トマトアドベンチャー

任天堂 2002/01/25

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レビュー

GBA初期のRPG。タイトルに反して、いわゆるアドベンチャーゲーム的要素は特にない。
完全オリジナル作の上に、キャラも世界観も変なので一般にはあまり注目されなかった気がするが、
GBAを愛好するゲーマーの間では比較的有名という印象がある。

もともとはGBCソフトとして作られていたとは思えないほどグラフィックはカラフルで派手。
エリアごとにマップパーツの使いまわしがほとんど無いというのも素晴らしい。

ストーリーは幼年漫画的なベタな展開。最後までテンションを維持できているのは地味に凄いと思う。
システム的に取り返しがつかなくなる要素がほとんど無いことも相まって、安心してプレイできる。
難易度はあまり高くない。特にメモ等が必要な箇所も無いので携帯機向き。

このゲームの醍醐味は何と言っても戦闘システムだろう。
基本はターン制のコマンド入力式だが、全ての武器がちょっとしたアクションゲームになっている。
アクションゲームといっても小さい画面で数秒で終わるもの。プチゲームという表現が似合う。
失敗してもダメージは与えられるが、成功させればダメージが増したり追加効果が出る。
要は、クリティカルヒットを確率ではなくマニュアルで出せるようにしたようなもの。
武器は4つ装備可能。難易度は武器ごとに7段階に調整でき、高いほど成功時の威力が上がる。
攻撃成功ごとにポイントが溜まっていき、一定値になるとキャラごとに必殺技「すごいの」が使える。

メインキャラは主人公の他に3人。戦闘に参加するのは主人公ともう1人だけ。
それぞれ、戦闘における役割の上でも、性格付けでもしっかりキャラが立っている。

エンカウントはシンボル制。動きも遅めなのでプレイヤーのペースで戦闘や回避が可能。
戦闘システムと合わせて、全体的にテンポの良い仕上がりとなっている。
ボスキャラもタフネスより技巧重視で、あまり戦闘が長引かないというのが個人的に好み。

武器の収集や強化といったやり込み要素も存在するが、このさじ加減が絶妙。
キャラのレベルが最大になるタイミングと、全ての武器を手に入れて完全に強化するまでのタイミングがほぼ同時。
武器の強化は主にお金で行う。この手のゲームでは終盤お金が余りやすくなるので良い工夫だと思う。

このゲームの要素で唯一、本当につまらないと思ったのはカードゲームの「ギミカ」。
じゃんけんに毛が生えたようなシステムなのに、先に進むためには各キャラに10戦勝ち越すことが求められる。
敵の持つカードから最適戦術を考える楽しみが無いことは無いが、1人最低10戦は多すぎ。
進行上必須では無く、アイテムやお金の入手手段としてのみ存在しているのが救いか。
戦闘無しでお金を貯める手段としてゲームプレイの幅を広げるのは良いのだが、
それにしてももう少し遊べるシステムを考えられなかったものなのか。

パッケージで敬遠してしまう人が多いような気がするが、基本的には名作。
アクション要素が苦手でないRPG好きならぜひプレイしてみよう。


最終更新日:2010/10/20

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