桃太郎電鉄G ゴールド・デッキを作れ!

メーカー 2005/06/30

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レビュー

定番のボードゲームシリーズ唯一のGBA版。
マップは日本全国(+海外の島)のものだけだが、副題にもあるデッキシステムが遊びに幅を与えている。
さらに短時間プレイに向く携帯機の特徴を生かして、通常より高い資金を持って始まる3年決戦モードを搭載。

一応ゲームのシステムについて解説。基本はすごろくだが、縦横に延びる道を自由に進める。
最初に東京を出発し、ランダムで決まる目的地駅を目指す。
プレイヤーが目的地に到達すると賞金が贈られ、目的地から最も遠いプレイヤーには貧乏神が憑く。
目的地以外の駅でも持ち金が増減したり、物件を買ったり、様々な効果を持つカードを得られるので、
目的地一筋ではなく道中で力を蓄える戦術もとることができる。
誰かが目的地に着くと、新たな目的地が設定され、再びそこを目指すことになる。
毎年3月になると(ターン進行は月単位)所持物件からの収益が所持金に加算。
その他にも季節ごとあるいはランダムに様々なイベントが発生する。
制限期間までに、総資産(所持金+物件の価値)を最も高くしたプレイヤーが優勝。

シリーズのメインの遊び方とも言える多人数プレイは携帯機だとやりづらいが、
本作では通信ケーブルにもワイヤレスアダプタにも、1台を使い回すプレイにも対応。
残念ながら複数のGBAを使った1カートリッジプレイは出来ない。
GBプレーヤーでテレビに映してプレイする場合は1つのコントローラを使い回すことになる。
テレビ画面に映した場合はまさにSFC版の桃太郎電鉄といった雰囲気。

桃鉄シリーズはほぼSFC版しかプレイしていないので、以下からはSFC版との比較となる。
まず個性的な物件が増えた気がする。歴史上の人物関連や、マイナーな土産物など。
臨時収入イベントなどで名所や名物が紹介されるのがまた面白い。制作者の旅行好きが伝わってくる。

ゲームバランスとしては、有利なプレイヤーの転落が起こりやすくなったような気がする。
所有物件を問答無用で破壊するハリケーンボンビーの存在や、ブロックカードの不在が大きい。
天災や怪獣の頻度も妙に増えたように感じる。対人戦は白熱することだろう。

さて、本作の目玉である追加要素が前述したデッキシステムである。
通常モードのプレイ中、好きなタイミングで現在持っているカード全てを「デッキ」として登録し、
3年決戦モードでゲーム開始時からそのデッキを持ったまま始めることが出来る。
通信対戦の場合はプレイヤー各自がそれぞれのデッキを持ってプレイすることになる。

デッキを登録しても本編からカードが無くなるわけではなく、当然3年決戦で使っても登録したデッキは消えない。
ただしデッキは「現在持っているカード」のみが登録され、登録後のエディット等は不可能。
また、自力で登録する他にもパスワードによって出現するデッキも存在。
自前のデッキと合わせて8パターンまで保存することが出来る(これは少ないと思う)。

正直、デッキを本気で組んだ場合にまともなゲームバランスを維持できるのかは疑問。
ちょっと考えてみた限りでは圧倒的に先行有利になってしまう気がするのだが。
もっとも、そのあたりはプレイヤー同士が納得するルールを決めれば良いだけのことで、
単純に遊びの幅を広げる試みとしては面白いと思う。
旧作に存在した、最初から特定のカードを持ったままスタートする特殊モードを再現できるし、
従来は不毛になりがちだった一人プレイに「理想のデッキ作成」という目標もできる。

シリーズの基本を抑えつつも、「一人プレイが多い」「長時間の対戦には向かない」といった
携帯機の特徴をカバーした新システムが脇を固める。携帯桃鉄の決定版。


最終更新日:2010/10/20

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