ナムコ 2003/01/10
後に定番パズルとなってマルチ展開されることになるゲームの携帯機初移植が本作。
ルールはシンプルで見た目にも簡単そうだが本格派の思考型パズルである。
一応システムを紹介しておくと、ゲームの舞台は方眼状に四角いマスがある1枚の板。
全体の形や大きさはステージごとに異なり、あらかじめ文字のパネルがいくつか配置されている。
プレイヤーは手持ちの文字パネルを並べて言葉を作らなければならないが、
既に盤上にあるパネルとの組み合わせで意味のある言葉になる位置にしかパネルは置けない。
置き方次第では手詰まりにもなるが、何手でもノーペナルティで戻すことができる。
一定個数の単語を作る、マスを埋める等のミッションをこなせばそのステージはクリアとなる。
当然、ゲーム内で意味のある言葉かどうかは、データに内蔵された辞書にあるか否かで決まる。
数万語を瞬時に照合する処理は当時困難だったようで、例えばプレイステーションへの移植は不可能だったらしい。
似たようなルールで遊べる知育玩具などは古くから存在したと思うが、
自動処理のゲームとして成立させるにはアイディアから長い時間が必要だったと思われる。
ゲーム機の進化というとどうしても視聴覚面やAIの強化を連想するが、このような使い方もあるのだ。
インパクトも薄いしローカライズも絶望的(日本語以外ではまず再現できないだろう)だったろうに、
よくぞ商品化して育ててくれたものだと、まずは一人のゲーマーとして素直に賞賛したい。
GBAの移植は、本作に収録されているフルボイスのテーマソングと合わせて画期的だっただろう。
さて本作には、連続でステージをプレイするアーケードモードと、好きな面を自由に選べるじっくりパズルがある。
アーケードモードは数ステージを連続してプレイすることになり通しのスコアがつく。
対してじっくりパズルでは好きな面を選べ、ハイスコアも個別に(さらに難易度別に)記録される。
ここまではいいのだが、じっくりパズルの方にも制限時間が存在したのが非常に気になった。
ステージごとの盤面やプレイヤーの手駒は完全固定でアクティブ制も無いのは全モード共通。
コンピュータゲームには珍しい純粋な思考型パズルとなっている。
業務用の性質として制限時間は仕方ないだろうが、ゲーム自体のシステムを考えると明らかに不向き。
家庭用、しかも携帯機用にアレンジするのならば引きずって欲しくない要素だった。
あるいは逆の発想で、落ち物パズルのようなランダム制やアクティブ制を取り入れたモードがあっても良かったのでは。
大元のシステムにも不満が無いわけではない。まず単語として収録されているかどうかの基準が曖昧。
卑語や猥語が無いのはわかるが、地名や人名などの固有名詞、あるいは外来語の線引きはさっぱりわからない。
そういうゲーム、ルールなんだと割り切るにしても、単語リストすら見られないのは不満。
プレイヤーが今までに作った言葉の数だけは確認できるが、実際にどんな言葉を作ったのかまでは見られない。
もっとも、ここに挙げたような不満点は以降のシリーズで次第に解消されているようだ。
例えば制限時間を取り払ったモードや、同じ盤面で2人が同時に得点を競うアクティブな対戦モード、
あるいは作った単語や登録されている単語のリストを閲覧する機能が追加されているとのこと。
もちろん語彙も増加しているし、DSのタッチペンとの相性が抜群であることは想像に難くない。
良いものを取り入れながら成長を続けるというシリーズの理想的な展開と言えるのではないか。
というわけで、今さら初期のバージョンであるGBA版に手を出す必要はあまりないと思われる。
あるいはシリーズの成長を感じられる記念碑的な作品としての価値はあるのかも知れない。
最終更新日:2010/10/20
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