ドラゴンクエストモンスターズ キャラバンハート

メーカー 2003/03/29

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レビュー

ドラゴンクエストモンスターズシリーズの3作目。プラットフォームをGBAに移した。
ストーリーなどで前作までとの関連性は薄い。また、主人公がDQ7のキーファだがDQ7との関連も薄い。
冒険の舞台はDQ2の「その後」の世界となる。

プレイヤーはキャラバンリーダーとして、3台の馬車と3体のモンスター、そして十数人もの人々を率いて冒険する。
フィールド上の好きな地点に、町としての機能を持つ「キャラバン」を展開することができる。

戦闘は、馬車ごとに割り振られたモンスターがメインだが、
ターンごとに馬車内の人間キャラが1人ずつ飛びだして、モンスターと同時に行動する。
人間キャラはあくまでもオプションで、行動手段以外の戦闘パラメータを持たない。
モンスターが倒れた時点でその馬車は丸ごと行動不能となる。

モンスターも、従来のDQMシリーズのように野生種を仲間にしたり配合を行うわけではない。
ほぼ固定されたメンバーに対して、敵等から手に入れた「心」を吹き込むことで「転身」させる。
モンスターや人間にはそれぞれ重さがあり、馬車ごとの積載量にも上限がある。

従来のDQシリーズやDQMシリーズと比較すると独特な要素が多いが、
DQMシリーズの問題点は全く改善されていないどころか強調されている。
具体的には「属性攻撃が役立たず、状態異常が強すぎる」
「モンスターの入手や成長の難易度が強さに見合わない」
「100種類以上もモンスターがいるのに、見た目以外の個性がほとんど立っていない」というような部分。
対戦前提のやり込みに入る以前に、転身が可能となるごく序盤からこう感じる。
大きくて強そうな上位ランクのモンスターは、成長速度だけでなく重量の点から完全にお荷物となる。

モンスターと人間キャラによる戦闘は面白い。
人間キャラの行動にはリソース(MP、アイテム等)を全く必要としないとか、
モンスターが防御をすると、モンスター自身は攻撃できない代わりに人間キャラは先制攻撃できたりとか、
人間キャラの連携によって、次のターンを犠牲にする代わりに強力な攻撃ができたりとか、
多彩な戦術が考えられる。基本のゲームバランスがぐちゃぐちゃなのが残念だ。

しかし「人間」というモチーフがまずかった。
人間キャラはシナリオに絡むものの、戦闘中は没個性の駒でしかない。
レベルアップなどで成長することもないので、より強くて軽いものにパーツ交換することになる。
これなら人間じゃなくて装備品か何かの形で表現したほうが良かったのではないか?
さらに、馬車に乗せられる人員の制限はともかく、キャラバンとして仲間に出来る人数が少なすぎるので、
メンバー選びが自由なのに最終的にはどうしても変わりばえのしない顔ぶれになってしまう。

色々と面白い要素はあったはずなのに、調整不足が酷すぎるのがとても残念。
クリア後のオーブダンジョンは、後のDQ9において「宝の地図」の原型になったシステムだし。
あと一息で名作になっていたかも知れないのに。
ロト編アフターという重要なポジションのシナリオだけに本当に残念。


最終更新日:2010/10/20

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