MITSUBISHI COLT 1300 Casual Version(CVT) 2002年12月

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  まじめ,まじめ,まじめ…自分で言うかぁ?
小父さん世代には懐かしいCOLT復活。ギャランだってデビュー当時はコルト・ギャラン。三菱の小型車の原点となる名前なんでしょうね。意地悪な友人は,大学出立てといった感じの若いセールスマンに「“Powered by Colt speed”のステッカーは無いの?」としつこく聞いて遊んでいました。“カスタマー・フリー・チョイス”と称する,外装,エンジン,内装色等を自由に選ぶ発注方法は,初代セリカの“フルチョイスシステム”の再来ですか。それはともかく,予告広告からして「まじめ,まじめ,まじめCOLT」。自分で自分のことを「まじめ」なんていうのに限って,ろくな奴はいない,というのがこの友人の言です。

  どこが“まじめ”かな?
エクステリアデザインはフィットの二番煎じ。ま,ジャギュアとT-2,アルファジェットとT-4が似ている位には似ています(あ,この比喩を使うのは二回目ですね)。リアクオーターウインドゥのグラフィックはシビック似か。ま,それは置いといて,やっぱり…と苦笑の漏れる小さめのフロントシート(ベンチシートなのに,なぜ3人座っちゃいけないの?)。いったん前にスライドさせなければダブルフォールド(タンブルっていうらしい)しない,操作の面倒なリアシート。そういえばリアシートにはヘッドレストが2つだけ。3点ベルトも中央席分は見あたらなかったし。これが日本とドイツが考えたまじめなの?ダイムラー・クライスラーってこの程度で満足しちゃうのかなぁ…と,皮肉の一つや二つ言いたくなるってもんです。まさかAクラスの床下を取って車高を下げたら,はいCOLTって訳ではないでしょうが,ほんと,お手軽が見え見えのCOLTです。

  走り出したら…(^_^;
乗り心地はこれといった印象はありません。コンパクトカーとして特に不満もなければ,優れているというエクスキューズもないという程度。175/65R14というタイヤサイズは,1t少々の車重に対して今や標準なのかでしょうか。気になるのはパワーステアリングとサスのセッティング。日産のキューブとも似た,グニッと粘るようなパワステの抵抗感(キューブと違って,こちらは油圧ポンプですが…)。その上,Uターンやコーナリングの途中でフッと重さが変わった,というより手ごたえが無くなったのには冷や汗(^_^; このWeb Siteに時折書く“バーチャルな感じ”とも違う,何処へ行くか分からない,一種異様な怖さを感じさせられました。おまけにちょっと(本当にちょっとだけ)気合を入れれば,あっさり腰砕けになるし…。フィットはもちろん,デミオやヴィッツにも負けるよ,こりゃぁ…最後発なのにねェ。

  エンジンの音は
試乗車は1.3gでしたが,これが結構うるさいエンジンでした。たいしてアクセルを踏んでいる訳でなく,当然加速も流れにかろうじてついていく程度に押さえた状況でも,かなりの音量が侵入してきます。音質はざらついたもので,けっして心地よいとはいえません。CVTだから回転数がポンと上がってしまって,それでうるさいということもあるかもしれませんが,同様にCVTのフィットは,こんなにうるさくはなかったと思うのですが。プント(CVT)にも乗っている件の友人は「こんなものじゃないのぉ」と言っていましたから,ま,許容範囲ということにしておきましょう(やっぱりコンパクトカーの試乗に,レガシィの2.5gなんかで出かけちゃいけないのかも)。

  車庫入れはまずまず
最後は例によって車庫入れ。車両感覚は決して掴みやすい方ではありませんが,まぁ及第点の範囲内でしょう。パーキングスピードでは,ステアリングの問題は余り影響しませんでした。駐車場の通路に十分余裕があったせいもあり,何とか切り替えさずに直角バックを終えることができました。うだうだと欠点をあげつらいましたが,日常,スーパーマーケットへ買い物に行くだけの車(いわゆる“スーパーカー”ね)としては,別に不便も無く使えるでしょう。ただ,突発的な事態になって,緊急避難的な操作をしたとき,感覚と車の動きがずれたら怖いなぁと思うのです。

それにしても,この程度の車で“まじめ,まじめ,まじめ”ねぇ。三菱って,これまでよっぽど“真面目”な車作りをしてこなかったのかなぁ?…とは,かつてデボネア2台,ギャランΣ1台,ランサー2台,そしてミラージュにミニカを所有したことのある友人の感想でした。