ゼロ・ツアーズ

メディアリング 2001/07/27

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レビュー

GBA初期に発売された、世間的にはマイナーなRPG。
劇場版ポケモン監督の園田英樹氏、後に「To LOVEる」等の原作者として出世する長谷見沙貴氏、
「スパロボ」シリーズのBGMで定評のあるサラマンダー・ファクトリーなど、
今見るとそれなりに豪華な開発メンバーが揃っている。

シナリオの園田氏をプッシュしていたが、正直シナリオ自体はシンプルすぎて記憶に残らない。
子供向けなのかも知れないが、その割には漢字や熟語の使い方があまり子供を意識していないのが気になる。
キャラの特徴付けも外見や変わった語尾ばかりを強調するだけで、一部以外は性格が伝わってこない。

グラフィッカーは無名だが、かなりいい仕事をしている。特に戦闘中の味方ドット絵がかわいらしい。
サラマンダーの音楽も素晴らしいが、画面を切り替わるごとに1秒くらいのロードが入って途切れまくるのが残念だ。
ROMカートリッジのくせにロード時間が入るのは、出たばかりのGBAの特性を使いこなせていなかったからか?

ダンジョンマップは入るたびに自動生成。基本構造は「大広間の中に小部屋」でどのダンジョンも全く変わらない。
迷うことも無ければ探索する楽しみもない、ちょっと…というかかなり雑。
戦闘はシンプルなターン制。ちょっと変わっているのが技ポイントのシステム。
ダンジョンに入った時点では1から始まり、1ターン(または戦闘終了)ごとに1ポイントずつ溜まる。
何となく、カードゲームでターンごとにエネルギーを1枚ずつ増やすような感覚がある。
防御コマンドによって蓄積量にボーナスがあるのも、シンプルな戦いに幅を与える小技といったところか。。
移動中に「技ポイントを1にする引き替えにHPを全回復」するコマンドがあるのも面白いな。

「シナリオに分岐があるのに、そのことが説明書やゲーム内で触れられていない」
「強力なボスキャラが仲間になるかどうかはランダム、かつチャンスは一度だけ」
という、普通に考えたら不親切なシステムもある。しかしこのゲームは通信が可能。
分岐で行けなかった町に行ったり、仲間にしそこねたキャラを仲間にできるチャンスがある。
通信を踏まえると、これらの不親切さも「敢えてプレイヤーごとに違う状態にする」ための苦肉の策とも考えられる。
(ちなみに、公式ではモバイル通信ばかりが強調されているが、普通の通信ケーブルにも対応している)

戦闘やアイテム入手のコツを掴むとさくさく進む一方、敵からの状態異常がちょっとシビア。
しかしレベルを上げての力押しも可能なので、全体としては万人向けといったところか。

部分部分で光る要素はあるけれど、全体としては限りなく駄作に近い佳作と言ったところか。
開発スケジュールが厳しかったという証言が各方面から上がっている。
せっかくのスタッフだし、もっと作りこめれば名作に成り得たかも知れない。
あるいは出すのが早すぎたか。すれちがい通信やWi-fi配信データと相性のいいシステムなので。

おまけ:攻略コンテンツ「無限奇行」


最終更新日:2011/02/06

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