セガ 2003/12/18
誰もが知る日本漫画史の金字塔、鉄腕アトムを題材にしたアクションゲーム。
開発はアクションゲームに定評のある（といっても僕は知らなかった）トレジャー。
タイトルからわかるように、表向きは2003年版アニメのタイアップのようだが、
その実体は手塚治虫オールスターズのリミックスストーリーである。
どうやらスタッフが大の手塚ファンらしく、プレイしていてもそれが伝わってくる。
詳しくは述べないが、終盤のシステムにも絡めたストーリー展開は見事の一言。
アクションゲームとしては、アスレチック的な要素の少ない戦闘中心の構成。
大ざっぱに言えば、ザコ集団との戦いを切り抜けつつ進み、節目にボスが出てくるといった具合。
常に飛んだ状態で進行するシューティング風のステージもある。
GBAのボタンをフルに使う操作だが、チュートリアルがしっかりしているから安心？
慣れると連続攻撃やジェットを駆使したテンポのいいプレイができる。
基本的に難易度は高いが、開始時に「かんたん」「むずかしい」の二段階を選べる。
前者は敵から受けるダメージが少な目で、必殺技の使用回数が非常に多い。
「かんたん」だけでもストーリー内容などは変わらないという親切設計。
難易度問わずコンティニューの制限が無く、再開できる範囲も細かいので、
アクションが苦手でも頑張れば何とかなるレベルだと思う。
タイトルの「アトムハート」がゲームの鍵。人やロボットと出会うことでアトムの心が成長していく。
ストーリーに絡むだけでなく、出会うたびに任意のパラメータを強化することができる。
中には隠れキャラ的な存在もいたりして、ちょっとした収集要素として楽しめる。
さらに出会ったキャラは「名鑑」に記録され、条件を満たすごとに詳細な設定を閲覧することができる。
今まで知らなかったキャラも、ゲームがきっかけで興味を抱くこと間違いなし。
やり込み要素も充実。タイムやスコアが「全編」「ステージごと」「（ステージ内）ブロックごと」それぞれ記録される。
腰を据えて最初から最後までプレイするのもいいし、短い時間にブロック単位の記録を狙うのもいい。
特にスコアに関してはテクニック次第で桁違いの値が出るのでいくらでもやり込めるだろう。
ステージセレクトでは選べない（条件の）ステージもあったりするが、
通しでプレイしても慣れれば2時間弱で最後まで行ける程度の長さなのであまり気にならない。
やり込みプレイヤーにとってのセーブデータは一時記録程度の認識になる。
なお、データは3つまで作れて、タイムやスコアの記録は全データ共通（個別データを消しても記録は消えない）。
セーブデータ作成時にエントリーしたネームが共に記録されるのがアーケードゲーム風で面白い。
細かい不満点として「2段階の難易度が極端」「スコア集計が難易度別ではない」
「ザコのバリエーションが少ない」「一部のでかいボスが弱すぎる」
「ボスの体力が見えないのでペースを作りにくい」といったことを感じたが、
これらはインターナショナル版で全て改善されているとのこと。機会があればいずれプレイしたい。
とにかく良質の、そして古き良き16bit時代の雰囲気が漂うアクションゲームである。
やたら描き込まれている上にしっかり統一感のあるドット絵や、
ゲームを食わない程度に地味だがイヤホンを使うと迫力のステレオになるサウンドも魅力。
一人で黙々とプレイするのもいいが、GBプレーヤーでテレビに映して、
友達と一緒に「死んだら交代」プレイをするのにもうってつけのゲームだろう。
最終更新日：2010/10/20
ご意見、ご質問は随時受け付けています→お問い合わせについて。