わたしのぺージ 第4章 |
酷暑のペルシャ湾 T
私の若い頃、船会社では始めからいい航路には乗せてくれませんでした。
インドとか東南アジアに何度も行かされます。
”鉄は熱いうちに打て”とばかり、熱帯地方に就航するボロ船に乗せ、
その労働に耐えた者を、いい航路にまわすようにしていたのかも知れません。
私の乗った船は鯨のような船体をしたギリシャの売船G丸ーーーー
いつスクラップにしてもおかしくないお粗末な船でした。 しかし高度成長期に
向かって日本は船腹不足、世界一周線に就航していた貴重な船で・・・・・
サイゴン・バンコク線から転船した私は嬉しかった。
G丸が印度・パキスタンに寄港しながらペルシャ湾に入ったのは
7月の一番暑い季節。 最近は完全冷房の大型タンカーで気楽に行って来れますが
40年前、冷房のない日本の貨物船がこの時期に就航したのはこれが始めてでした。
このあたりは世界中で一番暑いところ、1921年にバスラで58度を記録したそうで
この年も酷暑が予報されていました。
G丸はイラン・イラク砂漠の中の港を回りました、その暑さは、暑さではなく
熱さでした。丁度真夏にストーブにあたるような熱さです。
ペルシャ湾にて
1955年
がんぢす丸 4900屯