかな。

 最大水深19m。潜水時間40分。タンクはスタートが190でエグジット

で100。半分も使ってへん。まぁ流れがほとんどあれへんかったからな。

 

2本目のボート待ちは、桟橋で2時間!

暑い!!!直射日光が当ってめちゃめちゃ暑い。しんどい。たまらん。

 宿は朝チェックアウトしてしもてるから、昼寝しに帰ることもでけへん。他のショップはどっかに一旦引き上げてるのに、おれらのグループだけ

桟橋で日に焼かれてる。暑いーー!!!

 

ダイブ#10(串本 住崎)

ロープにつかまらんと潜降しよと思たけど、1mぐらいで止まってしもて潜っ

てくれへん。しゃーないからロープに捕まって潜降。まだまだやな。

 これまでは、ちょっと潜っては耳が痛なってきたら耳抜きしてた。でも、よ

ぉ考えたら、それが潜降に時間が掛かる理由やったんや。耳が痛なかっても、

ずっと耳抜きをやり続けながら潜ったらええねん。やってみたら、1分で底ま

で行けた。成功!うまい人はみんなこのやり方やってるんやろな。

 ロープ下に一旦集合してから移動。

 1本目よりは透明度はややええ。正式ので20mぐらい。感覚的には10m

ぐらい。

 このポイントは、10mぐらい垂直に切り立った岩のまわり。

 おれらが底の方に居ったら、ショップのスタッフがタンクをカンカン鳴らし

て上を指す。見上げたら、50cm以上あるアオリイカが2ハイ。でかい。つ

がいが産卵しに来てるんやないか、ゆうことやった。

 グループのにーちゃんが、石をあちこちひっくり返してる。で、何かゴミを

拾って来よった。どぉ見てもゴミ。けど、ひくひくと動き出したら、モズクシ

ョイ、ゆうカニ(ヤドカリ?)やった。すごい擬態や。

 あと、ヨウジウオも居った。

 バディと残圧の確認。おれが120でバディが100。身体の小さい人やの

に消費量が多いな。後で聞いたら、寒かったから落ち着けんかったらしい。

 いつのまにかバディを見失った。ガイドにそのことゆうたら、

 「寒いから先に上がられました」

ゆうことやった。おれも浮上しよとしたら、ガイドが、もう少し潜ってていい

です、てゆうたから潜ってた。でもバディシステムの原則やと、こぉゆう場合

は、バディ同士、一緒に浮上するんやんな。ガイドにゆうてたらそれでええん

かな?

 透明度も悪いし、昼にあんまり休憩でけへんかったもんで、しんどなってき

た。空気の消費も一本目より早い。

 BCの下の弁から排気する練習を繰り返す。奄美であわてて下部の弁をさぐ

っても分らんかったけど、下部の弁は後ろやなしに横についてるんやわ。

 音はその気になったら、他人のダイコンの音がピーピーよぉ聞こえる。

 ガイドから浮上を指示される。田原さんの本に書いてあることを思い出して、

10mぐらいで一旦空気を全部排出。これで中性浮力で浮上していけたらカッ

コええねんけど、まだそんな技術はあれへんから、ロープにつかまってダイコ

ン見ながら浮上。深度が浅なるにつれ、さらにBCから排気。当然やけど、浅

なればなるほど空気抜いたはずのBCから空気が出てくる。

 階段につかまったら、おれが自分でフィンを脱ごとしてるのに、スタッフが

フィンを脱がしてしまう。「自分でやらしてくれ」て思うけど、向こうは親切

でやってくれてるんやから、お礼をゆう。

 タンクは、スタートが190でエグジットで90。最初からちょっと疲れと

ったから空気の消費が早いわ。



 cicoのゆうとった殿様ダイビングゆうのがちょっと分った。

おれは一番本数が少ないけど、マイギアはおれ一人だけで、残りの人は重器材

は全員レンタル。で、マイギアのおれはほっといてくれたけど、レンタルの人

はセッティングにスタッフが手取り足取り。

 桟橋に帰ってきて、セットを外したら、スタッフが店の車にレンタル器材積

み込み。

 ダイビングサービスで器材を洗て干すんは各自やけど、干した器材を片付け

るんはスタッフ。洗うんも、

 「ざっと水で流すだけでよろしいわ」

ゆうやり方。BCに真水を入れて中に入った海水を洗い落とすなんてこと、レ

ンタル組はやってへん。客に洗わすんを最小限にさすんがショップのサービス

なんかしらんけど、たとえレンタルでも自分の使った器材はちゃんと洗って返

すんが当然なんちゃうん?

