任天堂 2005/11/17
ポケモンと不思議のダンジョンというまさかのコラボレーションが実現。
開発は本家チュンソフトが担当し、完全ターン制という伝統的なローグライクシステムを採用。
ポケモンのみが住む世界で、ポケモンになってしまったプレイヤーキャラの冒険が始まる。
設定や目的などの情報は説明すると長くなるので公式サイトを参照のこと。
同時発売された「青」とは、極論を言えばGBAでもプレイできるかDS専用かの違いしかない。
ポケモン本編のように片方が無ければコンプリートできない、という関係ではない。
(赤→青の一方通行のおまけ要素があるので、やり込むなら先に赤をやることを薦めるが)
よって以下のレビューは基本的に全てDS版「青」にも通じる。
処理速度や効果音などの点で、当然のようにGBA版「赤」は「青」に劣ってはいる。
本来の不思議のダンジョンとの大きな違いの一つは、装備品が大幅に簡略されていること。
武器や防具が存在せず、アクセサリー(1つ)と飛び道具のみ装備できる。
その分だけ、ポケモン自身の持つ技や特性といった要素が本編から流用されている。
普通のダンジョン内で倒れても、経験値を含むポケモン自身のステータスは変化しない。
前述のアイテムよりポケモン自身のステータスに比重が置かれているというシステムとの相性は良い。
(トルネコ3などのように、倒れた時点でのレベルはそのままでも
戦力の要である装備品が失われるというシステムはコンセプト的に矛盾してると思う)
もう一つのポイントは仲間システム。メインシナリオは常にパートナーと共に行動することになる。
使う技や作戦を指定できるほか、グミを与えて「かしこさ」を高めることでAIの制御が可能。
パートナーとプレイヤーは一蓮托生で、片方が倒れるとゲームオーバー。
仲間を活用しながら、守りながらの冒険は従来の不思議なダンジョンに慣れた人にも新感覚。
なお、野生のポケモンは(レベルなどの条件を満たした状態で)倒せばランダムで仲間になる。
メンバーチェンジのインターフェイスはポケモン本編と比較すると非常に使いづらいのが難点。
メインのシナリオと平行して、フリーの「救助」イベントが無尽蔵に発生する。
全く利用しなくてもクリアはできるが、アイテムなどを稼ぐのには絶好の機会。
依頼に付くパスワードを控えておけば他のプレイデータでも同様の依頼を再現可能。
今から始めるプレイヤーは、ネット上などで公開されている「おいしい」依頼を享受することができる。
レベルが引き継がれるとはいえ、レベルアップのペースが非常に遅いので
失敗を繰り返しても強くなりすぎるということはまずない。
ただしこのレベルアップシステムが「入るとレベル1になるダンジョン」にも適用されるので、
戦って強くなりながら先に進むという戦略が通用しにくく、終始逃げまくるのが有利になってしまう。
このあたりは「そういうシステムなんだ」と割り切れるかどうかだろう。
ゲームバランスは簡単とか難しいとか言う遙か以前に非常に大味。
当時の全ポケモンである386種を全てプレイヤーキャラとして使えるようにして、
システムが全く違うのに、ポケモン本編のタイプ相性や技、特性などのデータをそのまま
(技を覚えるレベルまで!)持ってきたのだから、これでバランスを取れというほうが無理だ。
箱庭とおもちゃは与えたから自由に遊んでね、的なユーザー任せの傾向が見られる。
救助パスワードなどを濫用すれば、乱数調整なども含めてやりたい放題できてしまうのはある意味で素敵だ。
ポケモンのステータスは種族ごとに大差なく、しかも無制限に(かつ簡単に)ドーピング可能。
このため、固定パラメータである技や特性の比重が異様に高くなり、使えるポケモンとそうでないポケモンの差が激しい。
特に、ストーリー上強いとされる伝説のポケモンがほとんど使い物にならないというのは大失敗だと思う。
全体を見ると、設定上もシステム上も「ポケモンのキャラを借りた何か」。
あくまで「ちょっと変わった不思議のダンジョン」であり、生粋のポケモンファンにはあまり薦められない。
最終更新日:2009/02/05
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