試乗の心得U

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    インテグラTYPE Rと半クラッチ
ホンダのディーラーでインテグラTYPE Rの試乗をしたときのこと。私の次の順番は,二十歳過ぎと思われる若いお兄ちゃん。走り出す音を外から聞くのも一興と,しばし見ていました。すると,狭い駐車場の中でテールが沈み込むくらいの勢いでダッシュ(^_^; 道路に出る際には回転を上げ,半クラッチを長々と使って疾走して行きました。

「若いですねぇ…」顔なじみになったセールスさんに声をかけると,彼はちょいと肩をすくめて「いやぁ,ああいう客が一番困るんですよ」「……?」「私たちにしてみればエンストされてもいいんです。あんなに半クラッチ使われたんでは車が痛んでしょうがないんですよ。タイヤなんかと違って,クラッチ替えるとなると大ごとですから」

なるほどねぇ。かつてR32スカイラインのGT-Rのクラッチが,5,000km持たないなんて言われたことがありました。これも280psのハイパワー車にもかかわらず,つい半クラッチを多用してしまうのが原因とか。インテグラTYPE Rの場合も,NAの2gで220PSの高出力ですから,へたにクラッチを滑らせたら,すぐにずるずるになってしまうのかもしれませんね。

   マニュアルが珍しい?時代だから…
オートマチック限定免許が普及する時代です。通常の免許を持っていても,普段からマニュアルミッション車を運転したことがない若い人が増えているわけで,そういう人が試乗にくれば当然こうした事態になりがちです。若さゆえに「エンストするとカッコ悪い」とばかり,盛大に半クラッチを使ってしまうようです。いまどきの試乗の心得は,(マニュアル車の場合)半クラッチを使わないでも走れる…ということになるのでしょうか。それともこれは,“心得”ではなく“条件”だったりして!