中品野歩道橋 (瀬戸市中品野町) ▲瀬戸MENU
歩道橋下:舟形高59cm 一面二臂 立像
信州飯田街道の道標
瀬戸から飯田へ向かう信州飯田街道は,このあたりでは国道363号線になります。昔の品野駅(といっても鉄道の駅ではなく,宿駅の意味です),今の品野交番前の交差点で,半田川を経て多治見へ向かう国道248号と分かれて東へすすむこと約700m。中品野町と上品野町との境近くに,国道をまたいで横断歩道橋がかかっています。その南側のたもとにあるのが,道標を兼ねた馬頭観音です。向かって左側には「柿野道」,右側には「岩屋道」と楷書体で刻まれています。左,つまり東に進む道が信州飯田街道です。「岩屋」は観光地で有名な岩屋堂。別項の八剱社の横を通って岩屋堂へと向かいます。ここから丘を越えて南へ向かう曲がりくねった細い道が,旧来からのものなのでしょう。今は200mほど西に,真っ直ぐ南に向かう道がありますが,馬頭観音の時代よりも後になって,新たに作られたものと考えられます。ちょっと大き目の馬頭観音
舟形の高さは59cmとやや大きめです。くさび型の断面を持ち,とがった部分を正面にして,そこに馬頭観音が浮き彫りにされています。瀬戸に多く見られる一面二臂の立像で,馬頭観音とは思えない柔和な顔立ちをしています。もっとも,一面の馬頭観音像は穏やかな表情をしているものが多いようですね。額の馬頭もはっきりと見ることができます。なお台座には「当村 村中 安全」と刻まれていました。地元の人々が建立した,民間信仰の好例といえます。この台座には「明治三十一年」(1898)とも彫られています秋になると,小菊の花が供えられていました。