MOTHER1+2

任天堂 2003/06/20

公式サイト

レビュー

ファミコンとスーパーファミコンで発売されたRPGのGBA移植版。
システム的にもシナリオ的にも連動はしておらず、好きな方からプレイが可能。

1のほうは、ファミコン版から多少アレンジされている(厳密には海外版の移植らしい?)。
わかりやすい部分ではダッシュが可能となったり、お金をおろせる場所が増えたり、
購入可能なアイテムが増えたりといった部分で、
全体的にファミコン版より遊びやすくなっている。終盤のストーリーも補完。
2のほうはバグ削除くらいで目立った変更点は無い。ファンは音質劣化が気になるらしいが。

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移植に当たっての変更点についてはこれくらいにして、本編自体の評価について。
まず1について。ファミコン版の初プレイ日記も参考資料として置いておくが、
フィールドに出るとその広さに驚かされることだろう。町も人も無いところなのに行ける場所がとにかく多い。
本当に必要な所へは道なりに進んでいけばたどり着けたりするので、
世界を表現する上でのフレーバー的な要素だとは思うが、今見ても新鮮な感じがする。
何せ、町も荒野も全てひっくるめて地続きで描かれているのだから。

ゲームの展開としてはほぼ一本道(特に、移植版では某所にエンカウントが発生するため余計に)なのに、
プレイヤーの意志であちこちを探索している気分にさせてくれる。
それだけに、後半のイベントの唐突さには面食らってしまったのだが。
仲間が揃うまでの道のりや、3人で冒険をする所は単純に面白かったんだが、終盤は雰囲気が違う。

戦闘については中盤以降がやや厳しめ。攻撃や状態異常系のPSIがほとんど役に立たない。
PPの多くは一撃必殺とか戦闘離脱とか、あるいは守りを固めるために使うことになり、
終盤になるに従って「正攻法」を捨てざるを得ない状況に追い込まれてくる。
敵を倒して強くなる、という、よくあるRPGの基本が終盤では通じなくなってくるので、
戦闘バランスが悪いという評価を受けやすい要因でもあるのだろう。

全体的に見て、良さがわかるまでに時間がかかるゲームだと思う。
今回レビューするにあたり改めて考察してようやくわかったが、
一見ちぐはぐで荒削りでアンバランスに見える各要素が、実は見事にラストの展開に結びついている。
その「ラスト」については、ここでは詳しくは語るまい。
初めての人はこの機会に自ら体験してみてはいかがだろうか。
ファミコン版をやった人も、遊びやすくなったGBA版で改めて噛みしめてみることをおすすめする。

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続いて2のレビュー。
管理人が原作をプレイしたのはこちらが最初で、その時はにぎやかで面白いゲームだと思った。
1と比べてみるとかなり対照的な作りであり、2の方は受動的に楽しませる要素が非常に強くなっている。
終盤あたりまでやや淡泊すぎた1に対する反動なのかも知れない。
2は前作との直接のつながりはないが、主人公達(3人)のキャラ設定が似通っており、
2作を通してプレイすると、2は1の大幅なリメイクとも受け取れる(原作者もそう言ってた気がする)。

1に比べると非常に遊びやすくなっている。マップも直線的で、ヒントもわかりやすく、
次に行くべき場所、するべきことを迷う必要がない。作者のメッセージも直接的すぎる形で示される。
さらに、そういうノリ自体を客観して遊ぶような展開が90年代風味全開。
エンディング直前の某演出などは、ゲーム的な感動と映画的な感動の合わせ技として強く記憶に残る。

戦闘については、味方に対する敵の強さのバランスは1よりも易しめになっている。
ただし2ではアクティブ要素を導入し、致死ダメージを受けてもHPが減り切る前に回復できれば
倒れずにそのまま戦闘をできるというシステムになったので、
終盤の敵の攻撃力がインフレ気味で、やや忙しい操作を要求されるようになる。
そういえばエンカウントもシンボル制になってアクション要素が多少加わったので、
アクティブ性の強化という同一方向への変化と言えるのかも知れない。

(余談だが、ストーリー展開と戦闘システムの変化の傾向はMOTHER3でより強くなる)

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結論として、初見で楽しかったのは2、何度か噛みしめて好きになったのは1の方だった。自分の場合。
良くも悪くも対照的な2作なので、人の感想が気になるゲームではあると思う。
このレビューが未プレイ者およびシリーズファンにとって、少しでも役に立つ文章でありますように。


最終更新日:2010/10/20

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