システムを考えるに至った経緯など、裏話的なもの。
大抵のRPGにおいて、ごく序盤を除けば宿屋のコストは無視できる存在。
だったらいっそのこと完全無料化して、ついでに自動化してしまえば楽だろうという発想。
また、どうせ自動で全回復するなら、面倒くさい消費パラメータをくっつけてもいいかな、ということで、
APと武器耐久度という概念を作って、冒険中のリソース管理に幅を持たせてみた。
また、強制的に回復することで、キャラ毎のAP値や武器毎の耐久度と言った、
メンバーチェンジや倉庫システムの上で厄介になりそうな数値を一気にリセットする意味もある。
ちなみに、無料になっているのはあくまでゲーム上の見せ方で、設定上は然るべきコストを払ってるものとする。
ほとんどのRPGで(実際は間違いなく存在するはずの)食料調達や武器整備の費用が無視されているのと同様。
不眠不休で何日も冒険を続けるRPGのキャラ達が不憫に思えたので、システム的に休むことを強制。
最初の内は野宿をシステム化しようと考えたが、複雑そうなので一つの数値に抽象化。
AP回復アイテムも出そうとは思うが、気軽には使えない切り札的存在にしたい。
使わなくてもクリアは可能なバランスにするのが理想。
HP・MP・APと、それに対応する3つの能力でシンプルにまとめた。
攻略本などでキャラクタ紹介をする場合、特徴を三角グラフで表せるので見栄えが良いと思う。
細かい個性については装備品や魔法で差別化する方針。
基本3施設で全ての用が足りる。本当は1つの建物内に集約しても良かったのだが、
町のデザインに自由度を持たせるために一応は別個の施設と言うことにした。
まず宿屋。自動回復なので通常のRPGにおける役割は不要。なので冒険の拠点という性格を持たせる。
セーブポイントは「宿帳をつける」というイメージから。全滅時の「夢オチ」コンティニューにも繋がる。
店では、他の店から「お取り寄せ」をできるようにした。
ホームの移動はノーリスクでできるので、プレイヤーの手間を省くためどこの店からで買えるように。
取り寄せ時は値段を上乗せすることも考えたが、そうすると移動にコストや時間の概念が絡むことになる。
移動に伴うコストは敢えてオミットした要素なので、買い物の際も省略した。
取り寄せではなく、店の商品リストが徐々に追加される方式も考えたが、
商品が増えすぎると使いにくくなる上に、店ごとの個性が見えなくなるので却下。
冒険に必要な情報が1箇所で全て得られるというのは完全なご都合主義である。
しかしそれを言えば「町中を虱潰しに探せばヒントが見つかる」というのも充分ご都合主義。五十歩百歩。
だったらプレイヤーに余計な手間をかけさせず、「ヒントはここだよ」と最初から示しておけばいいと考える。
3施設以外は完全なフレーバー要素。町の雰囲気を演出するために存在する。
セリフやグラフィックなどにいくらでも手を入れられるし、
スケジュールや容量次第でばっさりとカットすることも可能。
RPGのダンジョンに落ちてる宝箱って必要以上に豪華だよね、ということから思いついた。
現実の冒険でも、次に来るときのために食料や燃料を埋めておくという話を聞いたことがある。
リソース管理ゲームという性格を出すために考えてみた。
鍵でもかけなきゃダンジョンの主に取られるだろう、というつっこみはご愛敬。
そもそも来訪者が簡単に開けられる宝箱がごろごろ転がっている時点でおかしいのだ。
宝箱という形をとっているだけで、実際は「アイテムの隠し場所」程度に考えておこう。
宝箱に入れた物が変化したり合成されたりするアイディアも考えたが、ちょっと毛色が違う。
あくまで生き残るための素朴な手段としてのシステム。
木箱の中身が復活するのは、ダンジョン再訪の楽しさを増すためと救済措置のため。
全滅回数が多いと優秀な回復アイテムが出やすくするとか、色々と調整のし甲斐がある。
武器の特徴をシンプルな戦闘システムで再現できないかと考えてみた。
実際、隊列の概念すら無いのでDQなどより単純。
ただでさえ耐久度や重量システムのおかげで武器ごとの差別化がしやすいと思う。
具体的なパラメータを見なくても、イメージや直感で使い分けられるのが理想。
攻撃時に、お互いの武器の射程によって反撃が発生するシステムも考えた(長い武器ほど反撃しやすい、されにくい)が、
戦闘がごちゃごちゃする上に射程至上主義になりそうなので「回避の減少」という形にした。
ビジュアル上は、コマンド入力後に射程によって前に踏み出す演出を加えると解りやすくていいと思う。
個人的に「1か0か」の命中判定は嫌い(特にコンピュータ相手だと)なので、本作ではそうなっていない。
そもそも、RPGにおける1ターンの攻撃とは、単に1回斬りつけるのではなく、
単位時間あたりの攻防の結果だと考えているので、よほどの実力差が無い限り無傷はあり得ない。