 そやけど、海外のリゾートで何回も潜ってる人は、国内はサービスが悪い、

て思たらしいて、

 「海外だと、器材のセットも外すんも全部スタッフがしてくれて、ボク達は

それを背負えばいいだけですよ」

てゆうてた。器材のトラブルがあったら死ぬんは自分やでぇ。自分でセットも

してへん器材をとっさのときに操作なんかでけへんのと違うん?て思たけど、

自分より本数多い人には初心者の立場からは何もゆわん。

 

(Biglobe(pc-van)大阪BD 1999年5月31日掲載)



1999年9月 田辺

 ちょっとブランクがあいたもんで、奄美に行く前に復習ダイビング。

おんなじ和歌山でも串本やったら泊まりでなかったら行けんのに、田辺やった

ら余裕で日帰り。朝8時に大阪出発で、11時ごろ到着。車の中で耳抜きやっ

てみたけど、なかなか抜けへんもんで、今日はあかんやろなぁ、ちゅう予感。

睡眠不足やったからかな。

 ダイビングサービスは港のすぐそば(歩いて1分)。コンテナを並べて更衣

室やシャワールームにしてる。

 メンバーは、ショップのイントラと客がおれと女の子二人。女の子の一人は

ファンダイブが1本目で、もひとりは5本目。おれより本数少ない人と潜るな

んて初めてや。

 3mmのウェットをレンタルで。ウェイトは、1kgにしてみた。

 セッティングのやり方忘れてて、イントラに聞きながらやん。恥ずかしい。

インフレーターボタンとデフレーターボタンもどっちがどっちか忘れとった。

グローブも忘れてる。おかしいなぁ。入れたはずなんやけどなぁ。

 イントラが、図鑑のカラーコピーを2枚、ラミネート加工したもんを渡して

くれた。このへんでよぉ見れる魚らしい。これはなかなかええサービスやわ。

 漁業に使うみたいな船で沖へ。

 

 ダイブ#11(田辺 中島)

 ポイントは中島ゆうとこ。港の沖に、観測塔が立っとって、そこの下。

 潜る前に、イントラから、

  「バルブは開けましたか?」

て聞かれた。しもた。開けるん忘れとった。ホンマすっかり忘れてるわ。

 イントラが、誰かが残圧60になったら浮上します、て説明。

 波はほとんどあれへん。

おれが一番経験者なもんで、客の中ではおれが真っ先にエントリー。ダイビン

グ用のブイが打ってあるんやなしに、船のアンカーロープを伝って降りる。

 ウェイトは1kgやけど、問題なく沈降していく。

 やっぱり耳が抜けにくい。鼻つまんでも、なかなか抜けへん。耳痛いけど、

我慢しながら沈降。抜けるのは抜けるけど、耳の痛いのがなくなるまでは圧平

衡がでけへん。

 あれ?ダイビングコンピュータが動いてへんやん。バッテリ切れか。マレスの

チューターは簡単に電池交換できるんはええけど、バッテリの持ちは悪いからなぁ。

 透明度は15mぐらい。正式な透明度定義やと25mぐらいはあるかな。こ

のポイントは岩場。浅いとこで5mぐらいで、そこから水深30mぐらいまで

切り立った崖になってる。

 耳が痛いもんで余裕があれへん。それに、グローブがあれへんもんで、絶対

に手ぇつかんよぉに気ぃつけなあかん。

 ガイドは、どんどんはるか先に行ってしまう。そやからおれら3人は、ショップ

のイントラに付いて行く。普通は、ガイドが先頭でサポートスタッフが末尾で、

その間に客が入るんちゃうん?しかも、女の子2人はまだ中性浮力が取れへん

もんで、体を立てたまま一生懸命フィンキックで体を浮かしてる。

 ファンダイブ1本目の娘が崖を落ち始めた。お尻を下にして。息はしてるか

ら意識はある。元々かなり沈み気味やったけど、どぉしてええか分からんみた

いで、なすがまま。体勢立て直したり、フィンキックで浮上したり、インフレ

ーターボタン押す様子もあれへん。

 耳が痛いけど、助けに行くか。ナイフ持ってたらタンク叩いてイントラに知

らせられるのに。女の子はさらにゆっくりと崖を転落していく。

 イントラが気付いて引き上げてくれた。ふぅ。そやけど、瞬間的に女の子を

助けにいける技術も、危険を知らせる装備もあれへん自分が情けない。

 この後は、おれは完全にサポート気分で、最後尾で女の子二人を見てた。フ

ァンダイブ一本目の娘は、魚の図鑑を一生懸命見てて、ゲージも見てへんもん

で、おれが残圧計をちらちら眺めてた。

 魚は、ツバメウオが一匹おった。おれは奄美で見慣れてるけど、田辺ではも

のすご珍しいらしい。

 あとは、クマノミ・ミノカサゴ・ハタ・鯵の大群。鯵の群はすごかったなー。

 おれが、ファンダイブ一本目の娘が残圧70切った、ゆうてイントラに知ら

して、アンカーロープのとこに戻って浮上開始。減圧停止3分間。

 タンクは、190で開始で浮上時95。潜行時間は32分。最大水深21m。

 びっくりしたんは、もひとりの女の子で、200から始めて残圧110!中

性浮力も取れてへんし、息も普通にやっとったのに。


ファンダイブ一本女の子は、崖を転落していくとき、あんまりピンチゆう感覚

があれへんかったらしい。

 「あれぇ?沈んでいく??」

ゆう感じやったらしい。パニックになるよりええけど、危機感があれへんちゅ

うのも怖いなぁ。

 も一人の女の子は、空気が持つゆうので有名らしいて、イントラも、

 「○○さんの空気がなくなるまで潜らすんは大変や」

てゆうとった。体の小さい娘やから普通よりは持つんやろけど、それにしても

中性浮力も取れてへんのに驚異的や。これで技術がアップしたら、イントラ並

の空気消費量になるんちゃうやろか。

 女の子二人とも、耳抜きではあんまり苦労してへんらしい。やっぱりおれは

抜けにくい体質なんかなぁ。

 空気の持つ女の子は、弁当食った後、体焼きに行ってた。せっかく色白やのに。



 ダイブ#12(田辺 南部出し)

 一本目のときは、エントリーの時にBCに空気入れるん忘れとったもんで、

今度はちゃんとエア入れた。

 1本目で耳の穴もちょっと通ったみたいで、耳抜きにそんなに苦しまんと潜

れた。女の子達とだいたいおんなじぐらいに着底。

 完全には耳抜けてへんけど、泳ぎながら鼻つまんでたら、だんだん抜けてき

た。

 透明度は20mぐらい。正式なやつやと30mぐらいはいってるやろ。

 イントラがおれに、ガイドについてくように指示して、イントラは女の子二

人と泳いでる。そやわな。おれみたいな初心者にサポートができるわけないし、

イントラとしてはむしろ女の子二人だけ見てる方が安心やわ。

 しかし、現地のガイドは速い。後ろを振り向きもせんと、どんどん泳いでい

く。魚探してるみたいで、あちこちに行っては戻ってきたり。魚探すより、後

ろ見てくれ。クレバスの底のさらに上に岩がかぶってるとこに潜っていってな

んかやってるもんで、見てたら、船のアンカーを引きずり出してきた。後で聞

いたら、まえ潜ったとき、アンカーロープが切れて沈んだままになってたアン

カーらしい。だいぶ昔から潜ってはる人みたいやから、あんまりファンダイブ

のガイドの感覚があれへんのかな。

 幅が1mぐらいしかあれへんクレバスの中を進んだり、アーチくぐったり。

地形はおもろいわ。魚影も濃い。けど、おれがファンダイブ一本目で、まだ中

性浮力もよぉ取らんときに、こんな狭ぁて深いとこを潜ったとしたら、怖ぁて

よぉついていかんかったやろな。

 砂地でガイドが着底して静止してる。オニダルマオコゼが居る。ちょうどお

れの方に顔を向けとったから分かったけど、上から見たら分からんやろな。

 ネジリンボウも居った。女の子呼んで戻ってきたらもぉ穴に隠れてしもた。

 そぉゆったら、おれは中性浮力で底から50cmぐらいのとこに浮いたまま

やった。ネジリンボウも、底にへばりついてな見れんわけやないんやな。

 ネジリンボウの近くにはダテハゼも居った。

 ハコフグは何匹も見た。体長80cmぐらいあるヘラヤガラも何匹も居った。

 あと、鯛みたいな魚が何種類も。

 エア持つ女の子が急浮上始めたけど、イントラが素早くフィンを持った。女

の子もデフレーターボタン押して沈んできた。この娘は初心者やのに落ち着い

てるなぁ。

 水深5mで残圧停止3分間。

 タンクは、200で始めて残り95。潜行時間40分。最大水深17m。

 エア持つ女の子は、210で始めて残圧110。すごい。

 

 ここのショップの指導法は、自立したダイバーにしよ、ゆうことみたいやわ。

 機材のセッティングも、分からんとこあったら教えたり注意はしてくれるけ

ど、基本的に客にやらせる。機材を洗うのも客にやらせる。エグジットの時に

フィンを脱がしてやったりもせーへん(波が高いときはやるらしいけど)。

 ツァー主催者のショップは、OW講習のときにマイギアを買わせるらしい

(しかも定価販売)。定価販売ちゅうのはどぉかと思うけど、マイギアを自分

で扱わせる、ゆう方針は理解できるわ。そこのショップは、レンタルギアでも、

自分が使うぶんは自分で水洗いまで全部させるらしい。

 ログつけも、イントラがデータをゆったりせーへん。女の子達は自分のダイ

コン見て、データを写してる。これが本来やわな。おれはダイコンバッテリ切

れやったから教えてもろたけど。イントラに聞いたら、データは個人によって

違うから、ダイコンの使い方は教えるけど、ダイコン持ってる人にまであれこ

れデータを教えることはせーへんのやて。

 なかなかポリシーのあるショップやわ。

 

(Biglobe(pc-van)大阪BD 1999年9月4日掲載)


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